bigdog勝烈庵でもキムカツでもキャベツのおかわりが自由であることはうれしい。
キャベツに含まれるビタミンUが胃粘膜を保護してくれるため、とんかつと一緒にキャベツを食べることは理に叶っている。ビタミンUは正確にはビタミンではなくアミノ酸の一種で、塩化メチルメチオニンスルホニウムと言う。実際、この成分は医薬品「キャベジン」として消化性潰瘍などのストッパーとして現役で活躍中である。

「犬にキャベツを与えてもよいのか?」という疑問を持つ愛犬家は少なくないだろう。
健康上の問題を指摘されていないワンちゃんの場合は、少量(適量)であれば全く問題ない。
これまでの人での研究や臨床データあるいはバナナダイエットではないが、野菜や果物など水分と食物繊維の多い植物性食品の摂取量を増やすと、摂取カロリーが減少し、ダイエットに効果があるとされていることも理由の一つである。
ただ、キャベツには各種ビタミン類のほか、カルシウム、リン、鉄、カリウム、マグネシウムなどミネラル分も多く含まれているので、オシッコの病気で現在服役中あるいは前科があるワンちゃん(または尿石症の好発犬種)はキャベツに限らず野菜は控える方がベターかもしれない。

甲状腺肥大や甲状腺腫を引き起こす物質をゴイトロゲン(甲状腺腫誘発物質)というとか・・・。何種類かの物質が知られている中で、アブラナ科アブラナ属の野菜であるキャベツには、グルコシノレート (芥子油配糖体; ゴイトリン) というゴイトロゲンが含まれている。
ゴイトリンは甲状腺でのヨウ素の取り込みを邪魔するので,甲状腺ホルモンの合成が抑制される。つまり甲状腺ホルモンと一緒にキャベツや芽キャベツを摂取すると、甲状腺ホルモンの吸収が悪くなり、薬が効かなくなるとか・・・(ちなみに甲状腺ホルモン製剤の能書にキャベツは併用禁忌と記載されていない)。

しかし、キャベツに含まれるゴイトロゲンの量は超微量なので極端に心配する必要はなさそうである。毎日食べても悪い影響が出ない最大量(NOAEL:無毒性量)は、0.4 mg/kg(Nahrung. 1989)である。キャベツの可食部のゴイトリン含量はキャベツ1gあたり約0.1マイクログラム(J Biol Chem. 1959)なので、例えば体重50kgの成人ならば、毎日20mg(20,000マイクログラム)のゴイトリンを摂取すると問題になるかもしれないという算数となる。しかし、20mg摂取するためにはキャベツ200個(キャベツ中1個1㎏として計算)を一度に摂取する必要がある。

大食いでも有名なギャル曽根がキャベツおかわり自由のとんかつレストランで腹いっぱい食べても、中毒になることはまずなさそうである。また現在はほとんどが品種改良されており、芽キャベツ以外ではゴイトリンの心配はないそうだとか・・・ 

<参考文献>
ALTAMURA MR, LONG L Jr, HASSELSTROM T.Goitrin from fresh cabbage. J Biol Chem. 1959 Jul;234(7):1847-9.
Lewerenz HJ, Bleyl DW, Plass R, Przybilski H, Schnaak W. The subchronic toxicity of 5-vinyloxazolidine-2-thione in rats Nahrung. 1989;33(10):965-73.
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