近頃なぜかチャールストン | キネマの天地 ~映画雑食主義~

キネマの天地 ~映画雑食主義~

レンタルビデオ鑑賞日誌



(ほぼ)一日一本のペースで映画の感想を書いてます。

近頃なぜかチャールストン [DVD]/利重剛,古館ゆき,藤木悠
¥4,935
Amazon.co.jp


内容:2005年2月にこの世を去った岡本喜八監督によるコメディドラマ。婦女暴行未遂で留置所に入れられた少年・次郎は、そこで自らを“ヤマタイ国”の国民と名乗る中高年グループと出会う。その後、釈放された次郎は彼らのことが気になり始め…。 (Amazonより)


▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲



はい!今週の岡本喜八 監督枠は、1981年製作「近頃なぜかチャールストン」です!!






婦女暴行未遂で拘置所へ入れられた次郎(利重剛)は、そこで自分たちを独立国“ヤマタイ国”の閣僚と称する非行老人たちと知り合いになる。翌日釈放された次郎は、やがてヤマタイ国の老人たちと一緒に暮らすことになるが……(Amazonより)


はい、「肉弾」 と同じくATG(日本アート・シアター・ギルド)製作・配給のコメディです。


非行少年の小此木次郎(利重剛)は、公園でイチャつくカップルを見つけると男を

ブチのめし、続いて女に襲い掛かろうとしたところを警察に捕まってしまう。

留置場に入れられた彼はしかしそこで奇妙な老人たちと出会う。彼らはそれぞれ独立国家

『ヤマタイ国』の閣僚と称し、自国の法律に基づいて勝手気ままに暮らしているという。

翌朝。資産家である兄の一郎(山崎義治)が被害者に賠償金を払ったために釈放となった

次郎だったが、同時に釈放になったヤマタイ国の面々のおかげで牛乳泥棒の濡れ衣を

着せられ、再び警察に連行される。容疑はすぐに晴れるが、怒り覚めやらぬ次郎が

オトシマエをつけさせるために「ヤマタイ国」を訪れると、なんとそこは現在失踪中の

次郎の父宗親(藤木悠)が彼らに無償で貸与した貸家だった・・・!ってなお話。




いやーー、コレ面白いです!!ヽ(゚◇゚ )ノ



日本国に嫌気が差し、勝手に独立国家「ヤマタイ国」を名乗り気ままに暮らす老人たち。

行きがかり上彼らと生活を共にすることになった次郎は、貸家からの立ち退きを求める

小此木家が差し向けた殺し屋一味と対決することに・・・ってな展開の本作は、

喜八監督曰く「もし『肉弾』の主人公“あいつ”がまだ生きていたら?」というのが発想の

源となっているそうです。よってあくまでスラプスティックなコメディでありながら、

「戦中派」としての“お国”に対する不信感や現代社会に対する痛烈な批判が太い柱として

全体を貫いているんですよねー♪ あくまで非暴力を貫きながら、自分たちなりのやり方で

“お国”に立ち向かうおじいちゃん達がアナーキーでカッコいい!!ヘ(゚∀゚*)ノ

ヘタなチンピラよりもよっぽどパンクですよ(笑)

ちなみに「ヤマタイ国」の閣僚のキャストは以下のようになっております。



総理大臣:小沢栄太郎

陸軍大臣:田中邦衛

外務大臣:今福将雄

文部大臣:殿山泰司

逓信大臣:堺左千夫

大蔵大臣:千石規子

書記官長:岸田森



で、ここに労働大臣(つーか雑用係w)として次郎と彼に恋心を抱く小此木家のお手伝い

タミ子(古館ゆき)が加わり、失踪した小此木宗親の行方を捜査している大作刑事

(財津一郎)中町刑事(本田博太郎)の追求を逃れながら、次郎の兄や母が差し向けた

殺し屋飯室(寺田農)と対決していく・・・というなんともブッ飛んだ展開です。



んでもって先ほども申し上げましたけれども、ヤマタイ国のご老人達がみんななんとも

魅力的なんですよねー♪ まぁ小沢栄太郎さんをはじめ芸達者な方々ばかりですから

当たり前なんですけれどもね、飄々と難局を乗り越えていく老人たちを生き生きと

演じてらっしゃるから観ているこっちまで元気になっちゃいますな♪

あと主人公であり語り部でもある次郎を演じた当時19歳の利重剛さんは、これがデビュー作で

あるばかりか喜八監督と一緒に本作の脚本を執筆、その上監督助手まで務めています。

スゴッ!(゚Ω゚;)

またその他のキャストも財津一郎さんや寺田農さん、一人暴走する本田博太郎さん(笑)など

一癖も二癖もある役者さんたちが脇を固めていて見応えたっぷりですよ♪




総評。

「肉弾」の主人公が発想の源になっていることからして、やはりアチラを先に観て頂いてから

コチラに臨んでいただいたほうがより楽しんでいただけるでしょうが、まぁ直接的に

繋がっているわけではないのでいきなりコチラから入っていただいても差し支えないかと。

喜八作品でたびたび使われている「聖者の行進」の調べも楽しく、また最後にはしっかりと

切なさも感じさせる素晴らしい作品。

ってワケでオススメです!!