元教え子がシャーロッツビルに! | ヴァージニア日記 ~初体験オジサンの日常~

元教え子がシャーロッツビルに!

着いたその日に数時間の停電、その翌日には駐車違反で車をレッカー移動されるなど、

のっけから低確率の出来事がバンバン起こっていた今回のアメリカ滞在。


その後も、低確率の、(といっても)嬉しい出会いはいくつも続いたが、

今回ばかりは、まさに ビックリ ! としか言いようがない。


ここ、シャーロッツビルで11年ぶりに再会を果たしたのは、下の写真の夫婦。

二人とも、(私が今のT大学医学部に転勤する前)Y高専で教えていた時の

教え子である。


KW夫妻

二人は同級生で、同じ学科(電子制御工学科)の卒業。

右が夫君のKW君。 左が奥さんのA子さんである。


KW君は、Y高専卒業後渡米し、アリゾナ大学に留学。その後、ミシガン大学大学院に

進み、勉強・研究を続けている。新しい電波望遠鏡を作るプロジェクト(私は専門外なので

よくわからないが)に関わっていることから、ここシャーロッツビルにある国立電波天文台

で研究しながら、博士論文を書くとのことで、この2月にシャーロッツビルにやってきたので

ある。


奥さんのA子さんは、Y高専卒業後、青年海外協力隊の一員としてタンザニアに派遣され、

その後日本の大学を卒業してからKW君と結婚して渡米、ミシガンではエンジニアとして

働いていたという。


彼らは、自分たちが移り住むことになったシャーロッツビルについての情報を

インターネットで検索していたところ、私のブログを発見!!

最初はもちろんそれが私だとは気づかなかったようであるが、

「宗教学・倫理学」という専門分野、Andyというペンネーム(タイトルの下を見てもらえば

おわかりの通り、uva(うば?)じゃないんです!)などを見て、「もしかしたら」と思い、

読み進んでいくと、故郷山陰の話が出てきて、「もしかどころではないかも」となり、

ついには私の写真を発見して、ビックリしたようだ!


それで、KW君がいきなり私にメールをくれたのであるが、(おそらく彼ら以上に)

私がビックリしてしまった、というわけ。


夫君のKW君については、名前は覚えていたものの、顔までは覚えていなかったが、

奥さんのA子さん(旧姓KDさん)については、名前も顔もよく覚えていた。


10年以上経っているとはいえ、彼らが私のことを覚えていても、別に不思議はない。

しかし、私がY高専に勤めていた9年間で教えた学生は、1年で5学科約200人に

もわたるので、9年間でざっと1800人!

私が担任をしていたとか、クラブの顧問をしていたという学生以外では(二人とも

それには該当しない)、10年以上経っても名前を覚えている学生

などというのはきわめて少数である。


しかも、Y高専のあるY市(T大学医学部もここにあるので、私はずっとそこに住んでいる)は、

人口13万人あまりの、山陰の小さな地方都市である。


ここシャーロッツビルも、市内だけだと約4万人、周辺地域を合わせても約15万人という

小さな街である。


「東京で教えていた教え子とニューヨークで再会する」というのとはわけが違うのだ!!


これが、一体どのくらいの 低確率の再会 であるかを考えると、

まさに気が遠くなるほどである。



夫君のKW君とは、先月に二回会ったのであるが、

奥さんのA子さんの方はミシガンでの仕事の関係で夫君より1ヶ月遅れてシャーロッツビルに

越してきたため、二人揃って会うのは、おとといの夜、わが家のディナーにおいでいただいた

時が初めてであった。


ところでこのKW君、

まあ、「いまどき、これぐらい無口な人というのがこの世にいるのだろうか!」

とこちらが思うぐらい、無口な男である。


まさに、「男は黙ってサッポロビール!」(彼はお酒を飲まないが・・・)を

絵に描いたような・・・

(ちなみにKW君はミシガンにいた頃、「シカゴマラソン完走歴」をもつランナー。

うーん、寡黙で黙々と走り続ける長距離ランナー! シブい・・・・・・


KW君と(だけ)会話していると、昔のNHKの相撲放送を思い出す。


今は(お相撲さんにかぎらず)スポーツ選手はみなよくしゃべるが、

むかしのお相撲さんというのは、とてつもなく無口な人が多く、

NHKのアナウンサーは思いっきり苦労していたものだ。

たとえば、横綱を倒して金星を挙げた若手力士にアナウンサーがインタビュー。

アナ「1敗の横綱を見事倒して金星を挙げられた○○関です。

   どうもおめでとうございます! 今のお気持ちは?」

力士「え、まあ・・・(嬉しそうな顔)」

アナ「もう、この笑顔です!」

   「○○関、今日の勝因はなんでしょう?」

力士「え、まあ・・・いつもとおなじ・・・・・」

アナ「ああ、横綱戦だからと言って特に緊張したりすることなく、平常心で

   取り組みに臨めたのがよかった、ということですね」

   「ところで、前頭2枚目という大変な位置で、これで勝ち越しまで

    あと1番になりました。これからの抱負をお聞かせ下さい」

力士「え、まあ・・・一番一番・・・・・」

アナ「あと残り5日間、一番一番がんばって大切に取っていきたい、と

   いうことです。どうもありがとうございました。○○関にお話をうかがい

   ました」


というような調子である! 


インタビューをこうやって書き起こして見ると、力士がしゃべった内容は

一行にも満たず(「え、まあ・・・」を抜くと、「いつもとおなじ」と「一番一番」

のみ)、アナウンサーがこうやって彼の言いたいことを無理矢理に補って

あげないと、そもそもインタビューが成立しないのだ。


KW君の場合も、ちょっとこれに似たところがある。

(彼の場合は「え、まあ・・・・」ではなくて、

「そうですね・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

(点の長さで沈黙の時間を表現したつもり)

というのが口癖。


そんなわけで、私とうちの女房という(平均よりはかなりおしゃべりな)二人が

寄ってたかっても、KW君一人とだと、(別に楽しくないわけではないのだが)

どうしても会話がスムーズには進行しない。


でもまあ、夫婦というのはうまくできているもので、(互いを補い合うかのように)

奥さんのA子さんは、相当なおしゃべり!


おとといも、6時半にはじめたディナーなのに、気がついたら11時を過ぎている

ぐらい会話がはずんだ。


途中、A子さんがときどき、「△△さん(KW君の名前)、いかがですか?」

と夫君に話を振るのであるが、それでもニタニタ笑いながらほとんど黙っている(!)

KW君の姿がなんとも可笑しかったです。


私たちよりもずっと年上の、何十年も連れ添った仲の良いご夫婦と話をするのも

いろいろ勉強になって楽しいですが、こういう、ほほえましく、将来が楽しみな

若い夫婦と話をするのも、またいいものです。