ローレル競馬場へ!(後編)
数年前、香港で競馬に行った時は、馬券の買い方、オッズの表示、競馬新聞のデータなどが
比較的日本と似ていたのでほとんど困ることはなかったが、アメリカはやはりずいぶん違うので、
最初はとまどった。
馬券の種類自体は、単勝(=Win、勝ち馬を当てる)、 複勝(これは日本と違い、その馬が2着までに
来れば当たりとなるPlaceと、3着までに来れば当たりとなるShowにわかれている) 、馬単(=Exacta、
1→2着をその通り当てる)、三連単(=Trifecta、1→2→3着をその通り当てる)など、ほとんど日本
と同じなのでわかりやすい。
(それ以外に、連続する複数レースの1着を当てるような、日本にはない種類の馬券もある)
違うのは、馬券の買い方である。
日本(や香港)では、窓口で口頭で言って買うか、マークシートに記入したものを窓口に持って行くか、
あるいは機械にマークシートを入れるかのどれかで、
いずれも現金と引き替えに馬券を買うというシステムである。
アメリカでは、これがけっこうややこしい。
まず、マークシートはない。
窓口で馬券を買う場合は口頭で伝えればよいので、現金でも馬券が買えるのだが、
機械で馬券を買おうとすると、現金では買えないのだ。
どうするかと言うと、まず現金を窓口ないし機械で、voucher(バウチャー)と呼ばれる金券
に換えなければいけない(金券は100ドル、50ドル、20ドル、10ドルのものがある)。
機械で馬券を買う場合は、この金券を機械に入れて、タッチパネルで(競馬場、レース番号、
馬券の種類、馬の番号)入力することになる。
おつりも現金ではなく、おつりの金額を書いた金券の形で出てくる。
慣れればどうってことないシステムであるが、最初はちょっととまどう。。。
アメリカ式のこの馬券購入システムには、便利なところと不便なところがある。
便利なところは、
当たり馬券もまた、バウチャー(金券)の代わりとして馬券の購入に使える
ということだ。
日本だと、たとえ馬券が当たっていても、それを一度換金しないことには、当たった分を
次の馬券の資金に直接回すことはできないが、アメリカではそれが簡単にできるのである。
(なので一旦バウチャーを買っておくと、全然当たらないでそれを使い果たしてしまうまで
は現金を出し入れしなくてよいし、日本の場合のように当たり馬券を換金するたびに、
細かい硬貨が増えて困る、というようなことは起こらない)
不便なところは、
このバウチャー(金券)というのが(馬券も同じだが)、スーパーのレシートに毛がはえた
ような、薄い紙切れだということだ。
・馬券とほとんど見分けがつかないので、おそらく「ハズレ馬券」と一緒にバウチャーを
捨ててしまう人というのがけっこういそうな気がする。
・ポケットになど入れておくと、簡単にしわがついたり、折れ目がついたりするので、
そういうバウチャー(あるいは馬券)を機械に入れると、なかなかうまく入らなかったり、
認識しなかったりしてイライラするのだ。
(自動販売機に札を入れる際に、いくら入れても何度も戻ってくるという経験のある人
は多いだろうが、あれとよく似ている)
日本の競馬場やウィンズのように混雑していて、そのレースの馬券購入締めきり直前には
機械の後ろに人が複数並んでいるようなところでは、絶対に無理なシステムだと思う。
(私の少年時代の愛読書?であった)競馬新聞の表記は、まったく日本のものとは異なる。
あまりに違いすぎて私もまだ読み方をマスターしていないので、ここでは省略する。
(今回は、競馬場に着いてから現地で新聞を購入したので、読み方をマスターする時間すら
なかった・・・)
もう一つ、アメリカでは
オッズ(倍率)および払い戻し金の表示の仕方が日本とまったく違うのである。
・日本の場合、オッズは単純に掛け金が何倍になるかということで(たとえばオッズが20倍
の馬券を200円買って、それが当たったら20×200=4000円払い戻してもらえること
になる。
・払い戻し金は、その馬券を100円(馬券購入の最低単位)買った場合、いくら払い戻される
かというように表示される。
なので、オッズと払戻額の表示は100倍桁が違うだけで基本は同じだ。
アメリカの場合、
オッズの表示は、馬券を買った額1に対してそれが当たった場合いくら儲けることになるか、
というもので日本のような「倍率」とは若干違う。
なのでオッズに10とあると、日本の計算では「11倍」ということになる。
また、10と書いてあるのは正確には「10-1」(1に対して10儲けられる)ということなのだが、
たとえば「3-2」というような表示がされる場合があり、これは同じように2を買った場合に
3儲かるということなので、2ドル買えば5ドルの払い戻し、つまり日本のような倍率計算で
は、「2.5倍」という意味になるので、ややこしいのだ。
実は、今回5つのレースを観戦し、そのすべてで馬券を買ったのだが、
当たったのは1回。 第3レースだけであった。
このレースで、私は(パドックで馬体を見ても、それまでの最高タイムを見ても)1番の馬の力
が抜けていると判断し、1→2、1→4、1→6、1→7という4枚のExacta(馬単)を5ドルずつ
買った。
TV画面上のオッズを見たところ、どれも20~30ぐらいの表示(実際には21倍~31倍と
いうこと)であった。
そして、レースは、1番が予想通り逃げてそのまま楽勝! 2番が2着に入り、
やった、当たり~っ!!
となったのだが、配当金に関してはちょっと当てがはずれてしまった。。。
私は「悪くても20倍」と思っていたので、最低100ドルは払い戻せる(最初の2つの
レースで負けた分は余裕で取り返してプラスになる)と思っていたのだが、、、、
実は、払い戻しは14.4。
(→アメリカではオッズ表示と同じ形で、払い戻し金が表示されるのだな・・・
とこの時は思っていた)
日本の中央競馬の場合、馬券を買う人の数(馬券の購入額の合計)が多いため、
レース直前の5分やそこらで、20倍以上の馬券が14倍になってしまう、などということ
はほとんどあり得ない。
ところが、ことローレルに関する限り、この日の入場者数の少なさを見れば、
締めきり直前でその馬券を買う人が増えた場合、このように短時間でオッズが
急降下することは十分あり得ることである。
まあ、いいか。。。
14.4倍なら70ドルは返ってくるし、ちょうどトントンぐらいには戻るしなあ・・・
と思って的中馬券を機械に入れたところ、
出てきたバウチャーの金額は、36ドル。。。。
最初は何かの間違いだと思ったが、とあるHPからコピーして持ってきていた
(あまりちゃんと読んでいなかった)アメリカ競馬についての情報を見直して
みて、理由がわかった。
アメリカの払い戻し金の表示は、「何倍」ではなく、2ドルがいくらになるか
(馬券の最低購入単位が2ドルのため)という表示なのである!
→つまり、
それを2で割らないと、いわゆる「倍率」にはならないのだ。
(考えてみれば、日本と同じように最低購入額に対する払戻金が表示されている
わけだが、それが1ドルではないためにこんなにわかりにくくなるのだ)
つまり私が買って当たった1→2という馬単の馬券の倍率は、
そもそも20倍以上だった・・・のが 直前になってその馬券を買う人が増え、
7.2倍まで下がっていた ということになる。。。
で、当たったのはこのレースだけ。
その後の2レースとも(別にこれで気落ちしたせいではなく)当たらず、
結局最初に買ったバウチャーの100ドル分だけ負け(うち女房の分が
20ドルほど)ということで、トボトボと競馬場を後にすることになった、
というわけでした。
まあ、私たちが観戦したレースは、14頭立てで大穴が出た第5レース(例の
フライング馬が出たレース)を除くと、みな出走頭数が少なく(5~8頭)、
馬券を買うにはあまり妙味のないレースばかりであった。
第1~第4レースまではほとんど本命ばかりの決着であったので、
人気薄の逃げ馬を狙ったり、1番人気だけをはずして買ったりした私は
一つしか当たらなかったものの、
アメリカで競馬を楽しんだ というだけで十分満足の一日でした。
(完)