あたしには
何度も繰り返し呼ばれるような美しい名前は
なかったこと

風が
ただ風が流れ、流れ続ける
音を聴いている
心という機能

世界にどれだけの切なさが溢れていると思う
繋いだ手の隙間でひそかにリズムをとっているのを
目を閉じて
その下で指を滑らせる

二度とない曲線のそのライン
重なる、一瞬の光
通り雨の中の、声
心に映っては打ち消される
世界の美しさに
こんなにも焦がれてうちひしがれている

もう前に進むことでしか自分を救ってあげられないことに気付いたならば
走る羅針を夢想、息を切らし追い掛けている