神奈川県立近代美術館 葉山 | 一疋の青猫

神奈川県立近代美術館 葉山


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神奈川県立近代美術館は 鎌倉八幡宮境内の本館とは別に

葉山の御用邸から続く海岸に 企画展示を主とした 葉山館がある

会期終了の前日に 知人からのメールで知り

慌てて 翌朝一番で ベン・シャーン展に

美術館正面の小高い山も 背後に控える相模湾も

この地にすれば 冬の装いであるが 温暖な土地柄ゆえ のんびりとした雰囲気

最終日の混雑を考えて 早めに到着 開場まで 敷地内の松林を歩く




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散策路を裏に出ると 海へ続く細い道

背の高い松の間から 朝の光が洩れ 潮騒が聴こえる




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松林を抜けると 海からの風と曇り空で寒い

それでも 逗子や鎌倉の海岸と比べれば

人の数も少なく 幹線道路から離れていることもあって

海の音だけを 聴いていられる

時折 雲間から射す 朝の光が 波に跳ねる




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開館時刻とともに ゆっくりと館内をめぐる

じっくりと見てから 表に出ても

まだ 辺りの空気には 「朝の光の魔法」 が残る

気持ちよく レストランで お茶など いただく

こちらは 細長い うなぎの寝床のようなスペースに

4人掛けのテーブルが5脚ほどと こじんまりとしている

テーブルが寄せられた側の壁は 全面ガラスで 海を一望できる

ちょっと お茶だけいただくにも おススメなんですよ




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・・・

ところが この日は・・・


背もたれに身体を預け 静かに 海を眺めていると 入口からにぎやかな声がする

「あの~ 15人なんですけどぉ」 若干 不安がよぎる

その時既に テーブルはふたつ 埋まっていた

振り返り 様子をなにげにうかがうと

いかにも 美大生風といった アートな感じ(笑)の女の子がズラズラと・・・ 不安が 確信に近づく


やはり ゲージュツを志す そんな人は 独特の感性や 時間・空間の感覚を 持ち合わせていたりする

時として それが 現実社会においては 軋轢を生むことも ままあることだ


着ぶくれた上に 大きなバッグを持って 入場した彼女たち

やはり 個性 多様性 独自性を重んじるためか なかなか席が決まらない

一旦 座ってみても

「 こっちの方が、海、キレイ! 」

「 ○○ちゃん、そっちにすわるの~ じゃあ・・・ 」

園舎のパンダより 気前良く ウロウロと動き回ってくれる

そもそも 残席数に対して 人数の方が多いんだから 座れるはずも無い

挙句 立ったまま

「 え~ この後の予定わぁ・・・ 」

連絡事項を 通達し始め 修学旅行生向けホテルのロビー状態

先生らしき人もいるのだが こちらは既に着席して お茶をすすり 何食わぬ顔

これまた 美大系のセンセーにありがちな感じで・・・


決して こういった空気 ほんわかと言うか 自由すぎる(笑)感じも 嫌いでは無い

むしろ 昔から 身近に そういうタイプが多かったせいか 理解がある方だ ・・・と思う


でも 彼女ら自身は 外界への 理解が乏しい

って言うか 見えてる世界の色が違う・・・きっと

まわりの 「 イライラっ 」 とした 空気を感じないし しあわせそうですらある

ひと昔まえ 流行った言葉で言えば 「 鈍感力 」があるのだ

それは 決して悪い事ではなく むしろ 人と違う 独創的なことを成し遂げようとすれば

人目も気にしない いや 気にならないというのは 大きな力にもなる


しかし ここは 狭苦しい レストランであって 鈍感力に乏しい人もいて

みんながみんな しあわせ という訳にはいかない


「 日本人の心情は察しと思いやりよ 」(葛城ミサトさん) とは言いますが

この時代 そんな心情を育むのと 鈍感力を磨くのでは どちらが早いか また 平和的か

考えてみると なかなか微妙かも知れないな と

ウロウロと動き回られ 真後ろにも立たれて 落ち着かない中

立ち食いソバ屋で ダージリンを飲んでいるような 錯覚に囚われつつ 考えたのであった



結局 この時の結末は 見兼ねたお店の人が

「 3人は あとからお呼びしますからね~ 」

と言う ごく当たり前の一言で 着席となったようでした(笑)



なんだか 展覧会の話まで 行き着けず 延々と書いてしまいました(笑)


内容については また 改めまして^^




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御用邸へと続く砂浜 お昼近くになって ようやく陽が射した