担当:ほあ

0.はじめに
0-1.シニアの定義とニーズ
0-2.クラブツーリズムのシニア向け商品・サービス、仕組み

1.多様化するニーズへの対応
1-1.多様な消費行動決定過程
1-1-1.消費行動に大きく影響を及ぼす5つの変化
a.加齢による肉体の変化
b.本人のライフステージの変化
c.家族のライフステージの変化
d.世代特有の嗜好性とその変化
e.時代性の変化(流行・生活環境)
1-1-2.多様な消費行動の決定過程が、多様なニーズを生む。
1-2.世代特有の嗜好性
1-2-1.20歳までの文化体験(世代原体験)で形成される。(食生活、文学、音楽、映画、漫画、テレビ番組、ファッション、スポーツなど)
1-3.団塊世代特有の嗜好性
1-3-1.出来事(1940~1949生が20歳までに経験)
a.東京にトロリーバスが誕生
b.羽田空港開港
c.テレビが各家庭に普及
e.東京オリンピック
1-3-2.音楽
a.団塊世代(1947~1949生)
a-1.カレッジフォーク、ビートルズ、グループサウンズ、などのアメリカミュージックの影響
b.ポスト団塊世代(1950~1955生)、しらけ世代(1950~1964生)
b-1.四畳半フォーク、ニューミュージック
b-2.第一次バンドブーム(フォーリーブス、アリス、サザンオールスターズなど)
1-3-3.ファッション
a.団塊世代
a-1.ジーンズ、ミニスカートなどアメリカ文化の影響
a-2.アイビールック、VAN・JUNルックが流行
b.ポスト団塊世代、しらけ世代
b-1.雑誌『an・an』『non-no』の創刊
b-2.アンノン族:ファッションや旅行やグルメについて語り、この2誌を片手に、鎌倉などの観光地を訪れる女性のこと。
1-3-4.特徴
a.学生運動の終焉から若者に閉塞感が漂う→しらけ
(ノンポリ、個人生活優先、モラトリアムなどの言葉に代表される)
b.一方で、女性が一人または女性同士で旅行に出かけるなど、強い女性像が描かれ始めた。
1-4.団塊世代の現在
1-4-1.シニア、シルバー世代
1-4-2.子育てからの解放、子どもの独立・結婚・出産、
1-4-3.パソコン・インターネットを使いこなす
1-4-4.ストックリッチ・フロープア(アセット・リッチ、キャッシュ・プア)
a.シニアの三大不安(健康不安、経済不安、孤独不安)がストックをフローに変えにくくしている
←“旅行”が不安解消にアプローチできる
1-5.旅行商品を選ぶ際のプロセス
1-5-1.インターネットによる情報収集
1-5-2.他商品との比較・吟味、クチコミなどの参照
1-5-3.インターネットによる購入・予約

2.はとバス「昭和の懐メロツアー」
2-1.概要
2-1-1.2010年3月19日、3月22日~26日
2-1-2.コース(各2,500円)
a.コースA:あの歌が聞きたい! なつかしの名曲で綴る東京ドライブ
b.コースB:よみがえる青春! フォークソング・ヒット歌謡で綴る東京ドライブ
c.3月19日限定コース
2-1-3.50、60代~74歳のOGガイドが当時の制服を着用し添乗する。
2-1-4.半日をかけて両国や浅草、皇居や銀座など東京名所を巡る。
2-1-5.懐メロ曲目
a.コースA:「東京のバスガール」「お富さん」「リンゴの唄」「高校三年生」など
b.コースB:「青春時代」「別れても好きな人」「学生時代」「お嫁サンバ」など
2-2.反響
2-2-1.当初、同社の定期遊覧運航開始記念で3月19日(金)限定のコースとして企画。
2-2-2.しかし1月21日9:30に発売早々、約30分で3コース定員440人分が完売。
2-2-3.急きょ、追加設定したコースは20~30分でどれも完売。キャンセル待ちだけでも約200人にのぼった。

3.おとなひとり旅
3-1.ひとり参加限定ツアー
3-2.事例
朝日旅行「業平寺(なりひらでら)の三弦説法と勇壮『鞍馬竹伐(くらまたけき)り会(え)』」
3-2-1.概要
a.六歌仙の一人在原業平ゆかりの寺や、鞍馬寺などを巡る歴史探訪ツアー
b.女性限定ツアー
c.バスガイドが添乗し、移動手段はすべて旅行会社が手配
d.2列シートに一人で座る
e.“一人”なのに“さみしくない”
f.非日常空間でのリラックス
f-1.普段接している人、モノから離脱することができる
3-3.女性限定一人参加ツアーの需要
3-3-1.女性だけで外出すること、旅行することに抵抗がない。
3-3-2.女性が一人で安心して参加できるツアーの需要の高まり
a.シニア女性の有配偶者率が男性より低い。
b.女性の平均寿命、健康寿命が男性より長い。
3-4.ツアーを利用する理由
3-4-1.申し込み口一つで交通手段、宿泊、旅行先での体験等の予約などが済む
3-4-2.添乗員が付き添う安心感
3-4-3.孤独不安の解消

4.クルーズ旅行
4-1.大手旅行会社のクルーズツアー
4-1-1.「クルーズ旅行に行ってみたい」:59.0%
4-1-2.一回あたりの予算:過半数が20万円未満
4-2.JTB
4-2-1.2010年「ロイヤルロード銀座」とクルーズやウェディングに力を入れている旅行会社「PTS」と経営統合。
4-2-2.2014年12月5日、銀座にクルーズ専門店「JTBクルーズ銀座本店」をオープン。
4-2-3.他社よりも高い専門性を追求
a.全保有者5437名のうちJTB・PTSをあわせたグループ内の保有者が2935名
b.クルーズマスターは全54名中28名
4-2-4.高額・高品質の「JTBクルーズプレミア」と価格訴求型の「JTBクルーズバリュー」の2グレード展開。
a.JTBクルーズプレミア:【憧れのクイーンエリザベスで巡る欧州ショートクルーズ9日間】
a-1.出発:2015年5月2日
a-2.価格:ひとり69万8000円から
a-3.特典:客船評論家による船内講演会などのイベントの実施や、乗船証明書の発行、船内クレジット100米ドルと有料レストランでの食事などを提供
b.JTBクルーズバリュー:【セレブリティイクノスで巡る東地中海9日間】
b-1.出発:2015年6月30日
b-2.価格:ひとり39万8000円から
b-3.特典:船内クレジット100米ドル分と、有料レストランでの食事
b-4.価格訴求型の販売は四半期に1回のペースで実施。
※d-1、d-2ともに同店オープン記念商品(2014年12月12日発売開始)
4-2-5.ターゲット層:アクティブシニア~プレミアムシニア、ハネムーナー
4-3.H.I.S.
4-3-1.2002年、クルーズ専門旅行会社「クルーズプラネット」を子会社化
4-3-2.2013年、クルーズプラネットと共同でコスタビクトリアを2回チャーター
a.出発:2013年4月29日、5月5日
b.価格:6万9800円から
c.ターゲット層:リーズナブルシニア~プレミアムシニア、若年層
4-4.クラブツーリズム
4-4-1.クルーズラインナップ
4-4-2.4つのグレードを用意し、それぞれの価格帯、年齢層、雰囲気などが詳しくホームページに記載されている。
→対象者を記載することで、初心者にもクルーズ船のグレードと雰囲気が分かり、利用しやすい。
4-4-3.同行者
1位…配偶者(74.8%)、2位…子ども(23.8%)、
3位…趣味友達(14.8%)(H.I.S.2013より)
4-4-4.行き先
1位…沖縄(70.5%)、2位…北海道(63.1%)、
3位…九州(39.3%)(H.I.S.2013より)
a.飛行機で行ける距離をあえてクルーズ旅行で行く。
a-1.プチリッチ感、豪華さ、憧れ
a-2.外国客船の参入により豪華客船のLCC化が進み、少し頑張ってお金を出せば、手が届く存在。
4-4-5.クルーズ旅行がシニア層に好まれる要因
a.クルーズブームの歴史とシニア世代
a-1.1960年代後半から1970年代にかけてレジャー産業へ参入(それまでは人流輸送)
a-2.1989年:日本におけるクルーズ元年
a-2-1.当時団塊世代は40歳前後
a-2-2.働き盛り、子育て盛りのため、長期で高額のクルーズ旅行には行けなかった。
a-2-3.当時抱いていた憧れに今は届く。
a-2-4.当時より廉価で機会を購入できる。
a-2-5.当時のクルーズブームを懐かしみ、再びクルーズ旅行を楽しみたい
a-3.2013年:第二のクルーズ元年
a-3-1.外国客船の参入による市場規模拡大
a-3-2.日本人のクルーズ旅行利用者が調査を始めてから過去最高となる23.8万人(前年比9.9%増、2.1万人増)

5.終活ツアー
5-1.終活とは
「人生の終焉を考えることを通じて自分をみつめ今をよりよく自分らしく生きる活動」
(一般社団法人終活カウンセラー協会より)
5-2.ツアー内容
【各出発日最大20名様限定】東京湾 海洋散骨模擬体験
貸切クルーズと都内最新納骨堂をめぐる旅
5-2-1.価格:9,980円
5-2-2.一人から参加可能
5-2-3.生涯独身者、離婚経験者の増加
5-2-4.消費人口の高齢化、ターゲット層の高齢者率
→“旅行”から“人生の終わり”までをサポートするという考え方(クラブツーリズムより)

6. 寝台列車の旅
「クルーズトレイン「ななつ星in九州」でめぐる優雅な九州の旅」
6-1.概要
6-1-1.主催:JR九州
6-1-2.価格:1泊2日で15万~56万円
6-1-3.設備:ラウンジ車、食堂車を含めた7両編成
→「走る高級ホテル」
6-2.評判
6-2-1.発売開始直後から定員(35人)を上回る人気。
6-2-2.販売開始から約1年が経った2014年現在も倍率は約33倍。
6-2-3.乗車平均年齢は65歳。
6-2-4.JR東日本、西日本も今後豪華寝台列車事業に参入予定。
6-3.要因
6-3-1.“移動=単なる手段”から、“移動=貴重な体験・経験”へ。
6-3-2.列車=懐かしさを引き出すコンテンツ
6-3-3.高級な内容とおもてなし=が大人しか味わえなリッチさ、プレミアム感

7.シニア割をつかいこなすシニア
7-1.大人の休日倶楽部
7-1-1.JR東日本および北海道旅客鉄道(JR北海道)の運賃・料金が割引になる。
7-1-2.会員限定きっぷの販売や各種特典のサービスを受けることができる。
7-1-3.ポイントが貯まると「プレミアムメンバー」となり、グリーン車アップグレード券などのサービスが受けられる。
7-2.会員の仕組み
7-2-1.ミドル
a.対象:男性満50歳~64歳、女性満50~59歳
b.特典
b-1.JR東日本、JR北海道のきっぷが何回でも5%割引
7-2-2.ジパング
a.対象:男性65歳以上、女性満60歳以上
b.特典
b-1.JR東日本、JR北海道のきっぷが何回でも30%割引
b-2.日本全国のJR線が20%・30%割引
7-2-3.共通特典
a.会員限定 お得な割引きっぷ
b.びゅう国内旅行商品同行者も全員5%割引き
7-3.その他シニア割一覧(一部)
7-3-1.シニア割のほか、親子割、三世代割なども存在。
→お得なシニア割を駆使して、旅行会社を介さずに旅行するシニアも増加。
→リーズナブルシニアに対応

<参考文献・URL>
日経ウーマンオンライン 2014 「女性誌が与えた大きな影響とは」
http://wol.nikkeibp.co.jp/article/column/20140602/182302/?P=2&rt=nocnt
団塊の世代ガイドブック 2008 「団塊の世代を知ろう!」
http://www.dankaiguide.com/
日本経済新聞 2013 「団塊の世代の半生(シニアが拓く)」
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGF17003_Z10C13A2000000/
MURATA ASSOCIATES 2010 「団塊・シニアビジネスの基本」
http://muratainc.com/basics/02.html
ウォーカープラス 2010 「30分で完売! はとバス“昭和の懐メロ”ツアーが人気」
http://news.walkerplus.com/article/12791/
ウォーカープラス 2010 「車内で“昭和歌謡”歌いまくり!30分で完売した人気「はとバスツアー」に密着」
http://news.walkerplus.com/article/13466/
dot. 2014 「週刊朝日シニア女性「おひとりさま限定ツアー」がブーム
http://dot.asahi.com/wa/2014072500053.html?page=1
e-Stat  2013 「平成25年国民生活基礎調査-世帯人員数、配偶者の有無-」
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL08020103.do?_toGL08020103_&listID=000001119401&requestSender=estat
厚生労働省 2014 「平成25年簡易生命表の概況」
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life13/
産経ニュース 2014 「健康寿命「男性71歳」「女性74歳」…3年で0・5歳以上延びる 厚労省」
http://www.sankei.com/life/news/141001/lif1410010025-n1.html
クラブツーリズム 2014 「ひとり旅」
http://www.club-t.com/theme/friend/ohitori/kokunai/?li=lN
JTB 2014 「自由気ままにオトナの一人旅」
http://www.jtb.co.jp/kokunai_htl/list/hitori_p/
日本旅行 2014 「気ままにひとり旅特集」
http://www.nta.co.jp/kokunai/special/hitoritabi/
トラベルボイス 2014 「JTB、クルーズ事業強化で新ブランド「JTBクルーズ」、シェア20%を目指す」
http://www.travelvoice.jp/20141207-32620
トラベルビジョン 2014 「JTB、クルーズ強化で事業部設立、新ブランドと銀座に専門店も」
http://www.travelvision.jp/news-jpn/detail.php?id=64810
トラベルビジョン 2012 「HIS、クルーズに本格参入、コスタビクトリアをチャーター」
http://www.travelvision.jp/news/detail.php?id=55775
クラブツーリズム 2014 「クルーズの旅」
http://www.club-t.com/cruise/
一般社団法人終活カウンセラー協会 2014 「終活フェスタ2014in東京」
http://www.shukatsu-fesuta.com/
クラブツーリズム 2014 「人生のエンディングプランを考えませんか」
http://www.club-t.com/ending/
日経トレンディ 2013 「ここまで分かった! 予約殺到の豪華寝台列車「ななつ星」」
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20130508/1049126/?rt=nocnt
日刊ゲンダイ 2014 「2割がリピーター 走るホテル「ななつ星」誰が乗っている?」
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/154121
日本経済新聞オンライン 2013 「孫や子とお得に旅行 シニア向け割引を使いこなす」
http://www.nikkei.com/money/features/74.aspx?g=DGXNZO6103664012102013EL1P00
(最終閲覧日:2014年12月10日)