辛さの壁 | ヴァージニア日記 ~初体験オジサンの日常~

辛さの壁

前に(11月9日)、雨に濡れることに対する耐性が日本人とアメリカ人では違うのではないか、

などと書いたが、


食べ物の味覚(甘・辛・苦・酸)や香り(匂い)、食感などについても

個人差はもちろん、文化差も大きいのは言うまでもない。


とりわけ 辛さ についてはその差が激しいように思う。

私の知人には、

ククレカレーの甘口ですら「辛くて食べられない」というような人(れっきとした大人の男性)

もいれば、

「辛さに挑戦!」のえせカレー屋の20倍カレー(実はタバスコが大量に入っていただけ

だったりする)でも、水も飲まずにペロッと食べてしまうような人もいる。


いずれにせよ、人それぞれに辛さの閾値のようなものがあって、

そこまでは「(辛いけど)おいしく食べられる」が、それを越えてしまうと

そもそも「食べもの」としてのカテゴリーを超えてしまう、というか

「食べることがまるで苦行のようになってしまう!」というような

限界が存在しているようだ。  (他の味覚についても同様)


なんでも10段階で数値化するのが好きな私としては、

「辛さに対する耐性」についても1~10までのランク(数値が高い方が「辛いものOK」)

をつけてみるとすると、

私自身は・・・7か8

うちの女房は・・・5

ぐらいだと思う。


感謝祭のターキーのことを書いたときに、その日のわが家の夕食が

「四川風激辛鍋」であったことを記したが(11月24日)、実はこの激辛鍋

(おいしく食べられた)には、その前段階のストーリーがある。



激辛鍋の素  この激辛鍋のオリジナルは、左の写真の

 「老火鍋の素」(四川省重慶産)である。


 ワシントンDCの帰りに寄った韓国料理店

 のとなりの小さなアジア食料品店で見つ

 けたものだが、中国語はわからないものの、

漢字からすると何やら「賞をとった」などと

 いうことが書かれており、いかにもおいしそう

 である。


 というわけでさっそく、袋に記載されている

 分量通りの水を入れてスープを作り、鶏肉・

 エビ・野菜・マロニーなどを入れて食卓に。


 毒々しいほど真っ赤な色とスープを味見した

 時のとてつもない辛さには少々腰が引けつつ

 も、おいしそうな匂いに胸が膨らむ。




 で、思い切って、ガバッと一口。


 どひゃ~~~っ! 何じゃこりゃあーーーーっ!!

 ハ、ハ、ハ・・・ハフ・・・ハ、ハ、ハァ~ッ・・・・・・・

 (口の中が大火事)


 とてもじゃないが、食べられたものではない・・・


 お湯を足して鶏ガラスープの素を入れたり、大量に入っている唐辛子(種ごと丸々!)

 を掬って出したり、いろいろやってみたが、その辛さはどうやっても私たちが「食べもの」

 と認知できる閾値の中には入ってこない。。。

 

 女房は早々に食べるのをあきらめたが、私は最後まで苦闘!

 

 骨付きの鶏肉はまだ表面にしか辛いスープがつかないのでなんとか食べられなくは

 ないが、野菜類は(時間が経てば経つほど)スープを吸ってしまうので、

 もはや「辛い」などというレベルではなく、「勘弁してくれ~」と叫びたくなるほど。

 もう、からだ中の毛穴が開き、涙タラタラ、鼻水タラタラ・・・・

 まさに「苦行」である・・・・・


 さすがの私もここでギプアップ。。。


 食事中は、口の中の火事を少しでも抑えようとして飲んだ大量のビールと水のせいで

 お腹がふくれたような錯覚を覚えたものの、その実、ほとんど何も食べていないに等しい。

 というわけで、この日はお腹が減って眠れぬ一夜を過ごすことに。トホホ・・・・

 


 このスープを上濾しし、それをホンの薬味のようにして中華スープの中に入れて

 作ったのが、翌日(感謝祭当日)の「四川風激辛鍋(これでも相当激辛だった)」

 というわけなのでした。


 実はこの「老火鍋の素」、買ったのは、二袋。


 もう一袋は、先日わが家を訪れた友人のN君におみやげとして進呈。

 (もちろん「事情」はちゃんと説明しましたよ)

 高級ブランデーと京都の食材を持ってきてくれたN君には

 ずいぶん不釣り合い(?)なおみやげだが、

 今頃、N君が勤めるK大学の○○研究室の学生諸君が、

 被害者になっていることであろう。。。


 その姿を思い浮かべると、思わず ウヒヒ・・・と笑いが漏れる。


 P.S. 辛いものに絶対の自信をお持ちの方(10段階の10と自負される方)

      がいらしたら、是非この鍋に挑戦されてみてはいかが?