オニオンスープ

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鼻の粘膜や皮膚を痛く突き刺す玉葱の香り
だけどゆっくり時間をかけて焦がさないように
繊細な繊維が幾重にも重なり、優しい飴色になったら
深く甘い栄養たっぷりのスープ

あなたはどれくらいわたしのこと、覚えているだろうね

昔はよくこうやって夜通しでいろんな話をしたね
楽しくて楽しくて、眠たくなっても我慢して話を続けた
次の日にはお互い仕事が辛かったことさえ話のネタにして
また笑い合って、飽きることなんてなかったね

だけど、わたしはあなたのこと
何も分かっていなかった
そして今も分からないままで
それでもいいと、思っているよ

あなたの為に我慢をするのはもうやめたよ
だってわたしの心の中からあなたは立ち去ったのだから
あなたもそれを悲しいって思ってはいけないんだよ
涙と一緒にあたたかいオニオンスープをすする

そうすれば、身体の中から愛を感じるでしょう
朝が来れば、また遠ざかっていく二人の日々を
あなたの生まれた季節が訪れることを、数えて大人になる
一滴だって余さず、それは生きる為のエネルギーに変わるんだよ

今も、これからも、ずっと

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昔の恋人の誕生日に。
会いに行こうと思えば会いに行ける距離だけど
今はもう会いには行けない。
永遠より遠くなった距離から、ハッピーバースデーをうたう詩です。
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身体はあなた

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今夜は私の失恋を祝って飲もう
あなたが盃を満たせば
私はひたすらに飲み干すだけだから
酔い潰れて朝がきたら、もう一度きくね

ねぇ私のこと、好き?

嘘を言ってくれたら
私の涙以外の全部を、あげるよ


そして忘れよう
悲しかったことは、全部全部
飲み干して身体になったら
幸せになれるはず
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ハーフタイムフィールズ

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日々古くなっていく身体を、丁寧に磨き
これで明日も何とかやっていこう
苦いコーヒーが美味しいと思えるようになったなら
また楽しみがひとつ増えただろうから

夢から覚めたならこれから起きる現実も
受け止めれるさ、きっと
また少し汚れたとしても大丈夫
しみったれた情愛がむしろ愛しく思える

怖くないよ
この気持ちが一番確かだから
伝える手段を知っているよ
この身体全部を使って今から届けに行くね

夜が明ける瞬間を抱きしめながら
愛を覚えた動物、わたし、あなたをなぞって
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記憶を破棄

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嫌なことは飲んで忘れてしまえ、と言うのなら
あっと言うの間に空いたグラスの中の氷ように
立ち昇って消える煙草の煙にように
全部奪われてなくなる
脳の皺に刻まれた記憶は
もうすぐ灰になる

ドライドライト

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甘くてほろ苦いラテ
軽めの煙草
車の名前
覚えたての台詞
赤いマークのスイッチ
過剰なカロリー摂取量
注意散漫

気のいい音楽
キス

いつも大人になりたい
子供な僕だから
つまらない常識は聞き逃して
口煩い肩書きは聞き流して

また街へと繰り出す
ただ単に淋しいから
街灯や看板が呼んでいる気がして
たいして必要とされていないこと、本当は知ってる

本気の恋のゲーム

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ちょっとだけね、そう耳打ちして
気持ちの在り処をまさぐり合い
今はまだ負けたくないね、このゲーム
だから今日もベランダで一人吹かす煙草

ふらふらと昇っていったその先に
苦い後悔の味、味わわされても構わないさ
それよりも君の孤独や笑顔に興味があるからね
明日を指折り数えて、負けそうなのかも

ストレートに引き当ててきた
あたしの嫌いな仕草や言動
今はまだ負けたくないから、恋のゲーム
そしてなお惹かれる理由は何なのかな

煙が空気に溶けた
夕暮れが夜に変わった
頼みの綱の通信が途絶えた
でも勝算はまだ五分五分だろう

流星馬鹿

テーマ:
途切れそうな声で紡ぐ私の歌を
聞いてくれる人がいなくなっても
私はやっぱり歌うのをやめないし
そうやって生きているし

無造作に掴んだ砂が
小さなこの手の隙間から
こぼれ落ちるように
一分一秒、時は繊細に過ぎていく

誰にも届かない言葉を
一日の終わりにそっと添えて
手を振り見送るので精一杯で
また新しい一日を迎える覚悟もままならないで
それでも時の流れを受け止めれるように

歌を
歌を

歌を



(こうやって歌っていることに
必死こいて生きてることに
本気でとか、とりあえずとか関係ない
等身大の自分の弱さが昔よりよく分かるようになったから)



もう力尽きる寸前だよ
まぶたを一度閉じればもう目覚めることなんかないって思うのに
また朝が来てる、相変わらず生きているこうやって
しょうがないもくそもないって
いい加減分かったでしょうに

メモ

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伸びきった髪が流れ落ちて、ホワイトローズがふと香った。懐かしい匂い。
午前5時の空気は張り詰めていて冷たい。すっかり夏が死んで、もう秋になるんだ。
煙草に火をつけて、ベランダから薄明るい空を見ていた。ゆっくりと、メンソールを吐き出す。
物置の後ろに古びた空き缶があって、中には1mmの吸殻がいっぱいに入っている。
何年も前から、母親は父親に隠れてずっと煙草を吸っていた。今わたしも同じように、そこにゆるい灰を落としていく。
まったく、歳を取るごとに母親に似ていくわたし。なんだか笑えてしまう。

煙草(これ)は、わたしにとってつまり、男と同じで、いつもハマらないつもりで口をつける。
ヤバいと思ったらいつでも辞めれると、自分では信じているのだ。
きっとあのひとは煙草を吸うわたしを嫌がるけど、こうやって一人で煙草を吸いながら想いを募らせていること、知る由もないだろうから。
明日になれば、煙草か男か、どっちを辞めるべきか、はっきりと分かるはず。
今は淋しさに任せて、吸えば快感に変わっていくのを感じている。
必要はないのに、これで最後だと思うと惜しくなるんだ。

さぁ秋晴れ。いつ雨が降ってもおかしくはない。
その前に、髪を切りに行こう。


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すっかり文章を書くのが下手くそになりました。

その後の展開

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簡単に仕上げた炭水化物と食物
夕方5時
陽が傾きはじめ、夏もやがて終わる頃
ベランダで一人きり、煙草をふかして
誰かさんとのキスを思い出していた

また世界が変わっても
あたしに会いに来てくれるかな
沿線の向かい側、橋を越えて
あたしを覚えていてくれるかな

考えてみれば、あの人の何も
あたしは当然のように知り得ないから
嘘の味がする、甘いミルクティー
暗い夜が来たら、その後の展開を夢見よう

朝焼けのオレンジ

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輪郭の鈍い月を縁取る
淡い紫色、雲ひとつない九月の空
近くしか見えない僕の目がとらえた最後の光
オレンジ色に燃える煙草の燃え口から
ゆるゆると昇っていく、魂のような
こんな僕を見て、君は何を言うのかな

一人になって
手持ち無沙汰になる時間が長くなった
ふざけて吹かしていただけの煙草だけど
春が戻ってきたような涼しい風に触れると
なんだか心地よくて、こうやって君を思い出す

大人になって、子供みたいだと言われて
もう恋なんて分からなくなったよ
分からないのならそれでもいいと思うし
身体を交えることは思ったよりも簡単だから、困る

ただやわらかい匂いに誘われて
あたたかい腕の中で眠り続けて
一人ぼっちが怖くなった
こんなことでもなければ
ずっと自分が好きでいられたのにね

身体に悪いから、やめておきなとでも
言ってくれればね
なんとなく、笑った
好きってそういうことかな