20080611 日本経済新聞 朝刊

 自民、公明両党は十日、七十五歳以上を対象に四月から導入した後期高齢者医療制度(長寿医療制度)の見直し案を決めた。低所得層の保険料軽減措置を拡充したり、年金からの保険料天引きを一部見直したりするのが柱。同日開いた与党プロジェクトチームで決定した。十二日に政府・与党で正式に決める。
 批判が強い保険料の天引き見直しでは、世帯主か配偶者に扶養される年金収入が年百八十万円未満の人は、世帯主らが肩代わりして口座引き落としを選択できるとした。国民健康保険料を滞納せずに納付してきた人にも本人口座からの引き落としを認める。六十五―七十四歳の高齢者の国民健康保険に加入する世帯主にも適用する。
 保険料の軽減策は、原則として被保険者全員が同水準を払う「均等割」部分と「所得比例部分(所得割)」に分けて対応する。「均等割」部分には現在、二―七割の軽減措置があるが、七割軽減の世帯のうち、年金収入が年八十万円以下の世帯は九割軽減にする。「所得割」に関しても、年金収入が年二百十万円程度までは五〇%程度軽減する。
 保険料軽減の拡充は来年四月から導入し、今年度中は経過措置をとる。均等割の七割軽減を受けている世帯は十月から半年間、保険料徴収を停止し、年間で実質的に「八割五分」軽減とする。
 会社員の被扶養者となっている高齢者の保険料減免措置の延長や、七十―七十四歳の来年度からの窓口負担(現行一割)の二割引き上げ凍結は財源のメドがたたず、今後の検討課題とした。このほか(1)保険料を軽減するかどうかの判定を世帯単位から個人単位に変更する(2)年金天引きの除外対象(現在は年金収入年十八万円未満)を広げる――なども年末にかけて引き続き検討する。




------------------------------------------------