前回の記事
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こんばんわ!
何か、だんだん、難しい話になってきたような気がしますが、もう少しお付き合いいただけると嬉しいです。
楽器の材料も本物の条件になる可能性があるということを前回、書かせていただきました。
そういえば、身近なところでリコーダーもそうですね。
小中学校で、プラスチックのリコーダーを使用された方も多いでしょうが、リコーダーの材質は木であって、プラスチックとは別物だと言われる方も多いです。
逆に"あるメーカーのこのプラ管のリコーダーが良い!"と推奨されるリコーダー奏者もいらしゃるので、やはり、本物基準はそれぞれです。
話を動物製に戻しますが、もともと動物の部位を使っている楽器であるならば、当然そこがその部位であることが本物の最低条件です。
制作販売の歴史を振り返ってみると、世界中の部族(日本人も含めて)、大方、必要な分だけ、政制作しました。
となると1~2部族に1人ぐらいの製作者が居れば、充分で、当時(現代も?)のことを思えば、これで"金儲け"をしようとは考えませんでした。「足るを知っていた。」のでしょう。
逆に乱獲は、悪とされていたはずです。
少なくなってくれば、木を植えたように、必ず、考えた先人達です。
ところが、儀式から演奏楽器になってきた時、外から"間違ったビジネス:金儲け"が入ってきました。今まで、数部落がマーケットでしたが、いきなり、1国とか世界がマーケットになり、供給を増やさないと対応できなくなりました。
動物の部位が必要ならば、当然、乱獲が始まります。
先回の記事で書きましたジェンベ奏者、ママディ・ケイタ氏が世界に登場した時、ギニアの長老達が反対して理由に、この乱獲の心配もあったのではないでしょうか?
さて、この乱獲に歯止めがかけられた条約があります。
絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約
長い名称ですね!!
ご存知の方も多いと思いますが、これが
別名 ワシントン条約
です。
この条約により、日本国内で、品薄になったものがあります。
それは
中国の"二胡"です。
ボディの部分のニシキヘビの皮が用いられます。
当然、ワシントン条約の対象となります。
中国に行って、二胡を仕入れたとします。
7~8年前までは、上海の事務所で、約3ヶ月くらいで許可が下りたため、滞在中に持ち帰ることができました。その後、ワシントン条約が厳しくなり(という中国側に話ですが・・・)、北京に事務所が移り、6ヶ月~1年が必要となりました。多くの業者は、エージェントを立てて、自身は帰国するパターンとなりました。
最近は、取り扱っていないので、様子はわかりませんが。
Wikipediaにもありますように、プリント貼りという代用皮革も存在しています。(私も取り扱っていました)
二胡は最低7~10万円ぐらい出したほうが良い。1~2万円のものを選ぶならば、1万円以下のプリント貼りの方が良い音がすると言われました。(当時、日本国内には、二胡の先生が沢山いらっしゃり、自分の故郷の工房から50万~100万ぐらいで生徒に買わせていました。(・・;))
ただ、あくまで、プリント貼りは、練習楽器であって、本番では使えないというのが大方の認識です。
正直、本物のニシキヘビにこだわらなければ、品薄という認識にはならなかったはずです。
もう一つご紹介します。
ワシントン条約にひっかかったかどうか確認できませんでしたが、南米フォルクローレの弦楽器で「チャランゴ」という楽器があります。
16世紀にスペインから持ち込まれた楽器(ギター)が起源とされていますが、このチャランゴのボディは、もともとアルマジロを使っていました。
ところがそのアルマジロが手に入らないということで、現在、ほとんどが木製です。Wikipediaには、「プロの演奏家の使用に耐える楽器はほとんどが木製である。」とありますが、木製になったのは、最近だったはずです。
このようにプロに受け入れられた代用楽器も存在します。
絶滅危惧種になって、このようになっているのでは、遅すぎですが、ワシントン条約は、乱獲の最後の砦になっています。
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