dgdgd サルナシ科(マタタビ科)の蔓性落葉低木であるマタタビ(学名:Actinidia polygama)の葉や茎、果実に含まれるある成分が猫科動物の大脳、脊髄、延髄を麻痺させ陶酔状態にさせることはよく知られています。猫科動物の中枢神経を麻痺させ、性的快感を覚えさせるその成分が「マタタビラクトン」と「アクチニジン」であるということが大阪市立大学の目(さかん)教授の研究グループによって科学的に立証されています。

猫科動物でも「大人」の猫やトラやライオンなどに「マタタビ」を与えると酔っぱらったように興奮作用(マタタビ反応)を示し独特の反応(マタタビ踊り)を示します。個体差はありますが、雌よりも雄の方が反応しやすいようです。しかし不思議なことに子猫や子ライオンなどは興味を示しません。去勢手術を受けた猫の一部もあまり興味を示さないので、ある程度成熟した猫に対しての媚薬効果だと言えます。


中国原産のキウイフルーツ(学名:Actinidia deliciosa)はマタタビと同じサルナシ科(マタタビ科)に属します。そのため、野生のキウイフルーツの木の根などは、マタタビと同じ効果を猫に与えます。田舎のキウイ畑で根を掘り返す作業をすると近くの猫たちが何十匹も集まり、あっちでもこっちもでもゴロゴロ・クネクネ状態となります。しかし市販されているキウイフルーツは品種改良されているため「マタタビ効果」の期待は薄いかもしれません(個体差はありますが、市販でも熟したキウイには反応する猫もいます)。また紛らわしいのですが、キウイにはアクチニジン(アルカロイド)も含まれていますがタンパク質分解酵素のアクチニジン(別名アクチニダイン)も含まれています。


キウイフルーツはアメリカ人が健康のためにとるべきフルーツランキングの第一位に選ばれたこともある(ラトガーズ大学の調査)くらい人気のフルーツで、アセロラや
グァバには敵いませんが、可食部100g当りのビタミンC含有量は果物の中でトップクラス(日本食品成分表より)食物繊維の量はなんと生の果物の中ではNo.1です。ただしキウイ(バナナ同様)にはカリウムが多く含まれているため慢性腎不全の猫には注意が必要です。ベビーキウイはキウイよりもたくさんの栄養成分を効率よく摂取することができますが、さよなら人類 」で一発屋となってしまった“たま”のように市場マーケットではほとんど見かけません。


gff 猫科動物だけに特異的な嗜好と興奮作用を示す物質はマタタビだけではありません。コーネル大学のCornell Feline Health Center の獣医師も猫に興奮作用を誘発する化学反応はネペタラクトンnepetalactone)が影響していると言います。
キャットニップ(
Catnip:学 名Nepeta cataria)シソ科イヌハッカ属に属するハーブでキャットミントなどとも呼ばれ、猫が好むのでぬいぐるみの内部に詰めたりして使用されています。そのキャットニップにはそのネペタラクトンが含まれています。ネペタラクトンは猫誘引剤としてだけではなく、リラックス効果もあります。子猫がキャットニップの臭いを嗅ぐと刺激されますが、食べたら鎮静剤としての効果が現れることは非常にユニークです。

まさに「てじなーにゃ!」でございます。


専門家は
ネペタラクトンが猫の嗅覚とヤコブソン器官の両方から刺激を受けると推測しています。50%の猫がキャットニップに反応すると言われていますが、やはり個体差があり反応の程度は異なりますキャットニップに対する反応は遺伝(常染色体遺伝子が関与)するようで、片親だけがキャットニップに敏感な場合、キャットニップ感度を引き継ぐ確率は50%(1/2)で、両親ともキャットニップに高感度の場合は75%(3/4)です。家猫はあまり楽しむことはありませんが多くの野良猫が楽しむことが裏付けとなります。生後3カ月目まで、猫はキャットニップに無関心です。また妊婦はキャットニップを避けたほうが無難です。

ネペタラクトンのサイケデリックな効果はLSDやマリファナと似ていると言う人もいます。発情期の雌猫を真似て床を転がるのでキャットニップには催淫効果があると考えられています。キャットニップは猫にとって有害ではありません。ある研究者によるとネペタラクトンは市販の虫除けの有効成分であるジエチルトルアミドDEET)より蚊の撃退効果は10倍高い(Science 1964, 146, 1318)と言われています。またキャットニップはゴキブリも撃退するということも発見されています。

やはり「てじなーにゃ!」でございます。

<関連コラム>
「猫にマタタビ」を科学せよ!
<参考文献>
ペットのためのハーブ大百科 Herbs for Pets