◇低緯度、静止軌道乗せやすく 交通便利、地元の協力体制も

 なるほドリ 金星探査機「あかつき」を載せたH2Aロケット17号機が種子島宇宙センター(鹿児島県)から打ち上げられたね。どうして種子島なの?

 記者 緯度30度と日本の中では赤道に近く、気象衛星や通信・放送衛星などを「静止軌道」に乗せるのに便利な場所だからです。静止軌道は赤道の上空約3・6万キロにあり、軌道に乗った衛星は地球の自転と同じ周期で飛行するため、地上からは静止しているように見えます。

 北の高緯度から打ち上げると、衛星の進路が赤道に対して斜めになり、進路を曲げるための余分なエネルギーが多く必要になります。赤道に対して直角に飛行する偵察衛星や、今回のような惑星探査機など、静止軌道以外を目指す衛星の打ち上げは必ずしも低緯度でなくていいのですが、静止軌道衛星の需要が多いため、日本では種子島が選ばれました。

 米航空宇宙局(NASA)が米フロリダ州、欧州宇宙機関(ESA)が南米の仏領ギアナに発射場を置いているのも同じ理由からです。

 Q 沖縄や小笠原諸島(東京都)の方が赤道に近いよ。

 A 種子島が発射場に選ばれたのは1966年で、小笠原復帰(68年)や沖縄返還(72年)の前でした。本土から比較的近く、交通の便が良いのも大きな理由です。鹿児島県肝付町にも発射場がありますが、大型のH2Aロケットには使えません。

 Q 太平洋に向けて打ち上げるのはなぜ?

 A 地球は西から東へ自転していますから、東に向けて打ち上げればスピードアップできます。同じロケットなら、より重い衛星を運べるわけです。種子島でも、発射場は島の東南端にあります。

 Q 漁船は大丈夫?

 A 地元漁協との約束で、打ち上げは原則1月1日~2月28日と7月22日~9月30日の年間130日間に限定されています。このほか特殊事情に応じる別枠(6~7月と11~12月の60日間)の規定もあります。今回は金星への飛行経路の制約があったため、特例として認められました。

 Q 種子島は日本で「宇宙に一番近い島」なんだね。

 A 島内では至る所にロケットの絵や像があり、宇宙基地のある島らしい雰囲気が感じられます。港から発射場へ向かう道路は、ロケットを運ぶ際に邪魔にならないよう、信号機が回転する仕掛けもあります。(科学環境部)

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