女系(にょけい)家族 | キネマの天地 ~映画雑食主義~

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(ほぼ)一日一本のペースで映画の感想を書いてます。

女系家族 [DVD]/若尾文子,高田美和
¥4,725
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内容:山崎豊子の原作を、三隅研次監督、宮川一夫撮影ほか、名スタッフが結集して映画化したドラマ。大阪の老舗繊維問屋を舞台に、遺産相続を巡る三姉妹と周囲の人々の欲望と駆け引きを描く。若尾文子、京マチ子など、演技派俳優たちが多数出演。 (Amazonより)


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はい!今週の若尾文子 様枠は、1963年製作「女系家族」です!

「女の勲章」 と同様に山崎豊子の小説を映画化したもので、監督は座頭一シリーズなどで

知られる三隅研次が務めております。

なおタイトルは“じょけい”ではなく「にょけいかぞく」と読むそうなのでご注意を~♪(°∀°)b





昭和三十三年、大阪船場に暖簾を誇る矢島商店は三代にわたる女系の家筋であった。数年前に妻を亡くした当主の嘉蔵が美しい三人の娘を残して急死した。ほどなく開かれた親族会議で大番頭宇市によって遺言状が開かれ、総額数億円といわれる遺産分配が発表された。が、出戻りながら総領娘の座を主張する藤代、暖簾をつぐ気で養子を迎えた次女の千寿、花嫁修業に余念のない末娘の雛子、の姉妹はそれぞれ不満だった。その上意外にも嘉蔵には七年前から文乃という陰の女がいることが判り、話はまとまらなかった。その日から姉妹の間にとげとげしい空気が流れ始めた。藤代は踊りの師匠梅村芳三郎に相談をもちかけ、千寿は夫と株式組織に切り換える策を練り、雛子には叔母の芳子が後楯になり、秘かに手段を講じていた・・・(goo映画より)






・・・え、えげつなぁ~~~~~。。。。(´д`lll)




はい、遺産相続を巡って骨肉の争いを繰り広げる人々の姿を描いたドラマです。


昭和33年、大阪船場。代々続く矢島商店の当主矢島嘉蔵が急死し、あとには店舗・家屋・

山林・株券・骨董品など併せて数億円ともいわれる遺産が遺された。それに伴い葬儀の後に

親族会議が開かれ、大番頭の宇市(中村鴈治郎)の手で遺言状が明らかにされる。

そこには貸家などの不動産は出戻りの長女藤代(京マチ子)が、店舗や営業権、商品など

矢島商店に関わる物は婿養子を迎えこれまでも商店を切り盛りしていた次女の千寿

(鳳八千代)が、骨董品や株券などの動産は大学生の三女雛子(高田美和)がそれぞれ

相続し、山林などそれ以外の財産は3人で均等に分配するよう記されていたが、

3人は他の姉妹より取り分が少なくなるのは納得いかないと、宇市に資産を正確に算定し

改めて分配しなおすよう命じる。

 しかも遺言書はもう一通あり、そこには嘉蔵がひそかに浜田文乃(若尾文子)という女を

囲っていた事、文乃にも相応の遺産を分配する事と記されていたことから、事態はますます

混迷を深めていく・・・というお話。



で、感想なのですが、いやぁ~~先ほども書きましたとおり、なんともえげつない

内容ですわぁ。。。。(´д`lll) グヘェ

揃いも揃って欲の皮のつっぱた登場人物たちが1円でも多くの財産を得ようとあの手この手を

用いる様はまさに百鬼夜行って感じですね。とりわけえげつないのが物語の中心となる

長女藤代で、嫁ぎ先から出戻った身ながら長女として一番多く相続するのは当然と、

実の妹達を出し抜くべく暗躍するんですね。また先々代から矢島家に仕え遺言執行人を

任命された大番頭の宇市やその情婦の君枝(北林谷栄)、藤代の踊りの先生で

藤代が損をせぬよう文字通り“手取り足取り”助言する梅村芳三郎(田宮二郎)、亡くなった

嘉蔵の妻の妹で無邪気な三女雛子の後見人を買って出る伯母芳子(浪花千栄子)など、

三姉妹を取り巻く人々もみな腹に一物も二物ある曲者ぞろいですし。

欲に駆られて互いを出し抜こうとする人々のえげつなさにすっかりあてられちゃいましたよ。。。



一方、そんな中で一服の清涼剤のような清々しさを振りまくのがを演じた若尾さん!ヘ(゚∀゚*)ノ

妾という自らの立場をわきまえ決して多くを望まない綾乃ですが、しかしお腹に四カ月となる

子供を身籠っていることが発覚したため、これ以上自分の取り分が減っては堪らぬ三姉妹達から

手酷い嫌がらせを受けるんですね。。。(x_x;) 

それでもやり返すでもなくじっと耐え忍ぶ綾乃に「あら、若尾さんにしてはずいぶん大人しい

役だなぁ?(・Θ・;)」と思ったら、・・・ハイ、若尾さんはやっぱり若尾さんでしたよ(笑)

その美しさはモチロンのこと、遺影に向かってニヤッと笑った時の鬼気迫る凄みも

素晴らしかった!!ヽ(゚◇゚ )ノ やはり紛れもなく大女優ですな、惚れ直しました♪(〃∇〃)



また実質的には主演の京マチ子さんも良かったですねー♪ 船場のお嬢という役柄は先日の

「女の勲章」と同様ですが、呑気で世間知らずだったあちらの役柄とは正反対のがめつく

意地の悪~~~~い女を見事に演じきってます。

加えて大番頭宇市を演じた中村鴈治郎さんやその情婦役の北林谷栄さん、伯母役の

浪花千栄子さんらベテラン勢はもう流石の一言だし、巧みに藤代に取り入る梅村先生を

演じた田宮二郎さんのスケコマシっぷりも天晴でした♪




総評。

何度も言うように非常にえげつなぁ~い内容ですが、最後にはしっかりカタルシスも

用意されてるので後味は悪くないんですよねー♪ 脚本に依田義賢、撮影に宮川一夫

当時の大映が誇る名職人たちが配されているだけあって、テンポいい展開や奥行ある映像など

映画的な見所も満載ですし、上記のとおり俳優陣の演技合戦も文句のつけようがありません。

ってワケでレンタルにほとんど無いのがなんとも惜しまれる本作、オススメです!!