女は二度生まれる | キネマの天地 ~映画雑食主義~

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(ほぼ)一日一本のペースで映画の感想を書いてます。

女は二度生まれる [DVD]/若尾文子,藤巻潤,山茶花究
¥4,725
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内容:日本映画史に残る名作を世に送り出した川島雄三監督のエロティック・ドラマ。名女優・若尾文子が、ただ本能のままに行動する可愛い芸人を演じ、ブルーリボン女優賞を受賞。35種類の衣装を身にまとい、唄も披露している。(Amazonより)


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はい!これまで増村保造 市川崑 と監督ごとにお届けしてまいりました若尾文子 さん

特集ですが、今週からは川島雄三監督作品ですよー♪

ってわけで一発目は、1961年製作「女は二度生まれる」です!




靖国神社の太鼓の音がきこえる花街。芸者小えんは建築家の筒井の胸にいだかれていた。「お名刺いただけません、だってもしもって時いい訳が利かないんですもの、恋人の名前も知らないんじゃ」。売春禁止法も彼女にとってはなんのこうそくも感じさせなかった。ともかく、毎日がけっこうたのしかった。そんな彼女にも心をときめかすことがあった。それはお風呂屋への行きかえりに顔を合わせる大学生牧純一郎に行きあう時であった。しかし彼女の毎日は、相かわらず男から男へと、ただ寝ることだけの生活だった。そんな時知りあった寿司屋の板前、野崎にふとふれあうものを感じ・・・(goo映画より)





・・・おおーー!ワタシこれ好きーーーーー♪ヽ(゜▽、゜)ノ




はい、川島雄三監督作品を観るのはこれが初めてですが、かなり好き系ですねー♪

増村・市川両監督とはまた違った作風で、若尾さんの魅力を存分に引き出しています。



神楽坂の花街に暮らす小えん(若尾文子)は、芸の代わりに身体を売る不見転(みずてん)

芸者だったが、遊び人の矢島(山茶花究)とは箱根へ一泊旅行に出かけ、たまにすれ違う

身なりのいい学生・(藤巻潤)に心をときめかせ、寿司屋の板前野崎(フランキー堺)と

ほのかに心を通わせ・・・男たちに可愛がられて暮らせる毎日を楽しく過ごしていた。

しかしそんなある日、警察に売春斡旋がバレて小えんのいる置屋が営業停止になったことから、

小えんは兼ねてから付き合いのあった建築士・筒井(山村聡)の誘いを受けて

彼の二号となるが・・・ってなお話。



若尾さんお得意の芸者モノですが、溝口作品や増村作品と違い、本作の主人公・小えんは

実にあっけらかんとしてるんですよねー。身体を売りながらもそこには情念もなければ

悲壮感も無く、お金や生活のためというよりは、男たちとの付き合いを心から楽しんでいる感じ。

しかしそんな女だから、二号として貞淑に暮らそうと新たな生活を始めた後も男たちにいいように

あしらわれ、弄ばれてしまう・・・。そんな“都合のいい女”小えんを若尾さんが実に愛らしく

演じています。

題材のわりにドロドロしたところが全く無いのがいいですねー、意思もガードもちょっと弱いけど

男に愛されるために一生懸命生きている女、小えん。何もお金持ちになろうとか本妻の座を

奪い取ろうとかそんな大それたことを考えているわけではない、ただ自分なりに楽しく幸せに

暮らしたいだけなのに・・・。意に反して男たちを呼び込んでしまう小えんは、実はとっても

純粋な女の子なんですよね。・・・ただ哀しいかな、賢く生きる方法を知らないだけで。

そんな彼女が可愛らしくもあり、可哀相でもあり・・・(ノ_・。)



そんな小えんの周りに集まる男たちも百人百様、それぞれが個性的で良かったですよ。

いかにも遊び人風の男を演じる山茶花究、育ちのいい好青年風の藤巻、朴訥な板前役の

フランキー堺、小えんを通じて大人の階段を上る少年工役の高見国一、小えんを囲い心から

可愛がる建築士・筒井役の山村聡、その部下であわよくば自分も“ご相伴”に預かろうと

小狡くたくらむ男・桜田役の潮万太郎など、いずれも男の異なった一面をそれぞれ

象徴するようなキャラクターに描いているあたり、脚本も巧いですねぇ。

んでもって個人的にはフランキー堺さんが良かったなぁ、どちらかというとコミカルな

イメージが強い方ですけど、板前らしく無骨で不器用な男を好演されてましたよ。

それからあの観る人によって解釈が分かれるラストも、なんともいえない切なさがあって

良かったですね。




総評。

増村作品などとはまた違った方法で「女」というものを描き出した秀作です。

強くしたたかな若尾さんも好きだけど、こ~ゆ~弱く可愛らしい若尾さんも好きだなぁ~♪

全体的にサラッと爽やかに描いている反面、どこか切なさや哀れみも感じてしまう本作。

オススメです!!!