担当:やま、かゆ


Q&A


Q1.システム1、システム2とはなにか?

A1.システム1は、自動的で高速で働き、努力は不要、必要でもわずかであり、自分ではコントロールしている感覚のない速い思考のことです。システム2は、複雑な計算など頭を使わなければできない困難な知的活動にしかるべき注意を割り当て、論理的思考を備えている遅い思考のことです。キャラクター仕立てに考えることにより、わかりやすく捉えることが出来るだろうと筆者は考えてこのように名づけました。

システム1の特徴をまとめておきます。

・印象、感覚、傾向を形成する。システム2に承認されれば、これらは確信、態度、意志となる。

・自動的、高速的に機能する。努力はほとんど伴わない。主体的にコントロールする感覚はない。

・特定のパターンが感知されたときに注意するよう、システム2によってプログラム可能である。

・適切な訓練を積めば、専門技能を磨き、それに基づく反応や直感を形成できる。

・連想記憶で活性化された観念の整合的なパターンを形成する。

・認知が容易な時、真実だと錯覚し、心地よく感じ、警戒を解く。

・驚きの感覚を抱くことで、通常と異常を識別する。

・因果関係や意志の存在を推定したり発明したりする。

・両義性を無視したり、疑いを排除したりする。

・信じたことを裏付けようとするバイアスがある。(確証バイアス)

・感情的な印象全てを評価しようとする(ハロー効果)

・手元の情報だけを重視し、手元にないものを無視する(「自分の見たものがすべて」)

・いくつかの項目について日常モニタリングを行う

・セットとプロトタイプでカテゴリーを代表する。平均はできるが合計はできない。

・異なる単位のレベル合わせができる。(たとえば、大きさを音量で表す。)

・意図する以上の情報処理を自動的に行う。(メンタル・ショットガン)

・難しい質問を簡単な質問に置きかえることがある。(ヒューリスティック質問)


Q2.ヒューリスティックの詳しい定義とは?

A2.「困難な質問に対して、必ずしも正しい答ではないが、正解に近い答を見つける単純な手続き」がヒューリスティックの定義です。本書における「困難な質問を簡単な質問に置き換えて、ある程度筋の通った答を導き出す脳の働き」がヒューリスティックと言えます。


Q3.3Dヒューリスティックにおける2次元から3次元への置き換えに関して、平面より立体のほうが複雑であるため3次元に置き換えたほうが脳は難しく思うのではないか?

A3.構造としては平面より立体のほうが複雑です。しかし、私たちの住んでいる世界は3次元であるため、平面よりも立体を見るほうがあたりまえになっています。その為、映像アーティストや画家でない限り、3次元に置き換えたほうが私たちには簡単にとらえることができると考えられます。ただし、理解する内容によって、平面と立体のどちらで理解したほうが簡単かは変わってくると考えられます。


Q4.「標本サイズ」とは?

A4.「母集団からある程度の人数を抽出して調査をする」調査を標本調査といい、標本調査における抽出された人数の大きさが標本サイズです。例えば、「法政大学生100人に聞きました」という調査の場合、法政大学生(27000)が母集団、実際に調査された学生が標本であり、実際に調査された学生の数、すなわち100というのが標本サイズと言えます。


Q5.10-1-1.c標本サイズが違っても変わらないと感じるのはなぜか?

A5.10-1-1の「300人の高齢者に電話調査を行ったところ、大統領の支持率は60%でした」という文書の趣旨を訊ねた場合、「高齢者は大統領を支持している」と捉えられ、電話調査や標本数が300であることは無視されたと考えられると述べました。このように私たちにとって調査方法や標本数は補足的な情報であり、あまり注意を引きません。したがって、標本数が6人や6000万人といったとんでもない数でない限り、一般的な人々は標本数が300でも3000でも反応は変わらないと考えられます。また、専門家でない場合、標本数と調査結果の関係性に関する理解度は低いと考えられ、このことも理由として考えられます。