ドラマーの為のカラダの地図作り
※入門編はこちら→ 【ドラマーの為のカラダの地図 入門編】
さてついにこの「カラダのレシピ」でレシピらしいことに触れていきます。今回のテーマであるカラダの地図作り(ボディ・マッピング)は、「身体に対するイメージ」をよりハッキリと正確にする方法です。ちょっと解剖学の要素は含みますが解剖学ではないです。
知識をつけるだけでなくドラムを叩く時や普段の生活の中でも、使いたいと思ったらいつでも使えるようにする実践的なものです。
・カラダの仕組みの本当の所を知る。
・どのように使うのかを知る。
・カラダの使い方が楽になり、まだまだ上手くなれる可能性を知る。
・練習が楽しくなり、ムリなく上達できる。
上手くいく体験を繰り返せば信頼できる方法に変化していきます。少しずつ身につけていって楽しみながら上達できるドラマーの為の身体向上計画です。
【頭と脊椎】が大切な理由
説明の前にワークショップでよくやる実験をしてみましょう。
【イスに座る→立つ】
この単純な動作に次の条件を加えます。
A.頭を少し固定します。
B.頭を動けるようにしてあげます。
AとBのそれぞれの方法で【イスに座る→立つ】を実験してみます。この前開催したワークショップでは、ほとんどの人がAの場合「立つのが大変だった」「動きが遅くなった」と言われて、Bの場合は「楽に立つことができた」と言われました。
「初めて試したという方、どうでしたか?」
「一度経験した方も、今回はどんな体験しましたか?」
まず先にBの「頭を動けるようにする」ということですが、これは「頭を動かす」わけではありません。頭がいつでも動ける状態にあることです。Aの「頭を固定する」状態でないともいえます。
じゃあAの場合は何で上手くできなかったのでしょうか。以前の記事でも紹介した話に戻ります。※過去記事→『アレクサンダーの大発見』 ~全身のバランスの調整~
人間には全身のバランスを自動的に調整してくれる有難い機能がついています。「よし!バランスを取ろう。」と意気込んで立ったり歩いたりしませんよね。
例えば、
「さあ座るぞ。えっと、この関節を動かしてあの筋肉とこの筋肉を収縮させてとこうすれば・・・ふぅ座れた」
こんなの毎回考えないですね。何か動作をする為に毎回考えないといけないなら面倒ですよね。人間の脳やカラダは小さな動きから大きな動きまで全てのバランスを調整してくれる機能があります。ホンマに有難いことです。
ではさっきのA「頭を固定する」したら立つことが大変でしたよね。カラダに制限がかかったように動きが鈍くなり、中には息を止めてしまってたなんてことありませんか?
ということは、頭を固定する為に働く「何か!?」がカラダの動きや呼吸まで制限してしまうと考えられます。その「何か!?」とは一体どこのどんなことでしょうか。
全身のバランスを調整する
頭を固定する為によく働く筋肉が後頭部の下あたりから首や背中にかけて広がっています。首の後ろあたりと考えてもOKです。
ここは専門ぽく言うと【後頭下筋郡】と呼ばれる、とても大切な役割をしている場所です。名前を覚えるよりも「そんなとこに大切な筋肉の集まりがあるんや」と認識するだけで十分です。Aの実験で分かるようにここを固めてしまうことで全身のバランスを調整する有難い機能を制限してしまいます。
そしてさらに頭を固めるのに加えて、頭を下に押し下げる、引っ張りさげることをしてしまうとどうなるでしょうか?どういう状態かというと、
・電車で隣のオジサンが物凄い大きな音のくしゃみをした時。
・お湯と思ってひねったシャワーが水だった時。etc
びっくりした時に起きる反射ですね。「びっくり反射」と言ったりします。そのままやね。
恐怖を感じたりすると体がすくんでしまうことがあります。その時の亀のように頭を胴体の方へ押し下げているような経験はないですか?
この時のカラダに起きているのは、【後頭下筋郡】を固めることに加えて頭は脊椎に向けてプレッシャーをかけていることになります。
そもそも脊椎は椎骨と呼ばれる骨がクッションに挟まれて積み重なって構成されています。
このクッション達は上からのプレッシャーは好きではなく、そっとしててあげたいとこなんです。自由にやらせてたら機嫌よく働いてくれるんです。
それと脊椎は一本の棒ではなくS字カーブを描いています。カーブを描くことで色々な方向に動ける自由さを持っています。
(ウィキペディアより参照)
その為、脊椎を作る一つ一つの椎骨それぞれが動ける状態が理想です。しかし、プレッシャーを与えられた椎骨達は満員電車にいるかのように動きにくくなってしまいます。
頭と脊椎は【軸骨格】と呼ばれる部分で、軸が制限されると腕や脚などの【付属骨格】まで制限されてしまいます。
完全に連帯責任ですね、カラダの縦社会。
ということで、
・【後頭下筋群】首の後ろ辺りは適度に緩んでいて動けるようにしてあげること。
・頭は脊椎にプレッシャー与えることなく、脊椎の1番上でバランスよく乗っていること。
このように頭と脊椎の関係は、理想の夫婦のように仲良し且つ、お互いに干渉しない絶妙のバランスが大切です。
アレクサンダーテクニークレッスンを受けることで、後頭下筋群への余分な力みや緊張が解けます。そして、頭と脊椎の絶妙なバランスを体験できるので面白いですよ。
体験して初めて、「こうだったんや!」と理解できるし変化も早いです。ライブと同じで人前に出て実践していくからこそ発見することが多いし、グングン上達します。体験してナンボですよね。
そこでまずこの『カラダの地図作り』から
・カラダの仕組みの本当の所を知る。
・どのように使うのかを知る。
「後頭下筋群ってどこ?どんなの?」
「脊椎の一番上はどこ?」
その他、胴体部分や腕や脚などそれぞれどんな仕組みで、どんな働きをするものかを紹介していきますので、この事をぜひ実践してみてください。このことを知った上でレッスンを受けるのも変化を体験しやすいし理解も早くなります。
ドラム上達へのヒントになれば光栄です。
ドラム・カホン&アレクサンダーテクニーク講師
BODY CHANCE 音楽部門チーフ
USK
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6月中は「アレクサンダーテクニーク・ミュージックフェスティバル @BODY CHANCE大阪」が開催されています。
⇒http://www.alexandertechnique.co.jp/modules/contents/index.php?content_id=477#OSAKA
私の特別セミナーは管楽器専門誌poco a pocoで連載させてもらっている、USKの『カラダのレシピ』実践講座 を行います。
■日程:6月10日
時間:11:00~16:30
参加費: ¥11,600
■内容
4つのテーマで学ぶ「カラダの仕組みと動き」の講座。本来あるカラダの仕組みと認識がずれてしまっていると、演奏における楽さ自由さを制限してしまいます。ゲームを混ぜながら楽な動きを体験しましょう。そして今回は「腕・脚」のドラマーが気になる部分をピックアップしていきますよ。
■会場はこちら
場所:大阪スタジオはこちら
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→usk@bodychance.jp
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