吉野弘さん | 一疋の青猫

吉野弘さん



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昨日 吉野弘さんの詩を ご紹介しました

以前にも 取り上げたことが あるのですが

とても 好きな 詩人ですので もう少し ご紹介させて下さいね


詩人・吉野弘さんは 大正15年生まれ 御年85歳

日常の 見過ごしてしまいそうな 心の 動きや 情景を

平明な 言葉で うつくしく 掬いあげる

そして なによりも 人への まなざしの 温かさこそが 吉野さんの詩

労働運動に 身を投じ 身体を病み そんな ご経験も あってのものかもしれません



「祝婚歌」

という詩を 少し長いですが ご紹介します

結婚披露宴の 祝辞などにも 使われるので 御存知の方も 多いでしょうけれど・・・

これから 結ばれる 二人には もちろん

このブログを 読んでいただいているであろう 年代

長年 連れ添って やや ヒビが入って・・・ いえ やや お疲れの 二人にも

お読みいただくと よろしいかと^^





「 祝婚歌 」

二人が睦まじくいるためには

愚かでいるほうがいい

立派すぎないほうがいい

立派すぎることは

長持ちしないことだと気付いているほうがいい

完璧をめざさないほうがいい

完璧なんて不自然なことだと

うそぶいているほうがいい

二人のうちどちらかが

ふざけているほうがいい

ずっこけているほうがいい

互いに非難することがあっても

非難できる資格が自分にあったかどうか

あとで

疑わしくなるほうがいい

正しいことを言うときは

少しひかえめにするほうがいい

正しいことを言うときは

相手を傷つけやすいものだと

気付いているほうがいい

立派でありたいとか

正しくありたいとかいう

無理な緊張には

色目を使わず

ゆったり ゆたかに

光を浴びているほうがいい

健康で 風に吹かれながら

生きていることのなつかしさに

ふと 胸が熱くなる

そんな日があってもいい

そして

なぜ胸が熱くなるのか

黙っていても

二人にはわかるのであってほしい






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書かれた文字も その詩 その人柄を あらわすように 思えます