先日「今度の土曜の午後6時、15名で予約したい」というメールがありました。
我々が一度に対応できる(お料理を全員に目立った遅延なくお出しできる)人数は10人位がMaxなので、当日15名様が着席してから各々が別々のお料理を注文することになったら大変です。
「ご予算に応じてセットなりコースなりをご提案させていただきますので、前もってご注文いただくことは可能でしょうか?」
という返信をしたのですが、
「みんな好きなものを注文したいので、それは難しい」
ということでした。
「我々は二人だけでレストランを運営しているので、とても時間がかかる上に、みなさま同時にお料理を提供することは非常に難しいのですが、それでもよろしいでしょうか?」
そう、VegiLiciousは総勢二人(昭と亜津子です)のレストランです。
「総勢二人」というのは、「客席が」とか「厨房が」という意味ではなく、「レストラン全体で」という意味です(-_-;)
「もちろん、大丈夫。みんな寛容で忍耐強いから」
という返信をいただきました。
当日、ご来店30分前に15名様のテーブルをセットし終えたあと、メールに着信があることに氣づきました。開いてみると、
「30名になったので、よろしく!」
とのこと!!
「えぇぇ~~~!!!」
と驚いている間もなく、ディナーの開店時刻になりました。
大慌てで、15名様のテーブルを20名様用に作り直し、さらに10名様用のテーブルを用意しました。
「本当に来るのかなぁ、いたずらじゃないだろうなぁ」
などと思っていたのですが、まずは、通常のお客様が2組ご来店です。
そして・・・
続々とやってきました!
総勢30人!
あっちからもこっちからも「オーダー取って~」「会計は別々で~」と注文が始まってしまい、
私(昭)1人では把握しきれなくなってしまいました。(亜津子は厨房で先客様のお料理を調理中)
(どこが寛容で忍耐強いねん)と思いそうになりましたが、そこでお客様の中の親切な方数人が、
「いいから、あんたはキッチンに戻って料理作りに専念して。私たちが注文取ってあげるから」
(まさに大阪にいる世話好きなおばちゃんでした)
ということで、各々の注文を取ってくださり、紙に注文主の名前と料理名を書いて順次厨房に持ってきてくださいました。
お冷もコップにいれてどんどん運んでくださり、また、料理ができるとお運びもしてくださいました。
最初の料理を出してから、最後の料理をお出しするまで1時間半位かかったと思いますが、みなさん、とても寛容で忍耐強く待ってくださいました。
お食事が終わると、空いたお皿をシンクのところに持ってきてくれたり!
お誕生日の方がいるというので、「その方にケーキをサービスします」と言うと、一番仕切ってくださった女性(アニータさん)が、
「じゃ、ケーキ出すときに日本の「ハッピーバースデー」を歌って♪」
とリクエストされたので、
「日本には「ハッピーバースデー」の歌はありません」
と言うと、
「えぇ~、あるでしょう! だってジャパニーズレストラン行ったら、誕生日の人に日本語で手拍子しながら歌ってるわよ~」
・・・それは、確かにそのとおりで、アメリカの日本食レストランでは「ハッピーバースデー」の代わりに、なぜか「幸せなら手を叩こう」がよく歌われるのです。
幸せなら手を叩こう チャンチャン(手拍子)
のアレですね。
「いやぁ~・・・」
と言っていたら、
「歌って、歌って、いいわね!」
と押されてしまい、仕方なく「オーケー・・・」と承諾させられてしまいました。
そして、照明を落とし、キャンドルに火を灯したケーキを誕生日の方に持っていくと、お客様全員から自然発生的に「ハッピーバースデー」の歌が~♪
(やったぁ!これで歌わなくて済む・・・)
と思っていたら、
「・・・ハッピーバースデートゥーユー~♪」のエンディングと同時に、アニータさんが、
「次、ジャパニーズバージョン! 1、2、3!」
と叫んでしまったからタイヘンです!
肚を決めた私(昭)が、
「幸せなら・・・」と歌いだすと、亜津子も遠慮がちに「手を叩こう」
アニータさんが、チャンチャンと手拍子!
30人全員が、チャンチャンと手拍子!!
大盛り上がりの日本版ハッピーバースデーの歌(?)でした。
そして、多くの方がケーキを注文してくださいました。
そして、そして、お勘定作りです。十数枚ある、素人さんの手書きの伝票から、注文主ごとにお勘定を作らなくてはいけません。
注文を取ってくれた人はもちろん、出来上がったお勘定も当人の方々が漏れがないかしっかり確認してくださるなど、すごく協力してくださり、正直にお金を払っていってくださいました。
あまりにも人数が多く、ごった返していたので、こっそり帰ったり、ごまかしたり、しようと思えばいくらでもできるのに、最後に集計したら金額はきっちり合っていました。
驚いたことに、最後に集計しているとき、「お金が足りていなかったら、私が払うから」と残ってくれた人が何人もいました。
来店されたときは、みなさんお腹がすいていたのでしょう、三々五々、凄まじい勢いで勝手に注文され、パニックに陥りかけましたが、優しい素敵な方ばかりでした。
30名様、みなさん笑顔で「ワンダフル!」を連呼しながら帰っていかれました。
本当に凄まじい、そして幸せな夜でした。手を叩こう、チャンチャン♪