日本のいちばん長い日 | キネマの天地 ~映画雑食主義~

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(ほぼ)一日一本のペースで映画の感想を書いてます。

日本のいちばん長い日
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内容:鬼才・岡本喜八監督による東宝創立35周年記念作品。ポツダム宣言の受諾を巡る御前会議から始まる終戦前の1日を描いたドキュメンタリータッチの戦争ドラマ。玉音放送を巡る政府首脳の動きと終戦反対派の青年将校たちのクーデター計画が明かされる。(Amazon.co.jpより)


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はい、昨日は8月15日、終戦記念日でしたね。ってわけでそれにふさわしい作品を観ました。

1967年制作、故岡本喜八監督による大作ドラマ映画「日本のいちばん長い日」です。



昭和20年8月6日と9日に原爆投下、8日にはソ連参戦と、追い詰められた日本はついにポツダム宣言の受諾を決定した。しかし、あくまでも徹底抗戦を叫ぶ一部の軍人たちは、8月15日正午に流される玉音放送を阻止すべくクーデターを計画。かくして終戦までの24時間、日本のいちばん長い日の幕が開ける!(Amazon.co.jpより)



さて、感想。

…いやぁ~、なんとも重厚な映画でした。 ってそりゃあ戦争映画なんだから当たり前

なんですけどね、かる~~い戦争映画なんて観たくないし。

でもね、この作品の重厚感はちょっと別格じゃないかなぁ。


ポツダム宣言を受諾し戦争の終結を宣言する、昭和天皇のいわゆる“玉音放送”を巡って

混乱する政府・軍部の様子をドキュメンタリータッチに描いた本作は、戦後ジャーナリズムの

巨星 大宅壮一の同名ノンフィクションを基にしております。

もちろんどこまで真実なのかは当事者でも無い私達には知る由もありませんが、この作品が

公開されたその後の評価を観る限りでは、ほぼ史実どおりに描かれているとみて

間違いないようですね。…だとすると結構衝撃的なものがあるなぁ、『教科書に載らない真実』が

ここには在る、そんな感じ。



二度の原爆投下やソ連の満州侵攻によって敗色濃厚となった日本に、米・英・中から

条件付きの降伏を勧める勧告「ポツダム宣言」が提示される。

日本への最後通告と受け取った政府上層部は、これ以上の抗戦は無益と判断し

受諾の方向に傾く。しかし本土決戦を説く一部将校はこれに反発、阿南陸軍大臣(三船敏郎)に

決起を促すが、これが叶わぬと見るやついに強硬策へとうって出る…




1945年8月14日正午から翌15日正午までの24時間を描いた本作、結末は当然誰もが

御存知のことですから書いても差し支えありませんよね、クーデターは失敗に終わり、

ポツダム宣言を受諾する旨を告げる天皇陛下の玉音放送が為され、戦争は終結します。

しかし結末がわかっていながらも、そのリアリティによってこの作品に漂う尋常でない緊張感は

終始途絶えることがありません。67年の映画ですからカラーで撮れたはずですが、あえて

そうせず全編モノクロにしたところも効果的ですね、緊張に拍車をかけてます。



ポツダム宣言受諾派も徹底抗戦派も、どちらも国を憂い想う気持ちに嘘偽りはない。

一方は“耐へがたきを耐へ、忍びがたきを忍ぶ”道を選び、一方は“一億総火の玉”となって

死地に活路を見出そうと望んだ。どちらをどう思うかは人それぞれでしょうが、

私が思ったのは「ホントにみんなこんな“憂国の士”ばかりだったの?」ってこと。

一人ぐらい保身や私利私欲に走る輩はいなかったんやろか?

まぁ基本的に登場人物はほぼ全員実在の人物ですから、描きたくとも描けない事も

多分に有ったんじゃないかと思うんですけどね。そこがちょっと気になった所。



この作品、まさに“オールスターキャスト”という言葉がふさわしいぐらい出演者が豪華です。

とりあえず列記しますと、三船敏郎・笠智衆・志村喬・小林桂樹・加藤武・北村和夫・島田正吾・

藤田進・佐藤充・加東大介・新珠三千代etcetc。。。さらに黒沢年男や加山雄三といった

当時の若手俳優も数多く出演していますし、ちょっととんでもない面子ですねコレは。

ちなみにこの中で主役級に扱われているのは三船敏郎と黒沢年男ですが、

ホンのチョイ役でありながら新珠三千代さんの美しさと加山雄三のオトコマエぶりは

目を見張るものがありましたねぇ。




総評。

2時間半という長さを感じさせない迫力と緊張感に溢れた本作。歴史資料的な価値は

もちろんのこと、この作品の製作当時に活躍していた名優たちがほとんど全員と言っても

いいぐらい多数出演している所も見応えありますよ(黒沢年男はちとオーバーだったが汗)。

ってわけで、やはりこの時期特にオススメの一本ですよっと!