プエルトリコ戦とか | バレーボールワールド     中西美雁の日々是排球

プエルトリコ戦とか

OQTが始まりました。

女子を2戦見て思った事は、やはり柳本さんはくせものだなと。

こういう大会ではガチガチに固めてきましたね。

戦術的にも「そうだよなー」ということが多い。

多分緒戦で全てが決まると踏んで、全てを賭けてこられたのでしょう。

栗原と木村の速めのバックアタックもいい試みだと思いますし、サイドの控えが全然いなかった昨年度に比べ、狩野美雪という攻守共に手堅いリザーブメンバーをラインナップ。さらに、レフトでの実戦経験も豊富な、ムードのある櫻井をレシーブ固め要員でアップゾーンに入れておく。ベテランの多治見と大村がワンポイント用。

問題はテンちゃんがまさかの怪我などになったときにどうするんだろう…というところくらいでしょうか。

ボニッタは本大会に向けて色々考えてる途中かな。
プエルトリコの印象は一昔前のブラジル女子に似ています。相手の凡ミスで点をもらえましたが、身体能力は高いし、精度を上げてきたらかなり危ない相手。特に9番が筋肉の付き方といい、攻撃も守りもセンスが良いことといい、大変バランスの良い選手で、一緒に見ていたスタッフTさんと「ヨーロッパのクラブでやってるのかな?」と言い合っていたくらい。

この9番を封じようとしてサーブで狙ったそうなんですけど、今度は9番以外の選手をのせちゃったので、セットを落とす事になった…というのが柳本監督の分析でした。なるほど。

ラテンの国はかようにのせると恐ろしい。11番の選手なんかは、サーブでも連続得点してましたし、ブロックをはねのけるパワースパイクを打ってきていて、ほんとにこのチーム、精度を上げてこられたらイヤだなーと思いました。センターが重戦車みたいな感じなのは男子もなので、この国のポリシーなんですかね。
でも、このセンターがいることで、レセプションが返ったときに凄く鋭角的なAクイックを多用できてたのかな。あと、後半は結構こっちのブロードに対応してブロックがついてきていましたね。


シンちゃんが(こう書くと前に「くれよん」てつけたくな……りません)イマイチサーブレシーブでよろしくなくて狩野お姉さんに替えられた後、外からブロックをどう抜くかを見て入って攻撃が決まりだしてから調子を取り戻せたので、上手く帳尻が合ったといいますか。シンも言ってみればラテン系気質の選手なので、上手く自分で自分を乗せる事が必要なんでしょう。

あそこまで点差が開く前に狩野お姉さんを入れてもよかったかも知れませんが、あの時点で入れた事も、あのまま守備大崩壊になって日本がめろめろ、相手をお立ち台の上に載せてしまうより、きっちり締めて終われましたし、狩野自身もちゃんとブロック抜いてスパイク決めてましたから、今後の計算が立ったわけで、意味はありました。

男子もそうなんですけど、女子も単に強く打つのではなくて、前後にゆさぶる戦略的なサーブを打つようになってきてますね。バックアタックを生かすために、シンと佐野ちゃんが2枚で受けるローテが、やはり狙われてるようです。まあ、私が相手の監督でもその場面がチャンス!って思いますし。

女子の場合は、本大会でいかに戦うかを頭に置きながら観戦するのも一興でしょう。

男子はえーと…

質問があったので私なりのお答えを。

●なんで男子バレーの方が(というか男子競技全般に言える事だと思いますが)五輪出場のハードルが高いんですか?

一つには、男子スポーツと、女子スポーツの世界的な普及度の違いがあると思います。
アテネ開催国だったギリシャでも、女子スポーツはオリンピア以来の伝統ある陸上以外はあまり人気もなく、きちんと取り組んでない印象でした。
何年か前のエジプトチームの選手数人がタオルで顔を隠しながらプレーしていた事をご記憶の方もいらっしゃるでしょうが、宗教的・文化的な問題からも、プロはもちろんの事、企業アマレベルであっても女子スポーツにきちんと取り組んでいる国は、男子に比べて圧倒的に少ないと思います。

私は、個人的には、男子バレーはFIVB加盟国数から考えても、12チームでなく、サッカー並に15か16くらいに五輪出場参加国を増やすのが適正だと考えています。
FIVB加盟国数は、確かFIFA加盟国数と同じくらいか、少し上回っているくらいだったように記憶しています。


●男子バレーのメディアでの扱いが、女子バレーに比べるとひどすぎませんか?

ははは。はい、そうですね。全く仰るとおりだと思います。
「女子より弱いから」とよく切り捨てられますが、2005年は、女子より男子の方が成績がよかったにもかかわらず、男子はほとんど黙殺されてました。

一つには、「東洋の魔女」以来の「女子バレー好き」な国民性があると思います。
んが、ミュンヘン以来何度もある「男子バレー人気」の説明がつきません。

これも私の非常に個人的な見解ですが、テレビ・紙媒体ひっくるめて、メディアの男性に女子バレー好き、なぜか男子バレーアンチが多いように思います。
単なる個人的な感触なので、軽い気持ちで読んでくださいね。

マーケット自体は男子バレーもかなりあると思うんですが、メディアの中にいる「男子バレー好き」の男性って滅多に会わないです。バレー好きって言っていても、女子だけで、男子については、事実をねじ曲げることさえして、「男子バレーはダメ」と言う人が多い……ような気がします。
上に書いたように、近年でも2005年は、アジア選手権でもグラチャンでも男子の方が順位が上なんですよ。また、長らくリーグの動員人数でも、男子は女子を上回ってきました。
それなのに「男子バレーは人気も成績も女子バレーに劣っていて存在価値がない」などと平気で言う人が……メディアにいる男性には多いです。

もう、だったら男子についてはほっといてよ!と言いたくなるほどです。でも、「女子バレーだけが好き」というのはさすがにはばかられるのか、一応「男子も見ますけど、男子はダメですねえ」みたいな。

現代社会はやはり男性社会ですから、メディアの女性で男子バレー好きがいても、なかなか管理職とか、決定権があるところにはまだ少ないですし、上記のような男性上司に気に入られるためには、あえて男子バレーをけなすことも処世術として必要なのでしょう。

そして、マーケットの大多数を占める女性ファンと、男性が考える「男子バレーの売り方」にギャップがあるのも間違いないところだと思います。
それから、4年前、8年前の五輪予選とOQTを知るものとして……
テレビ局さんと大手媒体さんは、男子バレーに本当に切符とって欲しい気持ちがあるんでしょうか。
どうせ切符がとれないなら、自社だけが数字をとるため……みたいな考え方は、何卒、何卒棚上げして頂きたく、平にお願い申し上げる次第でございます。
この辺は、いろんな方と意見を交わしてみたい気もしますが、とりあえずはこの辺で。


*沈没している間に、辛い事、むごい事もたくさんありました(今も継続中だったりとか)が、懐かしい人から安否を気遣うメールをもらったり、見知らぬ方に励まして頂いたり、元気をもらえる事もたくさんありました。

バレーを愛する人間として、できることをマイペースでやっていこうと思います。