愛娘きぬとの永遠の別れから66日め。
6月7日日曜日の朝の出来事。
店に一本の電話が。
お客様からご予約確認のお電話だった。
電話の向こうでなにやら忙しそうなご様子。
「今ね子猫を保護しようとしているの。あれ~?メモするものもないのになんで電話しちゃったんだろ(笑)」
子猫と聞いて一瞬心臓がドキッとしたが用件を伝えそのまま電話を切った。
・・・子猫。
あれ??ほんとなぜ外で子猫捜索中に電話だったんだろう。
子猫、どのくらいのこなんだろう。
三毛猫だったりしないのかな。。。
気になって気になってどうしようもなくなり5分もしないうちにお客様に電話をしていた。
きぬが亡くなってから完全にペットロスになった私は行きかえりの道中ずっと猫を目で追っていた。
きぬがまたひょっこり現れるような気がして、野良猫だったきぬと出会った場所へ毎朝毎晩通っていた。
きぬが煙となって空に昇る前、何度も何度も何十回も抱きしめて話して聞かせた。
ちゃんと戻っておいで。
必ず見つけるから大丈夫。
そう強く約束をしていた。
どうしてもこれが最後の別れだと信じたくなかった。
また出会える気がして仕方がなかった。
お客様に電話しながら何をどう話していいかなにも考えていなかった。
「もしもし、何度もすみません。私的な質問なんですが、その子、三毛猫じゃありませんか?」
それを聞くのが精いっぱいで、緊張で涙が出そうで声が震えた。
電話の向こうのお客様はきっとなんのことやらわからなかったと思う。
2ヵ月前に愛猫が他界したことを急いで話した。
そしてその子が三毛猫なら会いたいと。
三毛猫じゃなくても会いたかった。でも不思議と三毛猫の気がしてならなかった。
「草むらに隠れててよく見えないけどたぶん三毛猫だよ。とりあえず保護できたらまた連絡します。」
そのすぐ30分後くらいに電話がなった。
「三毛猫だったよ!とりあえず病院に行くからお顔写真撮って送りますね」
もう驚きすぎて吐くかと思った。
顔を見る前からその子がきぬの生まれ変わりなんじゃないかってそんな気がしてならなかった。
きぬが見つけてほしくてあの時店に電話させたんじゃないかって思ったくらいに。
そんなのただの偶然でただの思い込みかもしれない。
でもそう思ってしまう気持ち、きっと我が子との別れを経験した方にはわかるはず。
写真がもし全然似てなかったら??
顔を見てこの子じゃ違うから・・・とは言えない。その子はどうなる?
気持ちはすぐに固まった。
その子を引き取りたいってお願いしよう。
顔も大きさも柄もなにもわからない子を引き取ろうだなんて、今思えば凄い決断だった。
お客様は見ないで決めていいのかと驚いていたがとても喜んでくれて快く承諾してくれた。
その夜10時過ぎにキャリーの入ってその子は我が家にやってきた。
※猫は動きが素早いのでネットに入れてキャリーに入れます。
奥で静かにこちらを見てる。
あ、鼻が黒いんだね。
第一印象は鼻。
ちなみにきぬの鼻はピンク色で、興奮したり眠くなると真っ赤になっていた。
生後約1ヶ月であろう子猫はとても小さく、細く、汚れてうんちの香りでいっぱいだった。
一体いつから外にいたんだろう。
でも人を威嚇しない。野良の子猫はシャーって威嚇するはず。
きっと離乳まで見届けて放棄されたんだろうと推測できた。
そのままお風呂場へ直行し、シャンプーと爪切り。
ドライヤーも怖がらずとてもおりこうさんだった。
きぬよりずっと美人さん。
顔は似ていないのに、眼差しがそっくり。
出会ってすぐなのに喉をならし、部屋でくつろぎはじめた。
やはりこの子はうちに来る運命だったんだと思った。
今日で一週間。
本当に驚くほどきぬに重なることが多くて驚きの連続。
名前は「いと」
この子はこの子できぬじゃない。でも、きぬを感じずにはいられなくて。
絹糸からとって「いと」
しばらくは同伴出勤です。
見かけたらよろしくお願いします。