今日の、ウォールストリートジャーナルの大見出しのひとつに『Just Say No To Detroit』とある。

現在のデトロイト(自動車会社)に、援助資金を出すべきではないとする論である。

同感。

一定のお金を賭しても現在のUAWが、残る限り、今の世界の自動車市場で競争力をもつまで、回復はできない。

UAW(労働組合)のプレジデントの弁として、現在の状態は、金融危機や石油高騰が引き起こした事態であって、労働者の責任ではないというのであるが、問題は、誰が現在の状態を引き起こしたかではなく、現在の
状態(UAW等とのコントラクトをはじめとする現在の経営構造)にお金を入れて、それが、将来の米国自動車産業の完全再生に寄与するかどうかということである。

資金援助をするとしても会社更生法の適用の申請をした後、再生計画の中で、出すべきであるとの考え方である。会社更生を申請した後、しばらくは、混乱もあり、米国全体の経済にかなりのダメージを及ぼすであろうが、それもやむなし。

個人的には、オバマ(民主党)に期待をしており、今回の選挙の恩返しにとばかりに、安易に資金援助を進めるべきではない。すべてのものには、寿命があると死期を見守るのも必要。

ペローシは、言う『the Democratic proposal gives automakers time to develop plans to assure their long-term viability, including meeting new fuel-efficiency standards and developing new technology.』

無理である。

それでは、その後、GMの空席を誰が埋めるのか、それは、トヨタしかいないでしょう。

オバマには、自動車産業での民族融合のリーダーシップを期待する。
現在、米国議会では、GMに救済資金を出すかどうか、紛糾している。

支援融資をすることに躊躇する理由は、

ある一定の救済融資をしたところで、最後まで、再起をはたせるのかどうか不明であり、十分に再起を果たせないような状況が続けば、追い貸しを迫られるような可能性もある。

現在のアメリカ自動車産業の凋落要因は、労働組合等の事業体構造に問題があり、そのしがらみから、逃れられない限り、支援金が、十分に生きない。死を目前に生命維持装置を取り付けるようなものでり、遅かれ早かれ、死ぬのは、確実で、単に時間的猶予を与えているのだけだとの見方である。

一方、会社更生法の適用を、行うべきかという意見にも、一部、問題があるようだ。 それは、破産申請を行うような会社の車は、誰が買うかということである。 消費者は、GMが破産申請を行った時点で、GMの車から離れていくだろう。 この場合は、GMは、どのように、フレッシュスタートを強調しても、消費者が、ついてこない。従って、再生計画が、実ることは無いだろう。

八方塞がりである。

そこで、トヨタの登場である。

GMが、破産申請を出す。 

市場が、多少、混乱する(破綻の可能性は、現時点では、周知されている)。

そこで、トヨタが、アメリカの自動車産業の救世主として、アメリカの保守層消費者に嫌われないようにうまく、再生計画を仕切り始める。他には、考えられる登場人物は、いない。

オバマの重要政策課題のひとつは、エコテクノロジーを中心とする経済活性化であるが、トヨタは、オバマにうまく取り入り、日本だけでなくアメリカのエコテクノロジー技術をうまく次世代車のテクノロジーに導入していく。それを起爆剤として、経済再生案の一環するよう促す。


オバマも、トヨタの提案に強く感動して、米国政府も次世代車開発のための資金25ビリオンを使ってほしいと切り出す。

2009年は、この再生スキームのための事業構造作りで明け暮れる。

そうて、2010年の終わりまでには、新生GMは、トヨタの子会社としてではあるが、おおよその再生を果たす。GMを傘下とするトヨタグループのアメリカ市場におけるマーケットシェアは、35%ととなり、トヨタは、押しも押されもせぬ世界一の自動車会社になる。

とういうシナリオは、有りでしょうか。
会計の基礎的概念に、継続企業の原則(公準)という概念がある。

継続企業の原則とは、企業が継続的に事業を続けていくという原則的仮定の下で、財務諸表が作成されなければならないとする考え方で、具体的には、一年以内に事業が、継続されない(破綻する等の状況)ような状況が、合理的に予想されるような状況が認定されれば、その財務諸表の監査人は、財務諸表を取り巻く利害関係者の注意を喚起するために、その旨を監査意見書に述べならない。

次回、GMが発表する決算書に対して、監査人が、継続企業の問題がある旨の表示を行った場合、問題は、そこだけにはとどまらない可能性がある。

GMは、多額の借入(6ビリオンドル)があるが、どうもこの継続企業の問題が、借入契約の特約条項に抵触することになり、直ちに残債を返済しなければならなくなる可能性が出てきた。

もし、銀行が、この資金の回収を怠れば、銀行も大変な損害をこうむり、銀行トップの首が飛ぶ。

政府もGMの資金援助を検討中であるが、明らかに、遅かれ早かれ破綻する状況にあるところに支援できるわけもない。

監査人も継続企業の問題を指摘しないということは、後々の賠償責任の点からして、ありえない。

GM,銀行、監査人、政府(ブッシュ政府)、現在、四者が、デッドロックの状況にある。

オバマもブッシュにGM支援を要求しているところではあるが、自分にこの問題を回されるのもいやな状況であろう。