明け切ってます | バレーボールワールド     中西美雁の日々是排球

明け切ってます

年末から年始、公私ともにかつ心身ともに大沈没していて、マリアナ海溝くらいの深さに沈殿していたので全然後進できませんでした。って後ろに進んでどうする。ATOKまで弱まってるようです。すみません。年賀状も1枚も書けずじまいでした。年賀状下さった方もすごいごめんなさい。


やっとちょっと浮上できたので広島大会に行きました。
それも3日目だけ…。どんだけ弱ってるねん>自分


今日の感想は

タレントがちゃんと輝いているのを見るのはちょっと泣ける。


です。タレントってのは「テレビタレント」っていう意味じゃなくて、原語の方です。神様から才能(タレント)もらった人たちがちゃんとそれを行使して試合が進んでました。

具体的に言うと加藤が久しぶりに王子でした。ほんとすごい久しぶりに。カットもつなぎもスパイクも全部王子でした。泣けました。自分が弱ってたからかも知れないけど。

加藤だけじゃなくて、武もちゃんと筑波の頃の武でした。カットもつなぎもスパイクも。顔つきも。ここ数年の、血統の良いハンサムなでかい犬がしょんぼりしてるような印象はみじんもありませんでした。

武とゴッツがフル回転して、増野がびゅんびゅん飛び回ってると、ボールが落ちない。
JTも、今年のJTはずいぶんつなぎが良くなってるのでボールが落ちない。両チームともブロックがいいのも関係しているかも。

「男子バレーはラリーがなくて大味だからつまらない」というよくある知ったかぶりを粉砕してくれるような良いゲームでした。やってるバレーの質が高くなれば、決してそんなことはないのです。


直弘もちゃんと最後まで良いスパイクを決めていました。
前の日のJTはみんなしてすごく駄目だったそうなんですけど、今日の試合を見る限りでは全員が同じ水準で働ける良いチームだったと思います。栗生澤監督によれば、リーグが進むにつれて、たとえば平野といった今ベンチ外にいる選手も様子を見て使っていくかもとのこと。

その前の試合のサントリー東レ戦では桑田がそこそこ良い働きをしていましたし、なんていうかこう、将来を嘱望されていた大学バレーの星だった子達が活躍するのを見るのは純粋に嬉しいですね。そうじゃなかった選手が活躍するのももちろん大事なんですけど、日本は何かそういうタレントがなかなか成長できない環境があるように思う。ラリーポイントのせいなのかなあ……。


でも大学バレーの存在意義について過去も今も思うところはたくさんあるのですが、最近もある人とそのことについて話していてお互いに「そうだよね」となったことが一つ。

前にも書いたことがありますが、監督のスキルと経験値という意味では、大学バレー、高校バレーの名監督は、Vの監督も学べるものがたくさんあるような気がします。

選手の士気の上げ方、組織の作り方、試合への持って行き方、そして試合中の流れの読み方、変え方。上手い人は見ていて「やっぱり上手い!」って思いますもん。
男子のVには外国人監督以外はプロの監督がいないわけですけど、学校バレーの監督さんはプロじゃないけどプロに近い感覚があるような。いや、プロだったら全部良いかっていうとそうでもないんだけど……。
そして学校バレーの指導者が全部すごいかっていうともちろんそんなことは全然なくて、単に怒鳴ってるだけの人も結構いるんですけどね。

私は両親ともに国文の先生という超文化系の家庭に育ってるので、そもそも体育会系のノリっていうのが生理的にそんなに得意じゃないんですけど、記者としてずっと見ているうちにだんだん分かってきました。
自分が威張りたくて、感情的にむかつくから怒鳴ってるだけの人と、感情をコントロールして生徒や学生を「叱る」人の違いが。


閑話休題。

「アウェイの大盛り上がり(日本と違ってブーイングなんかも当然ある)の中で試合をするのは大変じゃない?」

という質問に、ずっと以前加藤は
「敵の応援でも、誰もいない中でやるよりは見てる人がいっぱいいる方が全然モチベーション上がりますよ」

と答えてくれたものだが、数年後に同じ質問を山村にしたら全く同じ答えが返ってきて、そのまた翌年に柴田にしたらやっぱり全く同じ回答が返ってきたし、去年だったかにゴッツにしても同じ答えだった。今年ドイツに行ってる勝野に聞いても同じだった。

いや、同じ質問、他の選手にもたくさんしてるんですよ。でもこの回答を、本心からちゃんとそう思ってるんだなという印象で返してくれた人たちが上記の選手だったわけ。
んで、「ん?」と思ったら全員同じ大学の卒業生だったという。
こういうのがかいま見えるとなかなかおもしろい。東海や日体、順天の選手にある質問をし続けたら、やっぱり一本筋が流れてるのが見えるのかなとか想像するのもね。
あの上野先生が指導する大商大出身のセッターにもいろいろ聞いてみたいな……筆頭は柳本さんか。うーん…………ちょっと難儀だな。

とちょっと脇道にそれちゃったけど、トップチームの数が限られていて選手生命も限られている中で、どうあるのがシステム的に一番良いのか自分にはだんだんわかんなくなってきた。
法政が強かった最後の頃、筑波対法政の決勝は、ファンもたくさんいたし試合の内容も結構ハイレベルだった記憶がある。朝日、桑田、綿貫、脇戸、大森、増村、加藤、山口……全日本シニアに呼ばれた経験がある選手をぱっと思い出しただけでもこれだけいた世代。本当だったら全員脂ののりきった中堅からベテランへっていうところなのに、今Vプレミアリーグにいるのってかろうじて加藤と桑田だけですよ。ってごめん脇戸を忘れてた。でもまあ当時期待されていたほどには誰も活躍してないんですよ。なんで? なんでなの?
この世代に限らない。

海外の指導者や選手から、「自分がジュニアで対戦した時に素晴らしかった●●は今どうしてるの?」「●●っていう選手はなかなか良かったから、彼がいたらもっと自分たちは苦しめられたと思うけど、今はいないね。なぜ?」と聞かれて言葉に詰まることはよくある。

才能もあって経験もたくさん積んでいる子達が伸び悩んで、くすんだまま消えていってしまうのはなぜなんだろう。

いろんな仮説は立てられるけど、今自分が強く思うのは、「限りある資源を大切にしよう」……ってあれ? 何かしまらないな。人を資源呼ばわりはいけませんでしたかね。。。。
しかし、「ガチで勝ちに行くチーム」と「タレントの長期育成、とりわけ国際レベルで通用する選手の」ってのの両立は非常に難しいところだ。今のままの状態では、男女ともにナショナルの選手の育成とリーグとの両立がかなり難しくなってきているように思う。山田日立時代は遠くになりにけり、です。でも今更あれに帰れとも言えないし……。

それ考えると堺は偉かったなーと思う。思うから頑張れ堺。子供のころからエースで4番……ルートの対極にいる伊藤様も復活してきていて、「え、バレーやってるの? その国(勉強不足ですいません)」という国からの親子同じ髪型の助っ人がバレーエリートと混在して良いチームを作っている、今季要注目チームの筆頭です。


栗生澤監督の起用法は結構おもしろいなあと思うんですが、この方、大学バレー監督経験者でした。
なんかまとまりつかないですけど今日はこの辺で。