バニラエアの件を知り、再び劇場のバリアフリーについて考えた。

 

以前、こちらの記事で劇場のバリアフリーについて書いた。

車椅子のお客様のために座席の調整をする必要があること、

事前連絡があるとスムーズだが、私は連絡なしでもよいと思っていることなど

そのときに感じていたことを書いたのだが、基本的に考え方は変わっていない。

 

例え、開演5分前に当日券ブースに車椅子のお客様がいらっしゃったとしても

私は開演を遅らせて座席を調整した上で入場していただくと思う。

ステージ上、客席、両方の準備が整わないと開演はできないし、

車椅子のお客様は他のお客様と同じ権利を有しているわけで、

そのために劇場や主催が対応するのは当然だろう。

 

一方、目の不自由な方や耳の不自由な方への対応が十分ではないのも事実。

 

本当ならば、ト書きを吹き込んだものをイヤホンで聞けるようにしたり、

個人用に字幕を用意したりできたらベストなのだろうが、

舞台は生モノだし、タイミングもいつも同じではないので難しいのが現状。

もちろん、作業する時間や経費の問題もある。(ロングラン公演であれば可能かもしれない)

 

せめて、耳の不自由な方から事前に連絡があれば

台本はお見せできるようにしたいところだが、

権利問題でスムーズに渡せないこともある。(もちろん渡す場合もある)

 

最初からその可能性を想定して権利元と交渉しておけばいいのだが、

レアケースなので、なかなかそこまで想定できない。

でも、しておくべきだし、そうするのが当たり前になればいいと思う。

やろうと思えば、点字版の台本を用意しておくことだってできるのではないか?

 

私の周りには、後天的にハンデを負うことになった人が結構いる。

なので私は、自分もいつハンデを負う立場になるか分からないと

小さい頃から思っていたし、彼らと自分が違うという意識があまりない。

元々目の構造上緑内障になりやすいと言われていることもあり、

バリアフリーは他人事というより、自分の問題だと感じる。(でも、皆そうだよね?)

 

現実にはきっと、開演5分前に当日券を求める車椅子の方は滅多にいないだろう。

それは、「迷惑ではないか」と感じてしまっているからという部分も大きいはず。

でも、本当は誰だって、ふと手に取った雑誌を見て、

またはテレビから流れる宣伝の声を聞いて当日券を買いに出かけていいし、

そんなことを「迷惑なんじゃ?」なんて思ってほしくない。

 

バニラエアの件は物議を醸しているが(物議を呼ぶ意味が私にはわからないが)

また一歩バリアフリーが進んだのは事実。

観劇についても、どんどん道が開けていくことを祈っている。