灯台の灯りの下で 第1話 ~ 1本の電話 ~ | 恋せよ乙女

あたしは夏。 25歳。


付き合ってる彼は、働かない男で、


支払いを立て替えたりしてあげてたあたしは、


毎月のやりくりに疲れていた。


そんなある日、1本の電話が鳴った。


「 はい~、 」


「 おっ、夏はてなマーク 久しぶりーーっ、俺、誰かわかるはてなマーク 」


すごく懐かしい声が、受話器から響いた。


「 あーーっ、のりくんやろ~!? 」


「 そそ、わかったぁーにひひはてなマーク 」


「 わかったわかったーっ、めっちゃ久しぶりやんかぁー、


  急にどしたんはてなマーク 」


のりくんは、小学、中学の同級生だ。


小学校の頃は、ちょこちょこ、お互いの家に行ったりして、


遊んだ男の子だった。


小柄で、すぐにふざけてみんなを笑わし、


愛嬌のあるサルに似ていた。


恋愛感情はもったことがなかったけど、


仲のよかった友達だった。


のり君の家では、インコを飼っていて、


そのインコが子供をたくさん産んで、


1羽もらったことがあった。


インコを飼い始めたのは、このことがきっかけで、


それ以来、あたしの家には、いつも手乗りインコがいた。


何十年たった今も、手乗りインコは、生活に欠かせない


ペットになっている。



小学6年生のとき、のりくんのお母さんが亡くなった。


それを機に、のりくんから、急に笑顔が消えた。


どこか、殻に閉じこもるような、


無邪気さを失った大人びた子供になっていった。


中学にあがると、あたしは、テニスクラブに入り、


毎日、クラブの仲間たちと健康的な


典型的な中学生活を送り、


笑顔をなくしたのりくんとは、クラスが離れたこともあり、


特別に一緒に遊ぶようなことはなくなっていた。


のりくんは、あたしとは対照的に、口数が少なくなり、


中学2年のときに転校してきた、飯田君という、


かなりの不良の子と、すごく仲良くなり、


格好も、話す内容も、不良になっていった。


飯田君は、転校してくる前から、


すごいやつが転校してくる、という噂だった。


転校してきた飯田君は、たしかに、格好からして


不良そのものだった。


中学時代、何度か問題を起こしていた。


でも、彼は、大人びた不良だった。


いかにも親分肌というか、体格もよかったが、


無口で、でも、女の子や、弱いものには、優しかった。


飯田君と仲良くなったのり君は、だんだん笑顔を


取り戻していった。


昔のような子供の無邪気な笑顔ではなかったが、


でも、あたしは遠くから、よかった、、と思っていたのだった。




中学を卒業してから、どうしてなのか、


1年に1回くらい、のり君からふいに電話がかかってきていた。


電話だけのときもあったし、


会って、喫茶店で話したりしたこともあった。


懐かしい幼なじみ、そんな関係が築かれていた。


「 俺さー、しばらくこっち離れとったんやけどさー、


  またこっちに住むことになってさぁ、


  で、懐かしいなーと思って電話したんさ~ 」


「 おぉ~、そうなんやぁ~、もしかして、


  結婚したとかはてなマーク 」


「 いあいあ(笑)してへんー、誰か紹介して(笑) 」


「 探しとくーっ、てか、あたしの友達で、


  めっちゃかわいい子おってさぁ、


  その子、彼氏おらへんし、聞いたげるわぁ~~ 」


「 まぢはてなマーク やったぁ(笑) あー、でさっ、


  今さー、飯田とおるんさぁ、 」


「 そうなんやぁ~、今も一緒につるんでるんやぁ 」


「 そそ、 なな、暇やったら、でてこーへんーはてなマーク 」


「 あー、行く行く、」


「 んじゃー、今から迎えに行くわぁ~ 」


「 用意するわぁ 」


あたしは懐かしさいっぱいで、


普段離れていても、あたしの存在を思い出して、


向こうも懐かしくて電話してくれることが


すごく嬉しかったし、


女友達と会うような感覚で、うきうきしながら


出かける準備をした。



       新しいお話始まりました♪


                 □_ρ゛(^‥^=)~ ポチッっとおねがいします☆ミ