ドッグヴィル (勝手にデンマーク映画祭 19本目) | キネマの天地 ~映画雑食主義~

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(ほぼ)一日一本のペースで映画の感想を書いてます。

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内容:ギャングに追われ、平和な村ドッグヴィルに逃げ込んできた一人の美しい女性を村人たちはかくまうことにする。彼女が2週間で村人全員に気に入られるという事を条件に…。「ダーク・イン・ザ・ダーク」のラース・フォン・トリアー監督が人間の本質を見事に描き出した作品。出演はニコール・キッドマン、ポール・ベタニーほか。(Amazonより)


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はい!「勝手にデンマーク映画祭」19本目は、ラース・フォン・トリアー 監督作品より

2003年製作「ドッグヴィル」です!

コレ、私はてっきりアメリカ資本だと思ってたんですけどね~、純然たるデンマーク

映画でしたね。

ってわけで映画祭開幕前に言ってた「デンマーク映画17本+デンマーク出身の映画監督による

アメリカ映画3本」というのは誤りでしたので訂正いたします、正しくは

「デンマーク映画20本+デンマーク出身の映画監督によるアメリカ映画1本」でしたっと♪

(微妙に1本増えてるのはナイショw)




ロッキー山脈の麓にある孤立した村、ドッグヴィル。村人は23人。そこにひとりの美しい女性、グレース(ニコール・キッドマン)がやってくる。自称作家の青年トム(ポール・ベタニー)は、村人たちに彼女をかくまうことを提案。グレースはトムの計画に従い、無償で肉体労働を始め、徐々に閉鎖的な村人たちの心を開いていく。とりあえず村の一員として認められた彼女だが、やがて警察からの手配書により、強盗に関与している疑いをかけられ…(goo映画より)






…うぅ~むさすがトリアー、実に気が重くなる 映画だ。。。(-。-;)


でも…  困ったな、ワタシこの作品好きだわ!\(゜□゜)/




はい、トリアーは基本的に三部作構成で作品を撮る方ですが、本作も例外ではありません。

本作は「機会の国・アメリカ三部作」と題された一連の作品のうち、その第一作目にあたる

ものですよっと。




本作において何といっても特徴的なのは、その特異な撮影方法でしょう。

舞台となるのは全て巨大な撮影所の中に再現された小さな村なのですが、

背景も壁も全て省略されており、あるのは「○○の家」などと表記するための白線と

わずかばかりのセット、そして登場人物たちだけなんですね。

まるでアングラ演劇を観ているかのような独特な映像は閉塞した環境を表現するには

ピッタリで、得も言われぬ緊張感が漲ってます。

収録時間約3時間と非常に長尺な作品なんですけどね、おかげでちっとも長さを

感じませんでしたよ!



ストーリーとしては、…まぁトリアー作品ですからね、当然のようにイヤな話ですよ。。。(_ _。)

ロッキー山脈に囲まれた小さな村、ドッグヴィル。村につながる道は一つしか無い、

文字どおり“行き止まりの集落”。そこに暮らす23人の村人と、ギャングから逃れて

やってきた美しい“わけあり”の女、グレース

決して事情を話そうとしない“余所者”グレースに対し、揉め事を嫌う村人たちは当初

村から追い出そうとするが、作家を志す青年トムの提案により、まず2週間だけ滞在を許し

それから最終的な決断を下す事になる。

他に行くところもないグレースはトムのアドバイスを元に村人たちの手伝いを始め、

村人たちも次第にグレースを受け容れていくが…ってなお話。



主題としては、「閉塞した状況下での集団心理の恐ろしさ」といった感じでしょうか。

外部からの眼を気にする必要が無い状況において、人間のモラルがいかに脆いものであるか。

映画においても度々描かれている内容ですし、実生活から例を挙げようとすればそれこそ

枚挙に暇ないですよね、自衛隊の訓練という名のリンチとかさ、セクハラ・パワハラとかさ。

恐ろしいのは、閉塞した状況下ではそういった集団の総意がそのまま彼らにとっての

正義となるため、個人個人は罪悪感に苛まれる必要が無いという事。

「みんなの為だから」、「みんなで決めた事だから」。自分が責任を負う必要が無いとなれば、

人ってのはどこまでも厚顔無恥になれる存在なのね。。。(x_x;)



そして結末。

・・・弱ったなぁ、正直言ってあのラストにものすご~くスカッとしてしまったんですけど。。。(´д`lll)  

これって人としてダメやろか?!間違ってるやろか?!!Y(>_<、)Y

いやいやいや、アレは誰だってスカッとするよね?! ザマァミロって思うよね?!!←必死


…という風にですね、「スカッとしたんだけどその事に凹んでしまう」とゆ~

実に高度な凹まされ方をする作品ですよ、ウン。。。(-。-;)



キャストについて。

主人公のグレースを演じるのは、ニコール・キッドマン

いやぁ~頑張りましたねぇ、精神的に相当キツかったことでしょう。彼女の事はこれまで

それほど好きじゃなかったんですけどね、こと本作の役柄に関しては心から祝福とねぎらいの

拍手を贈りたいですよ。

他にポール・ベタニー、クロエ・セヴィニー、ローレン・バコールステラン・スカルスガルド

などが村人役で出演していますが、本作は彼らにとっても相当キツい仕事だったようですねぇ、

この辺は別に製作過程を収めたドキュメンタリーが出ているようなので、そちらもゼヒ

チェックしたいと思っております。


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総評。

イヤな話です。いろんなとこでレビューを読んでみましたが、「気分が悪くなって最後まで

観られなかった」って意見も少なくなかったですからね、オススメは致しませんよ。

ただ…あまり胸張って言うのもどうかなぁとは思いますけどね、ワタシがコレを観て

非常に面白いと思っちゃった事は紛れもない事実だから認めざるを得ませんよね。

…ってか、たぶんDVD注文すると思う。。。(-"-;A


ともあれ、舞台演劇チックなとこやストーリー自体全てひっくるめて非常に好みが

別れる作品だと思いますのでね、興味がある方は自己責任でどうぞ!