ザ・観光地( 前編) | バルタニウム

ザ・観光地( 前編)

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というわけで、一泊二日で塩原那須方面に行ってきた。先日の「町家○○」の後ろの方で書いた
「何一つ心に響くものがない」
というのは実は那須のことだったのだ。

那須街道という道路は渋滞で、その那須街道や並行して走る道路には何とか美術館や何とか博物館がいくつも建ち並んでいた。それらのいくつかはすでにチェーン化したものなのか他の観光地でも見たことあるものだった。それ以外でも、那須に関係なさそうな那須のこの地にある必然性もなさそうなものばかりだ。個々には魅力的なものはあるのだろうが、そのようなものが建ち並んでいる街並みは、私にとって魅力的とは言い難い。
「カフェだってあるよ」と相方は言ったが、京都のように他に見るべきものが多い所に「カフェ『も』ある」のと、見るべきものがない所に「カフェ『は』ある」のとは大違いだ。ていうか、美術館博物館+カフェなら、東京でええやん。
で、その渋滞の先にはロープウェイがあるのだが、車を止めるのに苦労。景色も印象に残るほどのものではなかった。
そして、帰りは「お菓子の城」というのに寄った。テーマパークみたいだけど、実はただの巨大な土産物屋で、「那須の月」というパチモンその他を製造販売している。その製造工程を見学できるのがウリなんだそうだが、職人が丹精込めて菓子を作る過程は見てて引き込まれるけど、パチモン土産が機械的に作られてるところなんか見て何がおもろいねん。

まあ、そんなわけで、那須の印象は悪かった。そんな所にお金と時間とガソリン使ってわざわざ行くのは意味がないと思っていたのだが、本に載ってた良さげな旅館がたまたまそっち方面だったので、行くことになった。
とはいえ、もちろん、今回はコースを完全に変えた。

以下、その行程。いつもの箇条書き攻撃です。文章まとめる能力ありません、と言ってるようなもんですね。

・今市インターを出る。
真っ先に目に付いたのは、観光施設(例えば日光江戸村とか)の看板群だ。明らかに美しくない景観だが、観光客にとっては必要だ。せめてデザインを統一すればいいのだろうが、そこまで気が回らないのか気にならない人が多いのか。
まずは
1.観光客相手と思われる中規模店舗(飲食店、物産店)が道路沿いに並ぶ一角
2.地元民のための、郊外型チェーン店店舗が並ぶ一角
(今市インターから見て、1と2、どちらが手前にあるか失念)
そこから先は
3.昔からあったと思われる小規模店舗と民家が混在。

・鬼怒川温泉
いかにも旧態依然とした温泉街。昔ながらの情緒と風情ある、というのではなく、昭和期に栄えたけど斜陽化しつつあるというか…。
たぶん、二十年位前に建てられたとおぼしき大規模旅館群、それぞれペンキが剥がれてたりするのが車の中からでもよくわかる。それでも今でも団体客には重宝されてるんだろうか。宴会場で浴衣着たオジサンが一列に並んで座り、その前には、ありがちな料理(もしかしてシダックスあたりに外注?)をのせたお膳。そんな光景を想像してしまう。もちろん、実際には料理やサービスに力を入れている旅館もあるとは思う。
ただ、それだけならいいのだが、すでに閉館してしまったと思われる旅館がいくつもあった。足利銀行が理由なのか時代の流れが理由なのかは謎だ。

・龍王峡
思いのほかよかった。奇岩がいくつもあり、少し歩くが歩いたほうがいい。

・ハンターマウンテンロープウェイ
往復1700円とかなり高いが乗りごたえはある。乗る際に写真を写され、降りたときに「気に入ったら買ってください」。これかなり嫌いなのだが、出来上がった写真があまりにもよく写っていて、その技術に思わず1000円払ってしまった。
頂上はすでに1℃という寒さだったが、眺望もよいので歩いてみるのも面白い。紅葉はまだまだ一割程度。

・源三窟
鍾乳洞。秋芳洞などに比べるとかなり小さいが、源氏の悲劇の伝説がそそる。頼朝に追われた源氏の一族がここに隠れ棲んでいたという。この地からさほど遠くない湯西川には平家の落人伝説があり、興味深い。

・もみじ谷大吊橋
日本最大級の吊り橋。「だから」なのか、「なのに」なのか渡っていると揺れる。左右の景色よりこのスリルがおもしろい。
さて、この吊り橋の入り口(渡るにはお金が要る)には大きなお土産売り場がある。真っ先にソフトクリーム売り場が目に入るのはお約束。
中に入ると、いかにも土産物ですよ~という品が並ぶ。確かに龍王峡のそばにはいくつかの食堂があり、源三窟にも申し訳程度の土産物売り場もあり、それらはある意味昔ながらで、それはそれで観光地ならではの風情や微笑ましさすらも感じさせられる。
けれど、ここのように変に小綺麗で規模が大きいと、お金の匂いしか感じなくなる。那須の月やその同類項のそれらを眺めていると、「土産物は適当に作っときゃいいんだよ。観光客はこの程度でも買ってくれるから」とたかをくくってるような気さえしてしまう。(もちろん、那須の牧場などによる乳製品もあるが、日持ちしないのが難点)
そう言わずにせっかく来たんだし、栃木県の経済の活性化に貢献するのもいいじゃないかとも思うが、そこまで栃木県に義理はないし。
てか、お土産のやりとり、ってせなあかんのか?その土地ならではの、おいしそうなあるいは良さそうな、相手がいかにも喜びそうなものを買うのは楽しいが、「こんなんしかないのか…でもこないだもらったから返さないと…」みたいなだと相手にも失礼だ。この不毛な連鎖はお互いに負担だと時々思う。
ちなみに、吊橋ですが、近くの回顧の吊橋のほうが風情ありそうだった。

・天皇の間記念公園
御用邸を移築したもの。落ち着いたたたずまいで、心が安らぐ。先ほどの吊橋が俗っぽかったので余計にホッとする。こういうところで何か記念の品をと思ったが、そういうところに限って何も売ってなかったりする。

・ドライブ旅ではしばしば昼食難民と化す。塩原ではスープ入り焼きそばというのが名物らしく、元祖の店には行列ができていた。
まっぷるに載っていた蕎麦屋に入ろうと駐車場の場所を尋ねるため店の人に訊いたが、パートのおばちゃんしかいず、答えはぞんざいだし、他の客が食べてた蕎麦がめちゃくちゃ不味そうだったので他をあたることにした。
彩花の湯とかいうところにカレーののぼりがあったのでそこのレストランに入ったが、席への誘導はない水は持ってこないオーダーききにこないオーダーしても出てこない、尋ねたら「30分かかります」どんなカレーやねん。そして値段はサラダコーヒー付きとは言え1300円。(高田馬場ラミティエのランチの価格と比べてみよう)。余命120年と医者に宣告されてる人か、自分の時間を他人に売りたいと思うくらいの人にはお勧めです。

・りんたろう
結局、旅館の方面に向かう。いかにも混雑してるであろう那須高原は避ける。
「りんたろう」というカフェは、和風の民家をそのまま使っているようだ。たぶんご主人が焼き物をし、奥さんがカフェをしているのだろう。
メニュー構成はいたってシンプルだが、そこがまた素朴でよい。マダムの人柄も、その魅力の一つだ。
辺りはただひたすら田んぼ畑牧場で、堆肥の匂いすらするが、そこがかえって良いかもしれない。

・板室温泉 ONSEN RYOKAN山喜
板室温泉は湯治場としての色合いが強かったらしく、他の温泉街とは趣が違うかもしれない。
「山喜」は今年オープンしたばかりだ。デザイナーズ旅館とカテゴライズしてもいいかもしれない。(写真はフロント近くの階段から撮してみた)
フロントにはこのような但書きが。
「8室しかない小さな宿です。カラオケや宴会を楽しみにされているお客様はご満足できないかと存じます」(うろ覚え)

後編に続く…

ONSEN RYOKAN山喜
http://www.yamaki-onsen.com/