楽しみにしていた試写会に、朝からクラウザーさんもジーンシモンズも真っ青なほどの超ド派手なメイクをしていったかどうかは定かではないが、東京は九段下までやっとこやっとこくりだした。


いた、いた、コスなお方がいた。


デスメタルのカリスマ、クラウザーさんのコスプレをした方が会場のど真ん中あたりに鎮座していらっしゃった。


携帯のカメラを向けるとすかさず、スタンディングし、ポーズを取っている。


金髪をなびかせている。


あの顔は仮面なのか、それともデスメイクをしたのか。


そうであるのなら、いったいどこで塗りたくってきたのであろうか。


あの顔のままご帰宅するのであろうか、あとをつけてみたら楽しいかもしれないなどと考えてしまった。


<デタラメマザコンチェリーボーイ>を歌うガールズバンドの方みたいな女の子たちもちらほらいる。


<SATSUGAI>と<甘い恋人>が交互に鳴り響くので、ぐるぐると世界が回り始める。


ここは地獄が天国か。


アサトヒデタカ(鈴木一真氏)が演出したのかもしれないほどに、始まる前から根岸君とテトラポットメロンティのように、お洒落でノリノリのクネクネの海上(海猿か)ではなく会場であった。


今夜のBGMは『俺は地獄のテロリスト……以下自粛』の<SATSUGAI>ではなくて、KISSの<detroit rock city>がいいのかもしれない。


嬉しいことに、超ドS社長も大好きなジャックイルダークを、長い舌、火炎攻撃、宙吊りのジーンさんが演じていて、KISSファンにはたまらないものがある映画であった。


ジャックへのプレゼントにはやはり根岸家のしいたけを出して欲しかったと思うのは贅沢というものか。


ファックとか濡れるとかビショビショとか放送禁止用語をびしばしと言い放ってしまう、愛の制裁なのか暴力なのかすさまじい格闘家のような女社長を演じるのはイメージ通りで今後レジェンドになりそうなかなり嬉しいキャスティングの美しい松雪泰子氏。


ファンを超えたもはやDMC信者さんのクラウザーさんのアクション解説にもおもわず拍手である。


大倉孝二氏、岡田義徳氏の気合の入った演技に泣き笑いである。


私はすっかりDMCの信者さんたちのファンになってしまった。


一緒に叫びたくなる。


ゴートゥ DMC !!!クラウザー(松山ケンイチ氏)、ジャギ(細田よしひこ氏)、カミュ(秋山竜次氏)!!


優しくて可愛い根岸君の母役である宮崎美子氏は今も昔もピカピカに光っている。


のだめの洋裁上手のお母さんだったり、キャプテンの気のいい母だったり、大忙しである。


がんがんとけしかけて応援してるからねというのもいいが、一歩ひいたところで子どもを信じ、見守ってあげるのもまた、親の愛でもあるのだろう。


相川さん(加藤ローサ氏)と根岸君の恋愛模様はじれったくて、一度、ドS社長に背中どついて、いえいえ、押してもらえばいいのではないかとおもうくらいの純愛である。


根岸君は、秘するが花、の境地なのかもしれないと思うと、この作品はさらに奥が深いものになる。


相川さんが根岸君を愛しく思っているのなら、心優しきデスメタルのクラウザーさんのこともきっと愛してしまうに違いない。


いろいろな才能やさまざまな面を持った人と心通わせることができるというのは、自分自身も成長できるだろうし、本当に幸せなことであると思う。


挫折感を味わいながらも歯をくいしばり前進し続ける人のオーラというものはすさまじい。


その人から夢をもらい、何かの気づきを得る。



ーー俺たちが、どこから来たのかは、重要じゃない。どこへ行くのかが、重要なんだ。


ジーンシモンズの痺れるお言葉のひとつであるという。