《右脳読書》ノンフィクションを読む。 | 帰ってきた『がん男(マン)』・ジウージョの右脳読書!

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2012年11月、《悪性リンパ腫》が発覚、約8か月の治療を終える。
最後の治療から丸3年の経過観察を終えた頃、再びあの病魔が…。
2016年8月、帰ってきた『がん男(マン)』の治療日記!

便器に浮かんだ使用済みのコンドーム。
セブンイレブンのおでんとガルニシアダイエットの錠剤。
美人エリートOLの彼女は、なぜ殺されたのか?
東電OL

東電OL殺人事件 / 佐野眞一 (第148冊目 / 通算660冊)

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1997(平成7)年3月8日深夜、東京都渋谷区円山町の木造アパートで、女性会社員が何者かによって絞殺された。





これは、とある殺人事件の小説なのか?
いや、この本に書かれていることは、フィクションではない。





殺人事件の被害者は渡辺泰子。
東京電力に務めるOLだ。





被害者の彼女の身元を調べていると、おどろくべき事実が分かった。





昼は美人エリート会社員、しかも、高学歴の女性総合職。
しかし、夜は娼婦という何とも興味深い2つの顔を持っていたのだ。





もちろん、マスコミは取材に奔走した。
逮捕されたのは、ネパール人のゴビンダ・プラサド・マイナリ。
娼婦としての彼女が、最後に性交渉した「客」であった。





この本のプレビューを読んで、ものすごい引力に引き寄せられた。





被害者の彼女の心の奥には、何が潜んでいたのか?という社会の闇を暴きたいという理由なんてこれっぽっちもない。





ただ単に、そこには、まったく自分が想像もできない世界が存在していて、
その世界をのぞき見たいと思った。





渡邊泰子、当時39歳。今のボクとほとんど年齢は変わらない。
彼女は、どんな人生を過ごしてきたのだろうか。
被害者の彼女のことを調べれば調べるほど興味深い。





「渋谷駅から道玄坂をまっすぐ登り、ほぼ登りきったところで右に曲がる。
そこが円山町の入口だ。
彼女は、この約60軒のラブホテルが林立する一帯で客を取っていたのだ」





「32歳ころからクラブのホステスのアルバイトを始め、やがて渋谷界隈で売春を始めるようになった」





「妻帯者の上司との失恋。
二年間付き合った50代の男性の話によると、
売春生活に入ったきっかけは最初のセックス相手が法外なお金をくれたことだ、とのこと」





「円山町のセブンイレブンで、よくオデンを買っていた。
いつも買う具は、シラタキやコンニャクなど油っこくないものだった。
ひとつのカップに具を一つ入れ、汁をどぶどぶ入れていた。
カップはいつも五つくらい使っていた」





「ガルニシアダイエットの錠剤をいつも持ち歩いていた」
※28歳の頃、拒食症で入院したことがあった。





「やせ過ぎというより、ガリガリの体型」





「ホテルに入ったら缶ビールを飲む。
量は決まってレギュラー缶が2本とロング缶が1本。
ビールは、わざわざホテルに入る前にコンビニで購入していた」





「井の頭線の終電で菓子パンを食い散らかしていた」





「円山町の暗がりで立小便していた」





「ビールの空き瓶を集めては、商店で換金してもらい、百円玉を千円札に、千円札を1万円札に逆両替していた」

まさか、お金に困っていたのか?
そんな訳では、まったくなかった。

実際、大手電力会社に勤める総合職の彼女の年収は、1千万円近くもあったからだ。





彼女の父もまた、東京大学を卒業し、日本発送電(現在の東京電力)で仕事をしていた。
大学2年生のとき、彼女が尊敬する父は、重役昇進を目の前にしてガンを患い
50代の若さで他界した。





母親もまた、日本女子大卒で両親ともに高学歴であった。





犯人として逮捕されていたゴビンダ・プラサド・マイナリは、最高裁で無罪を勝ち取った。
一体、彼女は誰に殺されたのだろう。





彼女の人生の断片を読んでみたが、彼女の心の奥底に何が潜んでいたのかは知る由もなかった。





しかし、この物語はフィクションではない。





もしかしたら、私たちの周りにもあるかもしれない物語なのだ。





PS.『東電OL殺人事件』では、多くの地名や建物の名称が登場する。
グーグルマップを使えば、被害者の彼女が渋谷駅からホテル街のある円山町へと向かう
ルートをストリートビューで見ることもできる。

そこで驚愕の事実が…
彼女が殺害された現場である木造アパート『喜寿荘』は現存していたのだ。
場所は渋谷駅から円山町に向かう神泉駅のすぐ近く。

喜寿荘

《まん福亭》の横から入る1階の101号室で、この事件は起こった。








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