前回は抗インフルエンザ薬のタミフルとリレンザについて説明しました
インフルエンザウイルスは感染した細胞を栄養にして増殖します
増殖し尽くしたら、ノイラミニダーゼという酵素を使ってその細胞を壊して外にでてきます
そして周りの感染していない粘膜細胞に侵入して増殖する
ということを繰り返します
ノイラミニダーゼ阻害薬は、このノイラミニダーゼという酵素をブロックします
インフルエンザウイルスが感染した細胞からでてこれないように封じ込めます
そしてインフルエンザは次々と細胞に感染して、どんどん増殖することができなくなります
勢いがないウイルスは、人間が持つ免疫能力によって排除されやすくなるというものです
今回は以前から新規発売の2種類のノイラミニダーゼ阻害薬について書いてみます
ラピアクタとイナビルです
まずはラピアクタ、塩野義の薬です![ビックリマーク](https://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/039.gif)
点滴の薬です
基本的には1回だけ点滴すればいい薬です
タミフルと違い、直接血中に入り、そこから気道粘膜に運ばれます
また、ノイラミニダーゼという酵素をブロックしている時間がタミフルよりも長いです
このため、タミフルだと5日間も内服しなければいけなかったところが、1回点滴するだけで十分効果があります
治療を開始してから24時間以内に平熱に解熱する確率が
タミフルで50%
ラピアクタで60%
であったという報告もあります
効果はタミフルと同等かそれ以上で、ラピアクタは1回点滴するだけでいいのは大きなメリットです
特に重症で内服できない、吸入できない患者さんに有効です
もう一つが、イナビル、第一三共の薬です![ビックリマーク](https://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/039.gif)
こちらは吸入薬です
1回吸入するだけでいいです
メリット、デメリットはリレンザのところで書いたものと同じです
タミフルと比べた利点は、直接口から吸入するので、気道粘膜に直ちに薬が到着し、すぐに効果を発揮するという点です
また、直接気道にだけ届き血中を通らないので余計な副作用のリスクが殆んどないので、高濃度の薬で大丈夫なのも利点です
タミフル耐性のインフルエンザにかかった場合、タミフルを飲むより、イナビルを使ったほうが2日間早く治ったとの報告もあります
タミフルと違い、イナビルでは耐性インフルエンザウイルスはできないと言われています
理論上、イナビルはインフルエンザならなんにでも効くということです
ただしデメリットもあります
それは吸入薬であるということ
このため小さな子どもや認知症のある人、かなりの高齢者などでは、しっかり吸入できないので使えません
というところです
リレンザとの大きな違いは、1回吸入するだけで長時間気道や肺に残っていてずっと効果を発揮するという点です
1回だけの吸入でいいと言う手軽さは魅力的です
以上、ラピアクタとイナビルについて書いてみました
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