「白だ黒だと喧嘩はおよし 白という字も墨で書く」という言葉がある。
今回は白と黒の話である。
白黒でイメージすることは、囲碁、オセロ、葬式、相撲の白星黒星…。

最初に白黒で思いつくことを書いてみる。
市松模様は、佐野川市松が若衆を演じた時に着た白黒のチェッカー柄。
白黒の珍獣はご存知パンダ。
「白い猫でも黒い猫でもネズミを獲るのが良い猫だ」は鄧小平の言葉。
カラー出始めの頃は、白黒映画に白黒テレビと言ってたっけ。無彩色
とか、モノクロとも言う。
自動車業界では「景気が悪いと無彩色が売れる」というのが定説らしい。
グレー、シルバー、白…。これからはまたカラフルになるかも。

シロ・クロを決めるのは刑事。語順が変われば黒白(コクビャク)と読む。
黒白を争う、とか白虎とか、ビャクは古い読み方でもある。
驚いたら目を白黒させるというのだが。具体的にはどういう状況かな?
想像がつかない。ペコちゃんの目が動くミルキーの箱みたいな…かな?

子供の頃、白黒テレビでロゼッタ本舗の白子さん黒子さんCMがあった。

「江戸の黒」と言うように、江戸では黒が極上とされ、黒から白への
鼠色のグラデーションに茶と紺を加えたモノトーンが主流だった。
茶色が48色、鼠色が白から黒まで100色「四十八茶百鼠」と言う。
江戸の家は、瓦が黒系、壁が黒か白かベージュ、これに雀の羽色を加え
れば江戸のシンボルカラーというわけである。
英語で言えば、black and white 、犬のマークの衣類のブランドもある。
青春朱夏白秋玄冬は、青赤白黒だから、杉田玄白は杉田黒白の意味?

考えてみればいろいろと思いつくものだ。今度は白黒別々に考えてみる。
まず「白」から。
白露とか白雪などは不思議な言葉だ。黒い露も黒い雪もない。ただ白い。
ならば、露とか雪でいい。なぜ白雪か。白雪姫も雪姫で問題ないじゃん。
白墨だって赤や黄色があって、赤い白墨って、本来は変である。
本物の竹に巻いてある鳴門の竹ちくわ(竹竹輪)のようなものかもしれん。

素人の語源は、何もできない遊女、白粉を塗ってるだけ、白人しろと、
からきたと聞いた気もする。だから反対は黒で、玄人くろうと、とか。
しらを切る、の「しら」は「白」、白は生地のまま、汚れ飾りがない。

嘘の語源も白。昔中国で鳥屋が「白い烏(カラス)を見たい」と言われ、
「家にいくらでもいる」と嘘をついた。
彼を烏について何も知らないことから烏素人( うそじん )とよんだ。
英語のホワイト・ライ、白い嘘は罪のない嘘のことだが、白が共通だ。
不思議な感じがする。ついでに、白々しい嘘はa barefaced lieという。

白は百の一がないから白寿は99歳って、これも言葉遊びだ。
日本の家電製品も白。白物家電だが中国では赤物家電製品が主流とか。

次は「黒」と思ったが、
「色が黒うて惚れ手がなけりゃ山のカラスは後家ばかり」とか、
「影は常にモノクロである」と書き始めたものの飽きてきた。

どうもこのテーマは面白くないと、この際はハッキリ黒白をつけた方
がよさそうである。気分も白けてきた。