煙管の掃除をするのに、どういうアルコールが良いか調べていた。
アルコールはヤニを溶かすのである。
中にはイソプロピルアルコールを使っているという猛者がいた。
消毒にも使われるが、煙管は口にするものなのでちょっと怖い。
メチルが危険でエチルは大丈夫というのは、アルコールが分解しやすいしにくいということがあり、更に毒性があるかないかということもある。
イソプロピルアルコールは毒性はメチルほどではないようだが、煙管にはどうなのだろうか。
大丈夫なのか調べているうちに水抜き剤にまで及んだ。
色々な意見がある内に、非科学的と思えるものが多かったので記事を書くことにした。
稚拙な理屈を言っている人は、水抜き剤を売りたいという人だとしか思えないが。
アルコールにはいくつも種類があるが、炭素と水素と酸素でできた物質で、簡単に言うと炭素の数(当然水素も炭素が1つ増えると2つ増える)が違うのが種類の違いである。
エチルアルコール(エタノール:C2H6O)は酒にも入っていて体が分解でき毒性もほとんどない。
メチルアルコール(メタノール:CH4O)は分子量がエチルより小さいが、分解しにくく毒性が強い。
プロピルアルコール(プロパノール)には2種類あり、イソプロピルアルコールはその一方である。
毒性はあるものの、殺菌やCD/DVDなどのレンズクリーニングに使用される。
水抜き剤はイソプロピルアルコール(IPA)が主成分である。
これに何がしかの添加物を入れているものもあり、あるいはエンジンのクリーニング効果その他の効能をうたうものもある。
では、そもそも水抜き剤とは何だろうか。
イソプロピルアルコールは水・ガソリン双方に親和性がある。
界面活性剤と同じで、弾きあう両者の仲を取り持ち、混在できるようにするのだ。
それにより、タンク内の水を除去しタンクが錆びるのを防ぎ、あるいは水がエンジンに悪影響を及ぼさないようにするものである。
という謳い文句なのだが・・・
では、なぜタンク内に水が入るのだろうか。
ガソリンタンクは加圧されている。
どこで判るかというと、ガソリンを入れる際にキャップを開け、シューという音がしたら加圧されていた証拠である。
中にはガソリンが減った分減圧になり、外の空気が入るのだという人がいるが、逆だ。
知らずに給油していると怖いのだが、シューという音がしたら、しなくなるまで待ってからキャップを開けるようにしなくてはならない。
そうしないと、中のガソリンが噴出すことがある。
これは、ビールや炭酸飲料で経験しているだろう。
ちょっと王冠を開けて、シューとさせ、中の泡が落ち着いてから王冠を完全に開ける。
そうせずに、一気に開けると中身もろとも泡が吹き出る。
大抵、子供の頃に何回かやった失敗だろう。
加圧状態であるため、揮発が抑えられていたガソリンが、キャップを外し減圧されることで一気に揮発(いわば沸騰)してしまうと噴出するという理屈である。
殆どないだろうが、安全のためには注意すべきであり、販売側が注意を促すのは当然のことだろう。
ガソリンが吹き出るのはかなり危ない。
つい先日、セルフで給油していると隣で入れていたオヤジが大騒ぎで店員を呼んでいた。
聞き耳を立てていると、どうやら満タン給油で一度止まったので、もう一度入れているうちに溢れたらしい。
レバーを放せば止まるのだが、ずっと握って溢れさせていたのだろう。
かなりの水たまり(ガソリンたまり)になっていた。
相当危ない、溢れたガソリンも、オヤジも。
知らないということは何とも危険なことである。
加圧状態になったとして、タンクが爆発しそうなほど加圧された場合は圧力を逃がさなければ危険だが、そうでない限りは揮発したガスを外に出さないようにしないといけない。
危険だ。
加圧状態では結露しにくくなり、逆にガソリンに空気が溶け込みやすくなるだろう。
加圧はガソリンのガス化ではなく、空気を送り込んでいるのである。
空気中の水分が天敵なら、そんな機構にはしないはずではないか。
つまり、空気の結露をそれほど心配する必要はない。
ガソリンの沸点は30℃から150℃程度だが、これはあまり意味がない。
低い温度でも気化するから揮発油なのだ。
重要なのは引火点と発火点である。
ガソリンは引火点が-40~-20℃程度、発火点が300℃程度となっている。
この引火点とは揮発し空気(酸素)と混合することで可燃性となる温度のことであり、発火点とは文字通りそれが燃え始める温度である。
ガソリンは引火点が低く、発火点が高くなるようになっている。
そうでないとガス化がうまくいかなくなったり、着火前に発火してしまう(ノッキング)からである。
ディーゼル用軽油は逆に、引火点が高く、発火点はガソリンよりも低くなっている。
このため、ガソリンは密閉した容器に蓄えなければならず、ポリ容器に入れてはならない。
金属製の専用容器が必要となる。
だが、自動車のタンクは樹脂製がある。
前述のポリ容器を禁止しているのは消防法だが、自動車の一部としての燃料タンクは除外されるのだ。
耐久性があって、ガソリンに溶けず・劣化しないなら金属製でない方が良い。
なぜか。
タンクの錆が出ないからである。
水があるとタンクが錆びる、ということはないことになる。
ガソリンをタンクから送るのはフューエルサクションだが、その中にちゃんと不純物を取り除くフィルターもある。
ここで水も除去される。
つまり、タンク内に水があってもここで取り除くのだから問題ないのである。
よしんばエンジンにまで微量の水が入ったとしよう。
高温にさらされることで水蒸気になるはずだ。
それでも水は天敵だと思うかもしれない。
だが、ガソリンの燃焼により水が生じているではないか。
マフラー(の出口)から水蒸気が出ていたり、あるいは水が滴っているのを見たことがあるだろう。
炭素と水素と酸素からできるのは、炭素(すす)か、二酸化炭素、水素や酸素が出てくるはずもなく、当然の水になる。(他に不純物や空気中の窒素も一緒になるから、単純ではないが)
タンクから水が送り出されてもフィルターで除去され、極わずかに残ったとしてもそれほどの被害はないのである。
ちなみに、ガソリンは油だが、0.1%程度の水を最初から含んでいる。
逆に言えば、ガソリンも少量の水は溶かし込めるということになるのである。
結論として、水抜き剤は気休め程度でしかない。
必要ないと言っていいだろう。
100mlの水抜き剤を50リットル程度のガソリンに混ぜるように書いてある。
どのくらいの水がそれで抜けるかというと、0.5mlほどだという。
つまり、空気が入って毎晩結露していたら、毎日水抜き剤を入れても追いつかないのだ。
意味がないことが判っていただけるだろう。
もし、大量に水が入りエンジンが不調となったなら、水抜き剤では太刀打ちできない。
これは、燃料タンクの最下部から水抜きができるので、それを依頼すべきだ。
なお、水抜き剤や他に含まれるものにより、部品が腐食する可能性を否めない。
以前、メチル系の添加剤で腐食が問題になり、使用しないようになったこともある。
もしかしたら、水より悪い可能性だってあるのだ。
では、何のために水抜き剤があるのか。
必要なものがあるからである。
まずは、バイクだ。
バイクは構造が単純である上、タンクの開口部が大きく真上を向いているため給油時に水(雨)が入ることもあるだろう。
タンクは金属製でむき出しであり、結露もしやすいかもしれない。
水が溜まることで燃料が送れなくなったり、錆によってタンクに穴が開くこともある。
バイクには使った方が安心という人も多い。
しかし、市販の水抜き剤は(量的に)バイク用とはなっていないのだが・・・
水抜き剤を最も必要としているのはガソリンスタンドである。
純粋(99%)なイソプロピルアルコールでも1リットル1000円もしないのだが、それを100ml1000円で売ればかなりの儲けである。
ちなみに、エチルの濃度は通常の蒸留では96%が限度で、99%まで高めるには特別な再蒸留が必要となり、更に酒税もあるため、かなり高価なものとなる。
だから、スタンドではケミカルなどと言い、これを売ることを推奨する。
儲かるからだ。
社員やバイトは売るとその量に応じ手当てが支給される店もあるだろう。
入れろとうるさく言うのは自分も儲かるからである。
更に1本ではなく、2本入れた方が良いなどとなれば、倍の手当てになるではないか。
ガソリンを売るだけよりずっと効率よく稼げるのが水抜き剤という訳である。
夏場は湿度は高いが、温度も高いので結露しにくい。
冬場は湿度が低くいが、温度が低いので結露しやすい。
しかし、水抜き剤を売りつけるのは、車体が結露している頃だろう。
一重に説得しやすいからではないだろうか。
結露するから水抜き剤を入れろ、と。
何かの材料を見つけて、とにかく売りつけてくるのである。
水抜き剤を入れたいなら止めはしない。
他の添加剤の効能も期待できるからだ。
ただしその場合は、ホームセンターやカー用品店で買って自分で入れるべきである。
安いし、何を入れるのか自覚できる。
高機能そうなものでも、スタンドで入れる額より安いくらいだ。
スタンドの水抜き剤が何か判らないし、容器と中身が違う可能性だってある。
悪質な業者がいないとも限らないのだから。
とにかく、絶対に(私は)スタンドでガソリン以外を買うような愚行はしない。
あるスタンドの店長は、水抜き剤をどんどん売れと言い、自分は水抜き剤を入れないのだという。
入れなくても問題ないし、妙なものを入れると劣化を早める可能性もあるからである。
今後どうするかはこれらから判断していただきたい。
アルコールはヤニを溶かすのである。
中にはイソプロピルアルコールを使っているという猛者がいた。
消毒にも使われるが、煙管は口にするものなのでちょっと怖い。
メチルが危険でエチルは大丈夫というのは、アルコールが分解しやすいしにくいということがあり、更に毒性があるかないかということもある。
イソプロピルアルコールは毒性はメチルほどではないようだが、煙管にはどうなのだろうか。
大丈夫なのか調べているうちに水抜き剤にまで及んだ。
色々な意見がある内に、非科学的と思えるものが多かったので記事を書くことにした。
稚拙な理屈を言っている人は、水抜き剤を売りたいという人だとしか思えないが。
アルコールにはいくつも種類があるが、炭素と水素と酸素でできた物質で、簡単に言うと炭素の数(当然水素も炭素が1つ増えると2つ増える)が違うのが種類の違いである。
エチルアルコール(エタノール:C2H6O)は酒にも入っていて体が分解でき毒性もほとんどない。
メチルアルコール(メタノール:CH4O)は分子量がエチルより小さいが、分解しにくく毒性が強い。
プロピルアルコール(プロパノール)には2種類あり、イソプロピルアルコールはその一方である。
毒性はあるものの、殺菌やCD/DVDなどのレンズクリーニングに使用される。
水抜き剤はイソプロピルアルコール(IPA)が主成分である。
これに何がしかの添加物を入れているものもあり、あるいはエンジンのクリーニング効果その他の効能をうたうものもある。
では、そもそも水抜き剤とは何だろうか。
イソプロピルアルコールは水・ガソリン双方に親和性がある。
界面活性剤と同じで、弾きあう両者の仲を取り持ち、混在できるようにするのだ。
それにより、タンク内の水を除去しタンクが錆びるのを防ぎ、あるいは水がエンジンに悪影響を及ぼさないようにするものである。
という謳い文句なのだが・・・
では、なぜタンク内に水が入るのだろうか。
ガソリンタンクは加圧されている。
どこで判るかというと、ガソリンを入れる際にキャップを開け、シューという音がしたら加圧されていた証拠である。
中にはガソリンが減った分減圧になり、外の空気が入るのだという人がいるが、逆だ。
知らずに給油していると怖いのだが、シューという音がしたら、しなくなるまで待ってからキャップを開けるようにしなくてはならない。
そうしないと、中のガソリンが噴出すことがある。
これは、ビールや炭酸飲料で経験しているだろう。
ちょっと王冠を開けて、シューとさせ、中の泡が落ち着いてから王冠を完全に開ける。
そうせずに、一気に開けると中身もろとも泡が吹き出る。
大抵、子供の頃に何回かやった失敗だろう。
加圧状態であるため、揮発が抑えられていたガソリンが、キャップを外し減圧されることで一気に揮発(いわば沸騰)してしまうと噴出するという理屈である。
殆どないだろうが、安全のためには注意すべきであり、販売側が注意を促すのは当然のことだろう。
ガソリンが吹き出るのはかなり危ない。
つい先日、セルフで給油していると隣で入れていたオヤジが大騒ぎで店員を呼んでいた。
聞き耳を立てていると、どうやら満タン給油で一度止まったので、もう一度入れているうちに溢れたらしい。
レバーを放せば止まるのだが、ずっと握って溢れさせていたのだろう。
かなりの水たまり(ガソリンたまり)になっていた。
相当危ない、溢れたガソリンも、オヤジも。
知らないということは何とも危険なことである。
加圧状態になったとして、タンクが爆発しそうなほど加圧された場合は圧力を逃がさなければ危険だが、そうでない限りは揮発したガスを外に出さないようにしないといけない。
危険だ。
加圧状態では結露しにくくなり、逆にガソリンに空気が溶け込みやすくなるだろう。
加圧はガソリンのガス化ではなく、空気を送り込んでいるのである。
空気中の水分が天敵なら、そんな機構にはしないはずではないか。
つまり、空気の結露をそれほど心配する必要はない。
ガソリンの沸点は30℃から150℃程度だが、これはあまり意味がない。
低い温度でも気化するから揮発油なのだ。
重要なのは引火点と発火点である。
ガソリンは引火点が-40~-20℃程度、発火点が300℃程度となっている。
この引火点とは揮発し空気(酸素)と混合することで可燃性となる温度のことであり、発火点とは文字通りそれが燃え始める温度である。
ガソリンは引火点が低く、発火点が高くなるようになっている。
そうでないとガス化がうまくいかなくなったり、着火前に発火してしまう(ノッキング)からである。
ディーゼル用軽油は逆に、引火点が高く、発火点はガソリンよりも低くなっている。
このため、ガソリンは密閉した容器に蓄えなければならず、ポリ容器に入れてはならない。
金属製の専用容器が必要となる。
だが、自動車のタンクは樹脂製がある。
前述のポリ容器を禁止しているのは消防法だが、自動車の一部としての燃料タンクは除外されるのだ。
耐久性があって、ガソリンに溶けず・劣化しないなら金属製でない方が良い。
なぜか。
タンクの錆が出ないからである。
水があるとタンクが錆びる、ということはないことになる。
ガソリンをタンクから送るのはフューエルサクションだが、その中にちゃんと不純物を取り除くフィルターもある。
ここで水も除去される。
つまり、タンク内に水があってもここで取り除くのだから問題ないのである。
よしんばエンジンにまで微量の水が入ったとしよう。
高温にさらされることで水蒸気になるはずだ。
それでも水は天敵だと思うかもしれない。
だが、ガソリンの燃焼により水が生じているではないか。
マフラー(の出口)から水蒸気が出ていたり、あるいは水が滴っているのを見たことがあるだろう。
炭素と水素と酸素からできるのは、炭素(すす)か、二酸化炭素、水素や酸素が出てくるはずもなく、当然の水になる。(他に不純物や空気中の窒素も一緒になるから、単純ではないが)
タンクから水が送り出されてもフィルターで除去され、極わずかに残ったとしてもそれほどの被害はないのである。
ちなみに、ガソリンは油だが、0.1%程度の水を最初から含んでいる。
逆に言えば、ガソリンも少量の水は溶かし込めるということになるのである。
結論として、水抜き剤は気休め程度でしかない。
必要ないと言っていいだろう。
100mlの水抜き剤を50リットル程度のガソリンに混ぜるように書いてある。
どのくらいの水がそれで抜けるかというと、0.5mlほどだという。
つまり、空気が入って毎晩結露していたら、毎日水抜き剤を入れても追いつかないのだ。
意味がないことが判っていただけるだろう。
もし、大量に水が入りエンジンが不調となったなら、水抜き剤では太刀打ちできない。
これは、燃料タンクの最下部から水抜きができるので、それを依頼すべきだ。
なお、水抜き剤や他に含まれるものにより、部品が腐食する可能性を否めない。
以前、メチル系の添加剤で腐食が問題になり、使用しないようになったこともある。
もしかしたら、水より悪い可能性だってあるのだ。
では、何のために水抜き剤があるのか。
必要なものがあるからである。
まずは、バイクだ。
バイクは構造が単純である上、タンクの開口部が大きく真上を向いているため給油時に水(雨)が入ることもあるだろう。
タンクは金属製でむき出しであり、結露もしやすいかもしれない。
水が溜まることで燃料が送れなくなったり、錆によってタンクに穴が開くこともある。
バイクには使った方が安心という人も多い。
しかし、市販の水抜き剤は(量的に)バイク用とはなっていないのだが・・・
水抜き剤を最も必要としているのはガソリンスタンドである。
純粋(99%)なイソプロピルアルコールでも1リットル1000円もしないのだが、それを100ml1000円で売ればかなりの儲けである。
ちなみに、エチルの濃度は通常の蒸留では96%が限度で、99%まで高めるには特別な再蒸留が必要となり、更に酒税もあるため、かなり高価なものとなる。
だから、スタンドではケミカルなどと言い、これを売ることを推奨する。
儲かるからだ。
社員やバイトは売るとその量に応じ手当てが支給される店もあるだろう。
入れろとうるさく言うのは自分も儲かるからである。
更に1本ではなく、2本入れた方が良いなどとなれば、倍の手当てになるではないか。
ガソリンを売るだけよりずっと効率よく稼げるのが水抜き剤という訳である。
夏場は湿度は高いが、温度も高いので結露しにくい。
冬場は湿度が低くいが、温度が低いので結露しやすい。
しかし、水抜き剤を売りつけるのは、車体が結露している頃だろう。
一重に説得しやすいからではないだろうか。
結露するから水抜き剤を入れろ、と。
何かの材料を見つけて、とにかく売りつけてくるのである。
水抜き剤を入れたいなら止めはしない。
他の添加剤の効能も期待できるからだ。
ただしその場合は、ホームセンターやカー用品店で買って自分で入れるべきである。
安いし、何を入れるのか自覚できる。
高機能そうなものでも、スタンドで入れる額より安いくらいだ。
スタンドの水抜き剤が何か判らないし、容器と中身が違う可能性だってある。
悪質な業者がいないとも限らないのだから。
とにかく、絶対に(私は)スタンドでガソリン以外を買うような愚行はしない。
あるスタンドの店長は、水抜き剤をどんどん売れと言い、自分は水抜き剤を入れないのだという。
入れなくても問題ないし、妙なものを入れると劣化を早める可能性もあるからである。
今後どうするかはこれらから判断していただきたい。