セプテンバー | キネマの天地 ~映画雑食主義~

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(ほぼ)一日一本のペースで映画の感想を書いてます。

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内容:ウディ・アレン監督が優しいタッチで描いた大人のラブストーリー!父が残した山荘で暮らす女性レーン。静かな毎日に、彼女はどこか物足りなさを感じる。夏も終わりに近づいたある日、彼女のもとに友人や母親、作家らが山荘を訪ねてくる。自由奔放な母に不満を抱く一方で、作家に恋して悩むレーン…。山荘の室内のみを舞台に、それぞれの思いが交錯する2日間の出来事を優しく描き出す。 (Amazonより)


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はい!今週のウディ・アレン は、1987年製作「セプテンバー」です。

ちなみに本作においてウディが担当したは監督と脚本だけで出演はしていないのですが、

代わりに・・・ウディ映画と言えばこの人ですよね!ミア・ファローが主演しております♪




父が遺した山荘に暮らす女性レーン。静かな毎日に、彼女はどこか物足りなさを感じている。夏も終わりに近づいたある日、彼女の元に友人や女優だった母、その自伝を書こうとしている作家が山荘を訪ねてきた。自由奔放な母に不満を抱き、一方で作家に恋して打ち明けられぬ思いに悩むレーン。複雑な愛憎関係のなかで、彼女は傷つくしかないのか? そして季節は、静かに秋の気配を漂わせてゆく……。(Amazonより)




・・・う~む、参った。これぞまさに「大人の恋愛映画」ですねぇ。

浮わついたところは全くありません。豊潤かつ濃厚それでいてしつこさは全く感じられない、

まるで熟成されたワインのような作品ですよ、っとワイン苦手な私が言うのも

なんなんだけど~♪ヽ(゜▽、゜)ノ ←The 浮わついた男




とある山荘を舞台に、集まった6人の男女の間で繰り広げられる2日間の出来事を描いた

作品です。物語は全てその山荘内で展開されるのでまるで戯曲のような印象を受けますが、

どうやら本作のためにウディが書き下ろしたオリジナル脚本のようですね。



主要登場人物は6人。

父から山荘を相続した独身女性レイン(ミア・ファロー)とその親友で既婚者の

ステファニー(ダイアン・ウィースト)、レインの母親で奔放な性格の元人気女優

ダイアン(エレーン・ストリッチ)とその新しい夫ロイド(ジャック・ウォーデン)、

そして山荘の“はなれ”を間借りしている駆け出しの作家ピーター(サム・ウォーターストン)と

山荘の近くに住むレインの友人ハワード(デンホルム・エリオット)です。

人物の説明らしい説明が何も為されないままストーリーが進行していくので最初のうちは

それぞれの関係がわからずいささか混乱しますが、その辺は話が進むにしたがって

徐々に明らかになっていきます。


で、ストーリー自体はシンプルな話なんですよね。

恋に破れて人里離れた山荘に一人戻ってきた女、レイン。

14歳の時に“とある出来事”に遭遇して心に深い傷を負った彼女は、以来いまだに

立ち直りきることができずにおり、加えて奔放な性格の母ダイアンは自覚も無いまま

無神経にレインの心を傷つけ続けていた。

しかしそんな彼女を案じ夫や子どもたちを置いて山荘に滞在している親友の

ステファニーや山荘に戻って以来あれこれ親身に世話を焼いてくれる近所の男性

ハワードらの助けもあって徐々に立ち直りつつあったレインは、山荘の離れに

間借りしている駆け出しの作家ピーターに恋心を抱きはじめていたが…ってなお話。



話としてはなんてことない愁恋譚なんですが、とにかく脚本が抜群に巧いんですよね!

洗練された会話や映像の数々に思わず酔いしれてしまいましたよ。

また演じる役者陣の控えめな演技も、いかにも成熟した大人のムードを

漂わせていて◎。特に素晴らしかったのはステファニー役を演じたダイアン・ウィースト!

よろめく女の心の内を繊細に表現しております。



それからあの結末。当然詳しくは話せないんですけどね~、あの終わり方は

ワタシ好きだなぁ。時にはハッキリとさせないままにしておいた方がいい事もある、

そういった曖昧さをすすんで許容できるのが大人ですよね。

決定的に壊れてしまうよりはそのままにしておいた方がいい、例えそれが

実は砂上の楼閣だとしても。

そういった大人の“優しさに裏打ちされた狡さ”が垣間見える作品ですよ。





総評。

まるで良質な短編小説のような作品です。

これまでお届けしてきたウディ作品とは全く異なる、上品で洗練された大人の映画ですよ。

決して声高に傑作だと叫ぶ類の作品ではありませんが、ワタシはコレ大好きですね、

深い余韻の残る佳作と言っていいと思いますよ。

・・・それにしても、ここまでのウディ作品には一本もハズレが無いなぁ。

ってかむしろ“アタリ”ばかりですよ。・・・オレ、ひょっとしてウディ作品好きなのかな?笑

まだまだ観て無い作品もいっぱいありますしねぇ、ウディ枠週2本ぐらいに

増やしちゃおうかしら?( ´艸`)

というわけで、もちろんオススメです。