今まで一番何度も読み返している本 | キネマの天地 ~映画雑食主義~

キネマの天地 ~映画雑食主義~

レンタルビデオ鑑賞日誌



(ほぼ)一日一本のペースで映画の感想を書いてます。

昨夜はサッカー(欧州CL)を観ているうちに寝てしまったので映画は観てません、

だからレビューはお休み。


で、代わりと言っちゃなんですが、今日はおそらくこれまでで一番多く読み返しているで

あろう小説を御紹介いたします。


それは、コレ!




青が散る 上 新装版 (1) (文春文庫 み 3-22)/宮本 輝
¥490
Amazon.co.jp

青が散る 下 新装版 (3) (文春文庫 み 3-23)/宮本 輝
¥490
Amazon.co.jp



はい、宮本輝さんの代表作の一つである長編小説、「青が散る」です。

私が持っているのはかなり分厚い文庫本一冊版なんですけどね、

どうやら今は↑のように上下巻の新装版で出ているようですな。

ちなみに私が持っている版の表紙画は↑の下巻のものと同じです。



簡単にあらすじを説明しますね。


さしたる意欲もないまま新設された大学に進学した椎名燎平は、そこで

テニス部員を募集していた金子と出会う。燎平がテニス経験者だと知った

金子の熱心さに根負けした燎平は、イヤイヤながらも入部することに。

しかしそこで金子やかつてのジュニアチャンピオンの安斎、ニヒリスティックな

貝谷らとともに一からテニス部を立ち上げていくうちに、燎平は次第に

テニスに熱中していく。

また、同級生の佐野夏子に恋をした燎平は、何とか彼女の気持ちを射止めたいと

願うが…



私は観たこと無いのですが、過去には若かりし頃の佐藤浩市主演でドラマ化も

されているようですので、結構御存知の方も多いのではないでしょうか。


この小説の秀逸なところは、大学生という無邪気でもなければ大人でも無い、

なんとも中途半端な世代の心理を、時に爽やかに、時にほろ苦く描いているところ

でしょうか。文章も軽薄過ぎず堅過ぎず、読み応えと読み易さを見事に両立しています。


それからもう一つの魅力が、まるで自分がコートに立っているかのように錯覚させられる、

テニスの試合の迫真かつ精緻な描写でしょう。

高校生の時にコレを読んだ根が単純なワタシは、

大学へ進学したら絶対テニス部にはいるんだ!

固く心に決めたものです(結局、入らなかったんだけどね汗)




宮本輝さんの著作は他にもそこそこ読んでおり、「春の夢」、「流転の海」、

「ここに地終わり 海始まる」、あと「星々の悲しみ」なども好きですが、

やっぱり本著が一番かな。



最後に、文中から好きな一節を抜粋引用させていただきますね。


「若者は自由でなくてはいけないが、もうひとつ、潔癖でなくていけない。

自由と潔癖こそ、青春の特権ではないか。」by辰巳教授


若者よ、王道を歩め。  おしまい。