担当:こみ

0.前回のまとめ
0-1.AKB48はオリコンランキングで5年連続首位を独占(2011-2014)
0-2.姉妹グループも徐々に人気を上げている
(名古屋、大阪、福岡)
0-3. 2年毎に新しい姉妹グループが2009年から誕生
0-4.AKB48グループは2014年からCDの売上枚数が減少傾向


表0. 第五期(多面的地方展開期)
(筆者作成)


<今回のテーマ>
第五期、2010年から2011年の爆発的な人気に繋がった大きなポイントは何だったのかを探して分析する

1.爆発的人気を引き起こしたシステム


1-1.選抜総選挙
1-1-1.概要
a. 選挙後に発売されるAKB48のシングルCDを歌うメンバーやポジショニングなどをファンが決めるイベント(出典:NAVERまとめ)
b.2009年から毎年6月頃に開催


1-1-2.目的

a.ファンの意見を運営に反映させるため


1-1-3.理由(出典:ORICONSTYLE)
a. 運営側の独断により選抜メンバーの固定化
b.長年努力してきたメンバーや研究生・SKE48へのチャンスの低さ
c.選抜の基準に対するファンの不信感
d.選抜に固定され危機感を持たない一部メンバーの手抜き仕事


1-1-4.投票方法
a.複数投票する場合はCDの購入が必須
b.選挙前に発売されるAKB48のCD(\1,600/枚)を1枚買うと、1票投票ができる
b-1. CDに付いてくる投票券のシリアル番号を使って、携帯やスマートフォンから投票
b-2.一人何枚でも購入すれば投票が可能
b-2-1.一人で大量にCDを購入するファンもいる
c.AKB48関連の各種有料サイトのモバイル会員になって投票
c-1.モバイル会員登録は月額324円
c-2. 入会してすぐに退会可能
c-3. 携帯電話回線1契約につき1票の投票権
d. モバイル会員になり応募するのが一番安い(一票当り)


1-1-5.投票権付シングルCD
a.楽曲


表1-1-5-1. AKB48投票権付シングルCD
(「年代流行」より筆者作成)


b.売上枚数ランキング
b-1.1位:2013年、2位:2012年3位:2014年、4位:2011年、5位:2010年、6位、2009年
c.年間売上枚数に与える影響


表1-1-5-2. AKB48シングルCD発売枚数と売上総数
(「年代流行」より筆者作成)

d.分析
d-1.投票権付CDは特に売上枚数が多い
d-2. 2012年は最も一般的な人にも支持されていた年と推測
d-2-1. 年間総売上枚数は最多にも関わらず、投票権付シングルCDは2番目に多いから
d-3. 2013年は特にメンバーとファンとの絆が最も深まっていたと推測
d-3-1. 投票権付シングルCDの売上枚数が最多だから
d-4.2014年はファンの熱狂度が落ち着いてきたと推測
d-4-1.投票券付CDの売上枚数も2012年には及ばず、年間の一枚当たりの売上枚数も落ちているから
d-5.総選挙を行なったことにより、CD売上枚数が大幅に伸びた


1-1-6.総選挙結果


表1-1-6.総選挙結果(1位)
(筆者作成)


a.チーム内シャッフル(2009,2012,2014年に実施)は
成功していた
a-1.1位の所属チームが毎回異なる
a-2.チーム
a-2-1. 原則、チーム毎に行動していて、劇場公演に至ってはチーム単位で公演が行われる
a-2-2.劇場公演に出演するチームによって劇場チケットの倍率が異なる
a-3.何故、偏っていないのか(分析)
a-3-1.定期的にチーム内シャッフルを実施
a-3-2.最も強みとする劇場公演をフル活用できた
a-3-1-1.人気メンバーが偏ると劇場公演の倍率が上がる
a-3-1-2.劇場公演により多くのお客さんを呼べない
a-3-1-3.近くでメンバーを見て応援ができなくなる
a-3-1-4.熱狂的なファンを増やせない
a-3-2.メンバーにチャンスを与えることができた
a-3-2-1.劇場まで人気メンバーを見に来たファンに違うメンバーも応援したいと思わせるきっかけ作り
a-3-2-2.人数が多いからこそより多くのメンバーを紹介できる
a-3-2-3.ファンがより多くのメンバーを知ることで他のメンバーの良さを見つけることに繋がる
a-3-2-4.多くのメンバーにファンがつく可能性が上がる
a-3-2-5.AKB48グループとしての存在感が増す
a-4.運営の取り組み
a-4-1.定期的にチーム内をシャッフル
a-4-2.個人、チーム、グループの可能性増大に繋げた

b.ファンとメンバーの絆の表れ
b-1.2年連続でトップになったメンバーがいない
b-2.ファンの熱狂度と愛情が読み取れる
b-2-1.好きなメンバーが1位以外の場合
b-2-1-1.順位を上げてあげたい!と愛情(投票数)が増す
b-2-2. 好きなメンバーが1位の場合
b-2-2-1.このまま今年も1位を取らせたい!と思う
b-3.結果
b-3-1.購入CD枚数も増える
b-3-2.総投票数も右肩上がり
b-3-3.順位によって、ファンは自分の投票がメンバーに貢献できている気持ちが増す
b-3-4.メンバーを支えているのはファンという構図もできあがる
b-3-5.順位付け競争がメンバーとファンとの強い絆を深める
b-3-6.ファンをAKB48グループの虜にできる


1-1-7.人気の分析
a.AKB48グループの人気は上昇中
a-1.2014年からCDの総売上枚数は減少(前回の発表より)→人気が下がってきているのでは?
a-2.総投票数に注目
a-2-1.毎年上がっている
a-2-2. 2014年、立候補者数の増加に対して総投票数は2013年と比較しほぼ横ばい
a-2-2-1. 2015年、さらに人気を上げることに成功


b.上位人気メンバーの支持度
b-1.年によってばらつきがある
b-1-1.絶対的エース前田敦子が卒業した2012年
b-1-1-1.AKB48の雲行きが若干怪しくなった
b-1-2.翌年2013年
b-1-2-1.上位メンバーの飛躍が著しい
b-1-2-2.上位メンバーのファンが定着
b-1-2-3.さらに勢いをつけた
b-1-2. 2014年
b-1-2-1.前年より若干下がった
b-1-2-2.5人の主要メンバーの卒業
b-1-3.2015年
b-1-3-1.主要メンバーの人気が上がった
b-2.グループとしての人気があるため、主要メンバーが卒業しても対応できている
1-1-7-1.主要メンバーの卒業


表1-1-7-1.卒業した主要メンバー
(エケペディアより筆者作成)


a.与える影響
a-1.翌年の主要メンバー(12位入り)の総得票数が下がる
b.プラスの面
b-1.グループが停滞することなく、常に新しいAKB48を提供できる
c.人気メンバーが卒業した翌年は得票数を下げるが
c-1.その翌年には上位メンバーがさらに飛躍する
c-2.この凸凹がグループの活性化に繋がる
d. グループが人気であり続けるためには新陳代謝が必要
e. 人気メンバーの卒業は必要であるといえる


1-1-7-2. 主要メンバーの卒業が新エースを生む

a.各年の1位の獲得票数を比較
a-1. 2011年の前田敦子は圧倒的強さを見せた
a-2.2012年大島優子の圧勝だった(全体の約12%)
a-2-1.前年1位の前田が卒業のため
a-3.2013年指原莉乃、新たなエースの出現
a-3-1.前年の順位である4位から1位へ(出典:ウィキペディア)
a-3-2.獲得票数は過去最高
a-3-3.大島は絶対的エースにはならなかった
a-3-4.AKB48に新しい風が舞い込む
a-4.2014年、渡辺麻友 初の1位
a-4-1.僅差で1位の座を勝ち取った
a-4-2.指原2年連続1位を逃す
a-4-3.毎年違うメンバーが1位になったから面白みが増す
a-5.2015年、指原莉乃 再び1位
a-5-1.2位と約3万7千票の差をつけた


1-1-8.AKB48の需要
a. AKB48の需要は2015年も継続
a-1.2015年の結果
a-1-1.過去最多記録
a-1-1-1.総得票数、主要メンバー総得票数、1位獲得票数
b.主要メンバーがメディア出演をするため、上位メンバーの支持度が高いとAKB48の需要があるととれる
c.今後の危険性
c-1.人気メンバーが卒業しても上位メンバーの総獲得数が伸びなくなると危険
c-2.その場合、AKB48グループの人気が下がったといえるだろう
c-3. その場合、AKB48の需要が薄れていると解釈ができる


1-1-9.大人数への対応
a.メンバーの順位をピラミッド型にした
a-1. 2009年(3階層)
a-1-1. 7位までが神セブンと呼ばれる
a-1-2. 12位まで、メディアに優先的に出演
a-1-3. 1位~21位までが選抜メンバー
a-1-4. 22位~30位までがアンダーガールズ(カップリング曲を担当)

b-2. 2010年と2011年(3階層)
b-2-1. 7位までが神セブンと呼ばれる
b-2-2. 12位までがメディアに優先的に出演
b-2-3. 1位~21位までが選抜メンバー(AKB48の顔として活動)
b-2-4. 22位~40位までがアンダーガールズ(カップリング曲を担当)(変更)

c-1.2012年と2013年(大幅に変更)(4階層)
c-1-1. 1~16位までが選抜メンバー
c-1-1-1.優先的にメディアに出演
c-1-2. 17~32位までがアンダーガールズ
c-1-3. 33~48位までがネクストガールズ
c-1-4. 49~64位までがフューチャーガールズ

d-1. 2014年と2015年(5階層)
d-1-1. 1~16位までが選抜メンバー
d-1-1-1.優先的にメディアに出演
d-1-2. 17~32位までがアンダーガールズ
d-1-3. 33~48位までがネクストガールズ
d-1-4. 49~64位までがフューチャーガールズ
d-1-5. 65~80位までがアップカミングガールズ(変更)


1-1-9-1.階層がメンバーのモチベーションを上げる
a.目標枠がメンバーの欲求を満たす
b.マズローの欲求発達階層より
b-1.マズロー
b-1-1.人間の欲求について階層で示した心理学者
c.人間は現在の欲求が満たされると次々に新しい高い次元の欲求を満たそうと行動する
c-1. 5つの欲求
c-1-1.原始的なもの→生理的欲求(本能的な欲求)、安全を求める欲求(身の安全を守る)
c-1-2.社会的なもの→所属と愛の欲求(自分を温かく迎えてくれる仲間や集団、人が恋しくなる)、承認や自尊の欲求(他人から評価されたい、尊敬されたい)自己実現の欲求(自分自身を向上させたい)
c-2. 自己実現の欲求は無限に向上する
d.社会的欲求の3つがAKB48の階層とマッチ

d-1. 所属と愛の欲求
d-1-1. 下層のアンダーガールズ(カップリング曲の担当)に選ばれる
d-1-2. 初めて多くの人に認知される
d-1-3.AKB48に所属し、ファンに愛されていることを実感

d-2.承認や自尊の欲求
d-2-1.選抜メンバーに選ばれる(優先的なメディア出演)
d-2-2.正式な選抜メンバーに抜擢
d-2-3.ファンから認められていると実感
d-2-4.自分に自信がうまれる
d-2-5.自己実現の欲求に繋がる

d-3.自己実現の欲求
d-3-1.1つ目:グループを卒業すること
d-3-1-1.卒業することで AKBの看板がなくなる
d-3-1-2.さらなる自己の目標を達成するため、夢や理想を実現させるため
d-3-1-3.秋元康の言葉(出典:ヲタクやめたい.com)
「女優、モデル、歌手、声優…AKB48というシステムを通過し、そして卒業することで各界に人材を送り出していく回路に発展させたい」
→AKB48グル―プのメンバーは、階層では「承認や自尊の欲求」まで
d-3-2.2つ目:選挙に立候補せずに辞退(2015年~)
d-3-2-1.卒業は未定ではあるが、選挙には出馬しない
d-3-2-2.他者との比較は関係ない
d-3-2-3.他者からの評価を気にせず、自分は自分と割り切る

d-4.第3回の総選挙のコメント抜粋(1.2.3位)
d-4-1. 1位を獲得した前田敦子
d-4-1-1.「私のことは嫌いでも、AKB48のことは嫌いにならないでください」→「承認や自尊の欲求」
d-4-2. 2位の大島優子
d-4-2-1. 「私たちにとって票数というのはファンの皆さんの愛です」
d-4-2-2.ファンの複数投票を「愛」であると正当化した→「所属と愛の欲求」
d-4-3. 3位の柏木由紀
d-4-3-1. 「まだ認めてもらっていると思わないので、さらに一生懸命頑張ります」→「承認や自尊の欲求」

d-5.上位メンバーでさえも自己実現の欲求には到達していない
d-6.他者からの評価を求めているから
d-7.他者との比較を求めないのが自己実現欲求
d-8.AKB48のメンバーである以上は、自己実現欲求までは到達していないと考える

(図をパワポに掲載します)


<まとめ>
a-1.順位をつけることで現実味が出る
a-1-1.その現実がファン=支持者のニーズ
a-1-2.ニーズに応えていくことが長期的人気グループへと繋がる
a-2.階層をつくることでメンバー自身の明確な目標がうまれる
a-2-1.大人数にも対応可能、自己実現欲求が無限に向上
a-2-2.メンバーのモチベーションを上げ、グループのモチベーションの向上に繋がる
a-2-3.選抜総選挙はファン、グループにとってもWIN-WINな関係である


<次回以降の展望>
・大人数グループの利点をロングテールビジネスの観点から分析
・公式ライバルグループの乃木坂46
・(世界に進出したJKT48,SNH48)
・新潟進出したNGT48の今後予想
・AKB48から考える人気アイドルグループを提案


<参考文献・URL>
植田康孝 2012 「AKB48選抜総選挙におけるロングテール構造とメディア選択」」『江戸川大学紀要』23, 91-114.
斉藤勇 2000『人間関係の心理学』誠信書房
村山涼一 2012『AKB48がヒットした5つの秘密』角川書店
ウィキペディア「アンダーガールズ」
https://ja.wikipedia.org/wiki/
ウィキペディア「AKB48 13thシングル選抜総選挙「神様に誓ってガチです」
https://ja.wikipedia.org/wiki/AKB48_13th
ウィキペディア「AKB48 17thシングル選抜総選挙「母さんに誓って、ガチです」
https://ja.wikipedia.org/wiki/AKB48_17th
ウィキペディア「AKB48 22ndシングル選抜総選挙」
https://ja.wikipedia.org/wiki/AKB48_22nd
ウィキペディア「AKB48 27thシングル選抜総選挙」
https://ja.wikipedia.org/wiki/AKB48_27th
ウィキペディア「AKB48 32ndシングル選抜総選挙」
https://ja.wikipedia.org/wiki/AKB48_32nd
ウィキペディア「AKB48 41stシングル選抜総選挙」
https://ja.wikipedia.org/wiki/AKB48_41st
エケペディア「選抜総選挙」
http://48pedia.org/
エケペディア「卒業」
http://48pedia.org/
エケペディア「AKB48の歴史」
http://48pedia.org/AKB48
エケペディア「神7」
http://48pedia.org/
コピーライター長谷川哲士 2014「前田敦子と渡辺麻友のキャッチコピー力の差」
https://note.mu/copy/n/nfa6edf67351b
政治山「政治山調査特別編「AKB48 22nd シングル 選抜総選挙 投票分析結果」」
http://seijiyama.jp/research/investigation/investigation_akb48.html
ニコニコ大百科「AKB48選抜総選挙」
http://dic.nicovideo.jp/a/akb48%E9%81%B8%E6%8A%9C%E7%B7%8F%E9%81%B8%E6%8C%99
年代流行2006-2015「AKB48 CDシングル売上枚数一覧」
http://nendai-ryuukou.com/artist/005.html
ローチケHMV「AKB48 CDシングル」
http://www.hmv.co.jp/artist_AKB48_000000000335453/productmedia_cd-single_3/
ヲタクやめたい.com 2015「アイドルは卒業するための通過点でしかないのか」
http://j-th0610.jellybean.jp/?p=246
AKB48公式サイト2013「【追記】AKB48 32ndシングル 選抜総選挙 開催決定の御案内」
http://www.akb48.co.jp/news/detail.php?id=10311
AKB48公式サイト2014「AKB48 37thシングル選抜総選挙」
http://www.akb48.co.jp/sousenkyo/37thsingle/vote.php
AKB48公式サイト2014「AKB48 37thシングル 選抜総選挙 開催決定の御案内」
http://www.akb48.co.jp/news/detail.php?id=15016
AKB48ナビ「チームとは」
http://www.click-annuaire.net/01/0005.html
NEWSまとめもり 2015「AKB48総選挙2015の立候補者&不出馬メンバーまとめ、小嶋陽菜(こじはる)や松井玲奈の辞退に2ch「卒業?」「選挙しょぼくなりすぎ」【第7回・41thシングル選抜総選挙】」
http://www.akb48matomemory.com/archives/1023120277.html
ORICONSTYLE 2009「年間 CDシングルランキング」
http://www.oricon.co.jp/rank/js/y/2009/
ORICONSTYLE 2010「年間 CDシングルランキング」
http://www.oricon.co.jp/rank/js/y/2010/
ORICONSTYLE 2014「秋元康氏、“総選挙”始めた理由明かす「ファンに“わかってない”と言われて」」
http://www.oricon.co.jp/news/2038601/full/
3taku 2014「AKB48選抜総選挙って何なの?という人向け AKB48選抜総選挙の実態まとめ」NAVERまとめ
http://matome.naver.jp/odai/2140022877294333101?&page=1