アロマオイル解説 (ちょっとひとやすみ) | エセ化学者の理科の学校

アロマオイル解説 (ちょっとひとやすみ)

 今日はチョッとブレークをいれましょう。
 昨日、水蒸気蒸留の説明で、共沸という言葉を説明しましたが、かなりわかりにくかったと思います。「精油と水との混合物が沸騰する際に液相と気相の組成が同じになるという…」全然意味が分からないですよね。水と油は混ざりませんが、ほんの少しだけごく微量の油が水に溶けます。温度が上がり、水の沸点まで近づくと、その蒸気の組成が蒸発前の組成と変わらないということなんです。
 もっと身近な例を挙げてみましょう。キッチンで天ぷらを揚げるとき、油の温度をだいたい170~180℃にします。でもこの段階で油が沸騰するという現象は当然見られません。ここに水で溶いた小麦粉を衣にした具材をいれます。そうすると音を立てながら泡が出てきますね。この泡は衣に含まれていた水分が蒸発した水蒸気です。天ぷらを揚げるというのは、衣の中の水分を飛ばしていることなんです。
 実はもうここで水蒸気蒸留の現象が起きています。衣の水分が蒸発して水蒸気となるとき、周りの油を共沸させて、一部油の蒸気も出てきているんですね。その証拠に、換気扇は油でベタベタになってしまうわけです。これこそ水蒸気蒸留の仕業なんです。これは天ぷらだけでなく、カレー、シチュー等を作る際に、油を含んだスープを沸騰させれば、同様の現象が起きます。
 今日は水蒸気蒸留と共沸について、身近な例を挙げてみました。