砲艦サンパブロ | キネマの天地 ~映画雑食主義~

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(ほぼ)一日一本のペースで映画の感想を書いてます。

砲艦サンパブロ [DVD]/スティーブ・マックィーン,リチャード・アッテンボロー,リチャード・クレンナ
¥2,990
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内容:多彩なジャンルで知られる名匠ロバート・ワイズ監督が、激動の時代に良心を貫こうとする男の姿を通して文明の確執を描いた、堂々たる歴史ヒューマン超大作。無骨ながらもピュアな心を持つ主人公をマックィーンが好演している。また、彼と交流しつつも、やがて悲劇的最期を迎える中国人整備士ポーハン役のマコ岩松も印象深い。西洋から見た東洋の誤解もしくは偏見的な視点がさほど感じられないのも、本作のテーマが西洋文明の東洋進出に対する疑問と反省であるからだろう。時代の非情さとクールなロマンティシズムを両立させたジェリー・ゴールドスミスの音楽も、今なおファンの語り草となる優れた出来栄えである。(Amazonより)


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はい!スティーヴ・マックィーン は今週も2本立てでいきますよ~っと♪ヽ(゜▽、゜)ノ

ってワケでまず一本目は、1966年製作「砲艦サンパブロ」です!!

監督はロバート・ワイズね♪(°∀°)b





中国人による外国人排斥運動が激化していた1926年の上海。現地に駐留するアメリカのポンコツ砲艦サンパブロ号へ赴任してきたホルマン一等機関士(スティーヴ・マックィーン)は、艦内で働く中国人たちに誠意をもって接しようとするが、逆に中国人からも艦の仲間たちからも反発を食らうことになる。やがて艦は、揚子江の奥地に入り込んだシャーリー(キャンディス・バーゲン)らアメリカ人伝道団を引き上げさせるべく、現地へ向かうのだが……。(Amazonより)






・・・ドヨォォ~~~~~ン (_ _。)・・・



・・・はい、そのタイトルからきっと「突撃隊」 「戦う翼」 のような戦争アクション映画だとばかり

思ってましたが、違いましたね。アクションも一応はあるけれど、むしろこれはヒューマンドラマの

範疇に入る作品であり、社会派映画としての側面も持つ実に骨太な大作ですよ。




1926年、米軍支配下の上海では、中国共産党派と国民党派が反目しあい、また民衆の間では

外国人排斥の機運が高まっていた。

そんな中アメリカ海軍所属のオンボロ砲艦“サンパブロ号”に配属になったホルマン一等

機関士(マックィーン)は、意気込んで職務にあたろうとするが、艦内の職務さえも米兵と

中国人乗組員の間で領分が二分され艦長でも迂闊には手を出せない状況にあると知り

愕然とする。

 それでもホルマンは中国人にも分け隔てなく接し、せめて機関室だけでも自分の思うように

動かそうとするが、運悪く整備中に事故が起こったことから、中国人と米兵の双方から

煙たがれるようになり・・・ってなお話。




本作には銃弾飛び交うような激しい戦闘シーンはほとんどありません、あくまでメインは

ホルマンを中心としたサンパブロ号乗組員を中心とした人間ドラマであり、当時カオスの

真っ只中にあった中国・上海という土地を舞台に、国籍やイデオロギーによって

同じ人間同士がいがみ合うことの不毛、戦争の不条理を描いた社会派映画なのです。



同胞に罠にかけられ見せしめの様に虐殺される中国人乗組員、自分たちが助かるために

無実の仲間を敵方に差し出そうとする米兵たち、作戦失敗の不名誉を免れるために部下

もろとも玉砕を図る将校、政治的に利用するために妊婦すらも虐殺する外国人排斥派、

清純な中国人娘を金の力で慰み者にしようとするアメリカ人たち・・・

国籍や立場、イデオロギーといったものの前では一人の人間の良心などいかに脆く

無力であることか・・・(-。-;) 人間の醜さをまざまざと見せ付けてくれる本作には

ヒロイズムもカタルシスもありません、観終わった後はとにかく重苦しい無情感に

苛まれることと思いますよ。。。(_ _。)



そんな重苦しい本作の中で救いとなるのがマックィーンの演じた主人公ホルマンの

誇り高く誠実な人柄であり、その唯一の友となる米兵フレンチーを演じたリチャード・

アッテンボローや、ホルマンと心を通わす中国人乗組員ポーハンを演じたマコ岩松

好演でしょう。

また艦長役を演じたリチャード・クレンナ(「ランボー」の大佐役の方ね)も虚栄心と

良心の間で煩悶する男を好演していて印象深かったですね。





総評。

その重苦しさには観ていて胸が痛み心が押し潰されそうになりましたし、収録時間も

約3時間にも及ぶ長編(途中インターバルが入ります)ですが、しかしその長さを

まったく感じないのは、作品中の隅々からキャストやスタッフのこの作品にかける熱意が

ひしひしと伝わってくるから。その点でこの作品は“傑作”“快作”といった修辞よりも

“力作!”といった言葉のほうが似合うような感じはしますね。

マックィーン出演作の中だと「大脱走」「ブリット」「ゲッタウェイ」「パピヨン」といった

傑作群に隠れて見逃されがちな作品かと思いますが、それらと比較してもまったく

遜色ない素晴らしい作品でしたよ。

ってワケでオススメです!!ヽ(゚◇゚ )ノ