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神秘的な猫の行動といえばやはり「ゴロゴロ」だろう。「ゴロゴロ」といってもランチ前のOLの腹部から出る音ではない。あなたの膝の上に座る時や食事をしている時など猫が「快適」と感じる時に出す喉鳴らし(Purring)である。

あの「ゴロゴロ」はいったいどうやって「演奏」されるのか知りたい猫ファンは数多いだろう。

ゴロゴロと喉を鳴らす音は「声帯を空気が通過する結果ではなく、気管と横隔膜の筋肉の共鳴による咽頭の振動である」とDr. Houptは説明しているが、他にも喉頭質皺壁(こうとうしつしゅうへき)という仮声帯が振るえているのではないか?麻布大学獣医学部 武藤教授)、大動脈が振るえているのではないか?あるいは舌骨が振動しているのではないか?などいくつか通説が提唱されているが残念ながら明確なエビデンスはない。

本来「ゴロゴロ」は子猫と母猫がコミュニケートするために使われていた。つまり目も開かず、聴覚や匂いも十分ではない子猫が唯一感じることができるのは喉を鳴らす音によって作り出される「振動」。その振動だけが母親の存在を確認する方法で、母親は子猫の「ゴロゴロ」を確認して看病するのである。

一般的に喉を鳴らす音は猫の満足と関連しているが、必ずしもそうではない。例えば慢性疾患あるいは激痛を伴う病態であったり、生理的あるいは心理学的な圧力があると猫がゴロゴロと喉を鳴らすケースがある

そんな研究はないだろうと諦めていたら「ゴロゴロ」を科学的に検証した論文があった。研究者は「ゴロゴロ」には骨芽細胞を活性化し骨折の治癒促進効果や骨を強化する役割を果たしている可能性があると示唆している。
つまり喉を鳴らす音の可聴周波数は25~150Hzといわれているが、「ゴロゴロ」の周波数 (27~44Hz)と人間の骨密度を強化する周波数(20-50 Hz)が一致するというのだ。

あなたが猫と多くの骨折した骨の“部品”を同じ部屋に置くと、猫は骨を組み立て直すことができるという獣医師の古い格言や高層マンションから落下しても90%が生存したという論文も関係があるかもしれない。またウサギを使った実験[Chen et.al (1994)]でも25~50Hzの機械的振動が骨の強さを20%促進して、骨折の回復を促進することがわかった。

さらに50-150Hzの振動的な刺激は慢性の痛みに苦しむ82%の人々で苦痛を軽減した(Lundeberg、1983)というが出産中のメスネコがゴロゴロと喉を鳴らすのは、「ゴロゴロ周波数」で出産の痛みを減少させるという「ゴロゴロ作戦」かもしれない。


僭越ながらははぐれ獣医的に推論すると猫のゴロゴロは「ひとりオルゴール療法」の意味合いもあるかもしれない。

オルゴール療法とは人の可聴域を超える低・高周波が脳幹を刺激し治癒力を活性化し心身の恒常性を取り戻すことである。実際、超低周波と高周波は脳幹と視床下部の血流を促進することが科学的に証明(第4回神経科学世界大会)されている。つまりオルゴールを聴くことによって身体の司令塔である脳が活性化されリラクゼーションを呼び戻し、自然の治癒力を引き出してくれるということだ。猫のゴロゴロにも同じようなメカニズムが働いていると仮定すると、猫は「ひとりオルゴール療法」を実践して治癒力を促進させようとしているのかもしれない。

スイス製の高級オルゴールで聴く「パッヘルベルのカノン」もいいが、「猫のゴロゴロ」も負けてない!


キーワード 猫 ゴロゴロ 喉鳴らし オルゴール療法


この記事の自己採点★★★★☆


参考文献 The Felid Purr: A healing mechanism?

High-rise syndrome in cats.

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