ミシガン出張記(3)-アラビア料理と博物館 | ヴァージニア日記 ~初体験オジサンの日常~

ミシガン出張記(3)-アラビア料理と博物館

さて、ミシガン最終話は、恒例のグルメと観光編。


今回、食べ物といえば、アラビア料理につきる。

これまで、たぶんカバブ(串焼き)ぐらいしか食べたことがなかったのだが、

今回のミシガン出張で、とにかくアラビア料理にハマってしまった!

(シャーロッツビルにアラビア料理のレストランがないのは残念だが、今後おそらく

ワシントンDC、ニューヨーク、東京とアラビア料理を食べまくることと思う)


何しろ食いしん坊なので、他のグルメブログにあるようないい写真を

提供できない(食い気がまさって写真どころでない・・・)のは申し訳ないが、

アラビア料理とはどんなものか、少し紹介してみたい。


今回行ったアラビアンレストランは二つ。

一つは、初日の夜にモンゴヴェンさんにごちそうになった、

イーストランシングのSultan'sというお店。

もう一つは、最後の日にアラブ・アメリカン国立博物館の受付のおばさんに

聞いて勧められたディアボーンのCountry's Kitchenというお店。


前者は、「Mideterranean Cuisine(地中海料理)」、後者は「Mideast Cuisine

(中東料理)」と書かれていたが、基本的にはメニューは似たものであった。

(前者はレバノンの人がやっている店とのことで、オリーブオイルやニンニクを

使う点で、イタリア料理やギリシャ料理に似ていた。後者はよくわからないが、

同じパンに白いバター(これがとびきりおいしい!)がついていたのがちょっと

違っていたので、おそらくもっと内陸部の国の料理なのだと思う)


うまくとれている写真があまりないのだが、とりあえず二つ。


2種類のディップ  ワラクイナブ


左は、ホブスというアラブのパン(ピタパンのような感じで非常に美味)をつけて食べるディップ。

左側の白いのがホモスというひよこ豆をペースト状にしたもの、右側の薄いコーヒー色のが、

ムタバルという茄子のペーストである。どちらも最高においしい。

右は、ワラクイナブという料理で、牛ミンチとご飯を葡萄の葉っぱで包んだ料理。

見た目はよくないかもしれないが、これが極めつけに美味い!

(紅色の付け合わせはラディッシュの酢漬けで、日本の蕪の漬け物に似た味)


他にも、ショルバというアドス(レンズ豆のようなもの)のスープ、(もちろん)カバブ、

(名前は忘れたが)ラムのシチューのようなものなど、

どれもこれも、実に美味である!!


(いわゆるエスニック料理には、日本人が「美味い」と思える閾値を超える料理もあるが、

アラビア料理には皆無! 西洋料理のように重たくもなく、日本では受容された歴史の長い

中国料理を除けば、これほど日本人の口に合う外国料理はないのではないかとも思える)


他の特徴としては、


・ご飯は、バーミセリという細く短い麺(糸こんにゃくを細くしたみたい)とともに炒めて炊き

 上げたピラフのような形で出てくる。これがまたどのソースとも合っておいしい。

・イタリアンのエスプレッソのようなデミカップに入れて出てくるアラビアコーヒーも、

 スパイスが効いていて食後にとても合う。

・お菓子もたいへんおいしい。

 (少なくとも私の行ったレストランは二軒とも、お菓子屋を兼ねていた。

 たぶんそういうスタイルが一般的なのだと思う)

・残念ながら、酒類は置いていない。(but 東京のアラビアンレストランには置いてあるようだ)


ということぐらいであろうか。


とにかく、これまでアラビア料理というものを食べたことのない方には、

ぜひ一度食べてみられるよう、強くオススメ したい。



ミシガン州にアラビア料理のレストランが多いのは、当然、ここにアラブ系の移民が多く

住んでいるからである。

モンゴヴェンさんの話では、それまで同じアラブ系ということで、たとえばイスラム教

シーア派の人たちもスンニ派の人たちも、あるいはキリスト教徒やユダヤ教徒も仲良く

暮らしていたこの地域のアラブコミュニティにも、イラク戦争以来、大きな亀裂が入り

つつあるという(親戚がイラクにいる人も多い)。


アラブ系の人たちが特に多いのは、ディアボーンという街(デトロイト空港とデトロイト市内

の中間地点)なので、一人で観光をした出張最後の日は、ここを訪れることにした。

ここにはたくさんの観光施設があるが、時間も限られているので、

アラブ・アメリカン国立博物館ヘンリー・フォード博物館の二つに絞ることにした。


前者はその名の通り、アメリカに移り住んだアラブ系の移民たちの文化と歴史を

伝える場所で、(アメリカにしては)小さな博物館だが、たいへん見応えがある。


アラブ・アメリカン  三大一神教

上左は、どのような地域からアラブ文化圏の人がアメリカにやってきたかという地図。


上右の「宗教」のコーナーは、アラブと言えばイスラームというような通俗的常識とは異なり、

イスラーム(中央)、ユダヤ教(左)、キリスト教(右)という宗教がみなこの地域から生まれ、

今でもそれぞれがアラブで信仰されている宗教の一つである、ということを示している。


スペースの関係上詳しくは説明できないが、デトロイト近辺を訪れる機会のある方は、

ぜひ足をのばしてみられると面白いと思う。



上記のアラブ・アメリカン国立博物館はマイナーだが、

このディアボーン地域で一番有名なのは、(ここにフォードの本社があるということで)

なんといっても、ヘンリー・フォード博物館の方である。


こちらは、現在に至るまでの

ありとあらゆる機械文明の産物の一大展示という感じで、

アメリカの博物館らしく巨大で、見せ方がうまく、大人から小さな子どもまで、

あらゆる人が楽しめるように作られている。


ケネディが銃撃された時のオープンカーをはじめ、アメリカの歴代大統領たちの

乗っていた車がみな展示されていたりもする。


ライト兄弟の飛行機

上は、ライト兄弟が、世界初の動力飛行(1903年だからほぼ100年前)に成功した際の

飛行機のレプリカである(実物はDCの航空宇宙博物館にある)。


今でこそ、ライト兄弟の名は世界中で有名だが、実はこの兄弟の偉業が「世界初動力飛行」

として評価されるようになったのは、ずいぶん後になってからのことのようだ。

というのも、この兄弟、二人とも高校中退の学歴しかなく、生前は何やらうさんくさい「(自称)

発明家」の類と見なす人が多かったようで、彼らの業績が正当に評価されるようになるまで

には時間がかかったようだ。

ライト兄弟は、ビジネスの才もなかったようで、兄は会社を設立したがうまくいかず、

結局失意のうちに亡くなったとのこと。


面白いことに、自動車王ヘンリー・フォードがフォード社を設立したのが、

ライト兄弟の記録的飛行と同じ1903年!

こちらは(同じ発明家でも)商才にめぐまれ、事業家としても大成功。

その偉業を記念して作られた博物館に、ライト兄弟の展示がされているのは、

ちょいと皮肉 感じられた。