雪之丞変化 (1963年版) | キネマの天地 ~映画雑食主義~

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(ほぼ)一日一本のペースで映画の感想を書いてます。

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内容:長谷川一夫、市川雷蔵など、大映スターが総出演した時代劇。冤罪で父親を殺された美貌の武士・雪之丞が、上方歌舞伎の女形に扮し、敵・土部三斉への復讐を遂げていく。伊藤大輔と衣笠貞之助の脚本を和田夏十がシナリオ化、夫である市川崑監督作。 (goo映画より)


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はい!今週の若尾文子 さん枠は、1963年製作「雪之丞変化」です!

監督はこれまた市川崑 。これで市川‐若尾作品は一応制覇したかな?(°∀°)b

なお本作は主演の長谷川一夫映画出演300本記念作品と銘打たれておりまして、

市川雷蔵勝新太郎山本富士子など当時の大映のオールスターが結集した作品と

なっております<(_ _)>





ここは市村座の舞台に舞う上方歌舞伎の花形女形、中村雪之丞は、思いがけなくも冤罪で父を陥れた、もと長崎奉行、土部三斎一味の姿をみた。江戸下りの初舞台に早くも怨み重る仇に巡り会おうとは。師の菊之丞は、逸る雪之丞を抑え訓すのだった。その夜の帰途、雪之丞は一人の刺客に襲われた・・・(goo映画より)




はい、江戸を舞台にした仇討ちモノです。この作品も過去にたびたび映画化されておりまして、

長谷川一夫自身1935年の衣笠貞之助監督版で既に一度主演を務めております。

つまり300本記念作品ということで過去の当たり役を再演しているわけですね。

ちなみに他にも美空ひばり主演版や大川橋蔵主演版など複数あり、さらに近年では

昨年NHKが滝沢秀明を主演に迎えてTVドラマを製作しておりますので、ご覧になった方も

いらっしゃるのではないでしょうか、って言ってるワタシは全部未見ですけどね(・ω・)



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さてそれでは感想なのですが、その前に一言。








若尾さんの美しさがハンパねぇーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!! (/ω\)キャーーーッ!!!



いやもう「息を呑むほどの美しさ」とはこ~ゆ~事を言うんでしょうね、あまりの美しさに

(  ゚ ▽ ゚ ;)ハッ ってなっちゃいましたよ。 今回の若尾さんはあくまで助演なんですけど、

あの美しさはヤバい、ヤバ過ぎる。。。(/ω\)



キネマの天地 ~映画雑食主義~-若尾さん


                   ↑↑↑

この画像でも十分美しいが、でも色鮮やかな衣装を身に纏った際の若尾さんはさらに美しかった







さて、では今度こそ感想といきますか。



えっとね、まずこの作品、市川崑監督の映画的美意識と遊び心が非常に色濃く出ている

作品だと思います。それを由とするかによって評価は分かれるんじゃないですかね。

ちなみにワタシは・・・シナリオは非常に面白かったけど、崑監督の演出がちょっと鼻について

イマイチ乗り切れなかったかなって感じ。



ストーリーは面白かったです。

悪奉行たちの企てによって商家を営んでいた両親を幼くして失った少年は歌舞伎一座に

拾われ、今は中村雪之丞という上方歌舞伎の花形女形になっていた。

亡き両親の仇討ちを胸に秘め密かに剣の腕を磨いていた雪之丞に、ついに絶好の機会が

訪れる。雪之丞が江戸に下って初舞台の席に、仇と憎む元奉行・土部三斎広海屋

川口屋三人が現れたのだ。土部一味は雪之丞の正体を知らず、雪之丞は三人に

近づくために土部の娘で将軍の側室となっている浪路に接近する・・・ってなお話。



復讐の為に浪路を誘惑し三人の仲を引き裂く雪之丞を中心に、密かに雪之丞を助ける

義賊・闇太郎、雪之丞に想いを寄せる女盗賊・お初、雪之丞の剣のライバルで

その首を狙う浪人・門倉平馬などが絡んで物語は展開していきます。

憎き土部一味を討つために何の罪もない浪路を利用する事への罪悪感、事情を

露にも知らず一途に雪之丞を想う浪路の哀れさ、土部一味の仲を裂くべく張り巡らされる

雪之丞の策略、そして雪之丞の計画に図らずも関わる事になる盗賊たち…

もちろんチャンバラなどの活劇もありますし、闇太郎を勝手にライバルと目する

小盗人・昼太のとぼけた味わいなど笑えるシーンもあり、まさに記念作品にふさわしい

総合エンターテインメントの様相を呈しており、理屈抜きに楽しめました。



ただそれでも本作に傑作の太鼓判を押せない理由が二つ。

ひとつは前述のとおり、市川監督の演出がいささか過剰で鼻につくところ。

歌舞伎を演じていた雪之丞を映していた画面が暗転し、スポットライトの中で心情を

独白し始めるなど、随所に歌舞伎や新劇のような舞台演劇的な狙いが垣間見えるのですが、

まぁそれ自体には別に抵抗は感じなかったのだけれど、心情をいちいち登場人物の口から

語らせるのはいささかクドいかと。舞台と違って映画は表情や台詞廻しで心情を推し量ることが

出来ますからね。これはちょっとやりすぎ。


それからもうひとつは、雪之丞を演じる長谷川一夫がちょっと歳を取りすぎているところ。

女形としての所作の美しさなどは流石だけれど、若い頃と比べると明らかに無駄な肉がついた

顔は美貌の女形を演じるには少し無理があったかなぁ。

ただ長谷川一夫は本作の中で雪之丞の他に闇太郎役も演じており(つまりダブルキャスト)

たおやかな女形・雪之丞と江戸の義賊らしききっぷのいい闇太郎の演じ分けっぷりは

実にお見事でしたよ。知らずに観たらダブルキャストだって気付かない方も

多いんじゃないかな?



その他のキャストも良かったですよ。

浪路役を若尾さんが、女盗賊・お初役を山本富士子さんが演じている他に、仇の土部役に

中村鴈治郎、ライバル剣士・門倉役に船越英二、小盗人・昼太郎役に市川雷蔵、

他にも勝新太郎や林成年尾上栄五郎らもチョイ役で出演していてまさに

オールスターキャスト。今回の若尾さんは復讐に利用される哀れな女という

珍しく女おんなした役柄だったけど、その美しさには息を呑むほどでしたし、

山本富士子の勝気さや市川雷蔵のとぼけた三枚目っぷり、中村鴈治郎の老獪な

悪党ぶりも実にお見事でした。・・・でもやっぱり若尾さんが断トツだなぁ(〃∇〃)←しつこい





総評。

ちょっとクセのある映画なので評価は分かれると思いますし、私自身ももろ手を挙げて

賞賛しようとは思いませんが、トータルでみたら復讐あり・色恋あり・活劇あり・笑いありと

さまざまな要素を盛り込んだ総合エンターテインメント映画としてなかなかの出来だったと

思いますよ。

それに何をおいてもホラ、若尾さんがハンパなく美しいですし!(///∇//)←だからしつこいって


ってわけでオススメです!!