新たな謎は“ピコカプセル” | 美容・医療ジャーナリスト 海野由利子のブログ

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美と健康にまつわるさまざまなニュースや注目していること、雑誌に載せきれなかった情報をお伝えします。

このところ出席している化粧品の新製品発表会は、9月以降の秋発売のものがほとんど。

メイクアイテムは、極端な話、色を見て、肌につけてみれば製品の判断はできます。

 

が、スキンケア製品は感触だけではなく、処方や成分の話を聞くことが必要です。

(使用感の良さ“だけ”のために配合している成分もあるし)

 

理論的に納得できるものもあるし、薬学や医療などの専門分野の方に確認を取りたくなるものもあります。本当に“進化”しているものもあるし、進化してる“ふう”に表現・発表されているものあるから。

 

そのあたりは、かつて厚労省の方と話した時に聞いた「国民の要望に沿った企業努力」にあてはまるなら、好き・嫌いはありますが「まぁいいか」と思うこともあります。

肌に悪さをせず、使う人が気持ちいいと思うなら、あれこれ言うのも無粋かなと。

化粧品には「嗜好品」という要素もありますからね。

(容器のデザインとか香りとか、使用感とか)

 

でもね、えぇー!? 本当はてなマーク と、思うことが先日の発表会でありました。

 

「肌の深部に潤いを届けるために、“ナノより小さいピコサイズ”のカプセルに

有用成分を詰め込みました」という発言。

 

ナノより小さいピコサイズ!!目

 

感動したんじゃないですよ。

 

ざっくりですが、ナノ→分子レベル ピコ→素粒子レベル と聞いてましたし

1nm(ナノメートル)って、0.000001mm。

化粧品への配合で、1ナノというカプセルすら記憶にないのに

そのまた1/1000のピコカプセルぅ? 

 

そんな技術があるのか? そんなカプセルに何が詰められるの? 

そもそも、皮膚深部に届けるならそんなに小さくしなくてもいいはず

・・・と、アタマがぐるぐるする中、発表は続きます。

 

「カプセルは赤血球と同じ大きさで・・・」

 

・・・顔赤血球はピコサイズじゃないよね?

何かの間違いかもと、会場で質問はしませんでした。

発表していたのは研究者ではなかったので。マーケティング戦略かもしれないし。

 

調べたところ、赤血球の大きさは7~8㎛(マイクロメートル)。

ナノで書くと7000~8000ナノメートルです。

ピコで表すのは不自然な大きさです。東京タワーをミリで表すくらいの。

 

なので、間違って発言されたのかもしれません。が、成分名には“ピコ”の文字が。

本当に“ピコサイズ”の何かを開発したのか? “成分の小ささの表現”なのか?

また、あちこちの専門の方に尋ねてみます。

 

素晴らしい進化ならば良いけれど、

イメージのために極小の単位を持ち出すのは、しっかりしたメーカーとしていかがなものだろう、と思うのです。

 

いろいろ調べるうちに、こんなことを書いているメーカーも見つけました。

 

やじるし

ピコレベルの極小カプセルは肌への浸透力が78倍高く、乾燥やシワなどを驚く速さで防ぎます。 例えば、ヒアルロン酸が肌の水分を保つために大変有効だという事は知られていますが、そのヒアルロン酸はサイズが大きいため、肌に浸透しないという事実は知られていないのでは?

ヒアルロン酸をはじめ浸透しなかった成分を小さくして、すばやく肌の内側で働くようにする事に成功。さらに、元来深く働く成分はさらに有用性を高める事にも成功しました。それらを活用して、確かな美しさへの近道を作り出したのが●●●●です。

 

 

ピコレベルのカプセル→本当にある?

浸透力が7~8倍→データを見ないと信じられない

驚く速さで防ぐ→「防ぐ」って笑 「改善」と書きたかったのでしょうが法規制で書けないですね

などなど、突っ込みどころがいくつもある、今まで知らなかったメーカーさんです。

 

すべての成分に言えることですが、小さくして浸透させることが良いとは限りません。

必要なところに届ける、その浸透コントロールが大切なのです。

 

 

「ピコカプセル」に関して、いつもお世話になってる方々にはお尋ねしますのでよろしくお願いします。

また、情報をお持ちの方、ご教授いただけるとありがたいです。