上野英信と目取真俊。 | 『声』の残し方-いつかの、だれかに…

上野英信と目取真俊。

今、『サークル村』を読んでいる。


今週は上野英信を中心に読んだ。


中でも面白かったのは「ボタ山と陥落と雷魚と」。


奇怪で、程よい(!?)グロテスクな作風がたまらなかった。


そんな読後感と一緒に私は目取真俊を思い出していた。


目取真俊の作品は、バッターボックスに入るのが恐いほどの豪速球でストライクをバンバン放り込んでくる。(崎山多美の場合は鋭い変化球で見逃し!)


上野英信は、目取真俊のような豪速球は投げてこないが、キレのいいストレートで勝負してくる。


そんな目取真俊と上野英信が、私の中で重なった。


「二人はどこか似ている…」


後に上野英信は、多くのルポルタージュを残していく。


そして目取真俊も、自分の親戚や両親、地元のおじい、おばあの戦争体験を残すべく、聞き取りをしている。


二人はその作風から、そして、小説という手法からルポルタージュや聞き取りという手法へ向かう、向かおうとしている点で非常に似ていると思う。


上野英信の作品がもっと読みたくなったし、目取真俊のこれからも非常に楽しみである。