その興味は、とても魅力的に、私の心惹かれるものに
変わっていった。
(もう一回、恋にチャレンジしてみようかな・・・。)
自分自身の気持ちにサクラ咲くような明るい気持ちが訪れた。
もう恋なんて封印したと思っていたのに・・・。
この際、臆病な私を封印してみようかな・・・。
その後、恋人として付き合う約束を交わしたわけではないけれど
頻繁に連絡を取り合うようになり
私のバイトの終わりが夜遅くなる時は
星野さんがその頃に買い物に来て
私を送ってくれていた。
『少し、夜の風が優しくなってきた感じ・・・
もうすぐ4月だもんね。』
「4月かぁ・・
4月ってさぁ、『始まり』って感じがするよね。
杏ちゃんは4月好き?」
『う~ん、学生の頃までは好きだったかな・・・
クラス替えとか、新しいこといっぱいで
ワクワクしてた!
卒業や、クラス替えで友達や好きな人と別れちゃうって
メソメソしてたくせに、数週間後には新学期のワクワクが上回って
3月のセンチメンタルな気分は忘れてるんだもんね~
若いっていいよね~ 楽しいよね~』
「杏ちゃんだって、十分若いじゃないかぁ」
星野さんは優しい目で笑っている。
『でもね・・ 今は4月って苦手かも・・』
「苦手?どうして?」
『何か始めなくちゃって雰囲気がプレッシャーって言うか・・・
今の私には重いんですよね。4月のフレッシュさが・・・。』
「杏ちゃんがそんな風に思ってるとは意外だったな。
俺から見たら、すごくフレッシュだからさ。」
『あはは~~~
わたしー ウジウジ・ドロドロ・グダグダですよー。』
そう・・・・・
私の胸の上には鉄アレイがドスンと乗ったまま・・・。
星野さんへの好意で
時折、その鉄アレイがずれ落ちそうになって
サクラ咲く軽やかな気分になるけれど
ギリギリの位置で、落ちずに留まっている・・・。
読んでいただき、ありがとうございます