交通量の多い道路の近くに住んでいる人は、遠くに住む人よりも認知症を発症するリスクが高いことが明らかになり、2017年1月4日付の『Lancet』で研究成果が発表されました。

これは、カナダオンタリオ州に住む650万人の住民を対象に、交通量の多い道路と、認知症、パーキンソン病、多発性硬化症との相関関係を調べた研究成果によるもの。2001年から2012年の間に、オンタリオ州において、認知症243,611例、パーキンソン病31,577例、多発性硬化症9,247例の発症例を確認。それらの住民の郵便番号から、交通量の多い道路と住居の距離を調べました。

その結果、交通量の多い道路から50メートル以内に住む住民は、300メートル以上遠いところに住む住民よりも7%ほど、認知症を発症する可能性が高いことが明らかになりました。

この結果について研究者らは、大気汚染物質が血流に入り、それが血流を介して脳に到達し、脳細胞にダメージを与えることで、認知症リスクを高めているのではないかと推察しています。

 

The Lancet, 2017 DOI: 10.1016/S0140-6736(16)32399-6
http://dx.doi.org/10.1016/S0140-6736(16)32399-6