あたし、夏 24歳。
正くんと別れたあと、半年くらいが過ぎていた。
その時あたしは、車会社の営業で働いていた。
小学生からの親友の美子ちゃんの妹の
ふーちゃんと一緒に、この会社の面接を受けて
2人とも入社し、20代2人の若い私たちは
始めての女営業社員として、すごくいい待遇で
かわいがられ、仕事も楽しく、それなりに息抜きもし、
毎日充実して過ごしていた。
ふーちゃんとあたしは、毎日一緒に働いて、
そしてプライベートでもすごく仲良くなって、
あたしの親友、ふーちゃんの姉である美子ちゃんは、
友達をとられた!
妹を取られた!
的な感覚で、ちょっと面白くなさそうだった。
仕事が終わってからも、
どちらかの家に行ったりして、よく遊んでいた。
「 なっちゃん、そろそろ彼氏つくったらぁ 」
「 んー、好きって思える人できたらええけどなぁ~ 」
「 そういやさぁー、吉川さん、
なっちゃんのことすきなんちゃう~~ 」
吉川さんというのは、うちの会社に出入りしている
ディーラーの営業の人で、確か30歳。
「 吉川さんかぁ~、男かんじへんし・・・・ 」
吉川さんは、すごくまったりした人で、
身長が185センチもあり、153センチのあたしは、
いつも首が痛くなるほど見上げながら、
冗談やら、時には仕事の話やらしていて、
それなりに仲はよかったものの、
全然、男として見れなかった人だった。
あたしは正くんのことを、消化したものの、
それでも、やっぱり心の中の膿は
完全にはとりきれていなかった。
そんな時、前に務めていた会社の友達から
電話があった。
「 夏ちゃん~、ひさしぶりぃー 」
「 妙ちゃん、久しぶりやなぁー、
まだ仕事がんばっとるの~ 」
「 夏ちゃんやめてから、あたしもやめた(笑) 」
「 そなんや~ 」
前の仕事というのは、保険会社の営業で、
あたしは3年ほどがんばったけど、
ノルマのある営業に疲れて、やめたのだった。
「 なな、夏ちゃんさ~、今、彼氏おる 」
「 おらんよ~ 」
「 あのさ~、あたしの彼の先輩でさぁ、
彼女探しとる人がおるんさぁ、
あたしも会ったけど、結構かっこええし、
夏ちゃん、会ってみやへん 」
「 いくつの子 」
「 26歳 」
「 2こ上かぁ~、ん~、どうしょうかなぁ~ 」
「 いややったら、断ったらええしさぁ、
断りにくかったら、あたしにゆうてもろたら、
彼からいうてもらうしさー、どう 」
「 じゃー、会うだけ会ってみよかなぁー 」
「 よかったぁ~、じゃぁさぁ、夏ちゃんの電話番号
教えてもええかな 」
「 ええよぉー 」
っということで、紹介の男と会うことになった。
このときの会うという決断が、
この後、あたしを破滅に向かわせていくともしらず・・・。
実は、この彼のことは、
今でも、最悪の男だったと思ってます
前回が綺麗なお話だったので、
今回はあえて、この最悪の男の話にしてみました。
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