歯痛というか顎の貼れと、昨日からの咳を押して、五反田のSONY CSLのOpen House 2007のDemonstrationに行った。

SONY CSLは思ったよりも、こじんまりしていて、というか米国のSUNのキャンパスをなんだかイメージしていたから、流石にそれは日本で、また都心ではないか。

研究スペースが明るくて清潔で、流石に今日は見学者で熱気ムンムンだったけど、普段は落ち着いて研究に没頭できる環境なんだろうなあ・・・と。


今、一番有名なのはTVキャスターも努めているから脳科学者の茂木健一郎さんなんだろうなあ。

講演では、カツゼツはTVそのままだけど、迫力がすごい。

これからの技術・ビジネスでは脳のOpen-End性偶有性を活かすものだと。脳は常に忘れもするが学習する。意外なこと、びっくりすることは脳の学習につながる。そして確実性に基ずく経済成長の時代は終焉を向かえ、今後の経済の主戦場はこの偶有性をいかに設計するかだという

まさにWeb2.0やGoogleEarthの世界は、脳のOpen-End性と偶有性を刺激するビジネス形態なんだろう。

1+1=2の数式で証明されない世界をどう描くかが、人間中心社会における重要なテーマになる。

パンチ!


ところで、「人間中心社会」と言ったが、SONY CSLでは、これまでのテーマがそれだったそうで、所所長によると今後は『持続可能な社会を支える科学・技術』がテーマだそうだ。

先の茂木さんの話で言えば、食事をいっぱい食べるのが脳の満足ではなくて、大脳を刺激する何かがあった方がむしろ脳は刺激を受けて満足感につながる。だから物質に拘束されない新たな領域が開けるということらしい。


確かにIT技術は、これまで高速化・効率化・大量化により、物質社会を支え増長させてきた。まさに松下幸之助の『水道哲学』=大量のものが安く手に入る社会こそ人類が求める幸福である-の延長でしかなかった。

しかしこれも言われつくされた感もあるが、人類がこれから必要とするのは、物質的な満足でなく、精神的な幸福であり、それにIT技術もきっと貢献しうる/貢献しなければならない。

グッド!


・・・・などなどCSLの超天才たちに触れて、きっと先の茂木さんの講演抜粋も理解が違う、あくまで僕の理解に過ぎないが、大いに啓発されて、ピュアに考えてみました。

音譜


フランク・ニールセンさん;「25分では話しきれないよ!」と今日も言ってらっしゃいましたが、火曜日の講演では超早口で、通訳もかなり諦めてはしょっていたような・・・。「情報計算幾何学」という新しくてかつ注目の研究領域の先駆者ですね。大量のさまざまな情報からビックリするようなものが抽出できるようになったら面白いですね。

ちなみにフランクさんは当社のフットサルの常連メンバーです。


暦本さん;WiFiを使った位置DBをベースにさまざまな事業のプロトタイプを組み上げてます。WiFiが普及している都市部ではGPSよりも精度も良くて、何と言っても建物内でも場所が特定できるし、高さ情報も粗くなら取得できる。すぐにでもビジネスになりそうな・・・。

ちなみに2暦本さんは、当社のCTOの田村さんの元ボス?共同研究者?らしいです。

暦本さんもすごいが、田村さんも改めて敬服。


あと講演では経済物理学の高安さん、地球上の取引を分析することで法則が導き出せるそうです。株価が上昇しだすと数分間はまだまだ上がる期待で買い続けるから株価が上がり続け、10~30分後に人間心理がサチるのではと一変すると暴落するそうです。う~む、これだけでも精緻化したらマクロに資財があれば勝ち続けられそう。

語り口は穏やかだけど、超天才で頭の回路が、僕がWireだとすると、彼はLight(光)だろうなあ。


創薬プロセスにITを活用しようという北野さんのもの。原因遺伝子とその他大量の遺伝子の相互関係を解き明かせば、副作用や後遺症を限定した新たな創薬開発のプロセスが確立できるかも知れないというもの。僕も投資先の創薬ベンチャーの取締役でもあり、まさにそこで行っている勘と経験を活かしたスクリーニングと作用機序の解明作業とも関係ありそうな・・・とも思う一方、まだまだ砂漠を歩むところ(北野さん曰く)らしいので、ステージのズレがあるが。進展に期待。

グローバルな研究リーダらしく、今日はすごい迫力で外人と接していらっしゃった。外人とというより、迫力というか気力が溢れてた。


・・・と昨日に続いて長文でした。非常に知的に啓発された幸せな時間でした。




合格