ブルークリスマス | キネマの天地 ~映画雑食主義~

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(ほぼ)一日一本のペースで映画の感想を書いてます。

ブルークリスマス [DVD]/勝野洋,竹下景子,仲代達矢
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内容:倉本聰が脚本を手掛けたSFドラマ。世界各地でUFOの目撃情報が相次ぎ、目撃者の血が青くなるとの噂が広まった。この事態に政府は秘密裏に彼らを処分しようとある計画を立てる。そんな中、国防庁参謀本部の沖は恋人の冴子からUFOを見たことを告白される。(Amazonより)


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はい!今週はもう一本岡本喜八監督 作品をお届けいたしますよー♪

1978年製作「ブルークリスマス」です! 脚本はあの倉本聰さんね(°∀°)b




1978年2月、京都国際科学者会議において、UFO及び宇宙人の存在の有無について演説した兵藤教授は、数名の外人に連れ去られた。国防庁参謀本部の沖と原田は沢木のひきいるUFOとその目撃者に対処するための特殊部隊に転属された。沖は理髪店に勤める西田冴子にひかれていた。日本国営放送(JBC)の南一矢は、五代報道局長の命をうけて、兵藤教授の失跡事件の調査をはじめた。新人女優、高松夕子は、JBCの大型ドラマのヒロインに抜てきされ、幸福の絶頂にあった。一方、夕子の恋人、週刊誌記者、木所は友人の南に「夕子の血が青い」と相談するが…。(goo映画より)





はい、「青い血が流れる人間が世界各地で発見される」という設定のSF映画です。

って書くと「殺人狂時代」 みたいなブッ飛んだカルト系映画と思われるかも知れませんが、

これがさにあらず!!\(゜□゜)/ なかなかどうして骨太な、特撮も笑いも一切ない

社会派作品ですよ。根っこにあるテーマは「ブレード・ランナー」「第9地区」にも通じる、

って言ったら褒めすぎかしら?(;´▽`A``



京都で行われた国際科学者会議においてとある珍説を披露し、世界中の科学者から総スカンを

食らった宇宙科学の権威兵頭教授(岡田英次)が、ホテルに戻ったのを最後に失踪した。

調査を始めたTV局JBCの記者・(仲代達矢)は、兵頭が失踪前に血液学の権威とコンタクトを

取っていたことを突き止める。

 一方、国防庁に勤める(勝野洋)原田(沖雅也)らは、とある極秘任務に就いていた。

政府がひた隠しにするその任務とは、近年頻繁に目撃されるようになったUFOへの対応であり、

そのUFOを目撃して以来血が青色に変化した人々の存在を隠蔽することだった…というお話。



世界各地でUFOの目撃情報が続発すると同時に、驚異的な速度で増加していく青い血を持つ

人間たち。しかしパニックを恐れた各国政府は、彼らの存在を隠蔽するために

とある恐るべき国際的謀略を決行する…という展開の本作は、まぁ確かにツッコミどころも

多々あるんですよね、「血が青いんだったら唇が赤いのはおかしいだろ」とか、「なんで

あんな形で拉致された科学者がアチラではあんなに自由に行動してんの?」とかね。

でも、そういった瑣末なことを揚げ足取りのようにあげつらうのはヤボってもんだよなと

許せてしまうぐらいの説得力が本作にはあるんですよねー。「学生達の抵抗はいつも

ピントがずれている。しかし知らず知らずのうちに核心をついている」なんて台詞は

思わずハッとしちゃいましたよ。



一方で本作からはユーモアやダンディズムといった要素がほぼ排除されていたり、大作映画

並みにNYやパリでロケが行われていたりと、一見すると喜八監督らしからぬ印象を受けます。

この辺は脚本を書いた倉本聰さんが一切の改変を認めなかったなどの要因があるようですが、

しかしまぁ作品に込められているテーマは紛れも無く反骨の徒・岡本喜八の物ですよねー、

一説によるとパリロケは製作側が予算を出し渋った為、喜八監督が自腹を切って強行した

そうですよ。先日の「ダイナマイトどんどん」 の際にも書いたとおり、70年代の喜八監督は

ちょっとした低迷期を迎えており、事実この作品も興行的にはあまりヒットしなかったようですが、

そんな中でも意地を貫きとおした喜八監督の矜持が窺い知れるようでもありますな。



キャストに関しては仲代さんと勝野洋さんのW主演って感じなのですが、最も印象に

残ったのはヒロインを演じた竹下景子さんの清楚な美しさね♪(〃∇〃) 

さすが三択の女王だっ!ヘ(゚∀゚*)ノ ←

一方で天本英世さんや中谷一郎さんといった喜八組の面々はもちろんのこと、沖雅也さんや

芦田伸介さん、大滝秀治さんや高橋悦史さん等々助演陣も豪華なメンバーが揃ってますので

見応えありますよ♪




総評。

一見カルト映画的な設定ながら、その実込められたメッセージは極めてシリアスな

社会派SF映画の佳作です。SFは苦手と倦厭されている方にも一度観ていただきたい作品。

オススメです!!