お葬式とモスバーガー | 馬鹿日報・弐

お葬式とモスバーガー

父方の祖父が亡くなったのは、
自分が小学校6年生の時の夏のこと。

都内に住んでいるにもかかわらず
年に1度しか会うことがなく、
将棋指したことくらいしか
パーソナルな記憶が無いうえに、
ある日いきなり夜中に危篤の報を聞いて
その1時間後には亡くなっていたので、
ほとんど悲しいとかの感情が無かった。

お葬式の時のことなんか今となっては
全然覚えていないのだが、
唯一鮮明に覚えているのが、
お昼に出た寿司のワサビが死ぬ程きつくて
お小使い貰って兄と一緒に外へ避難したこと。

その時、阿佐ヶ谷の駅前商店街で
初めてモスバーガーを食べて
心底「うまいな~」と思った。
以来、ハンバーガー屋ではモスバーガーが贔屓だ。

人の生き死にに関わったとしても、
記憶ってそんなもんだったりする(ことがある)。


久々にこの短編集を読み返していて、
ふとそんなことを思い出した。

$馬鹿日報・弐-向こう街

『向こう町ガール八景』(衿沢世衣子/青林工藝舎 )


個人的にはデビュー作である
「カナの夏」が好きです。

今回書いたこととシンクロしてる
部分があるんだけど、
主人公である小学生の女の子が
お姉さん的に慕っている
25歳の叔母が連れて来た彼氏について、
第一印象が「デブでサイテー」だったのに
夜中にサーティーワンに連れていってくれただけで
「カッコイイ!」に変わったというくだりがいいです。

…もちろん、話はそれだけで終わらない。
その後、痛みを伴う心の成長なんかも描かれて
余韻の残るエンディングに繋がって行くわけですが、
それは興味のある方、読んでみてください。

今年初めに出た『ちづかマップ』は
自分的に上半期のベストマンガ作品ですが、
この人の作品はほんとハズレが無いです。

他の本になっちゃうんですけど、
よしもとよしともさん原作の
「ファミリー・アフェア」も猛プッシュしたい。
(イースト・プレス刊『おかえりピアニカ』収録)
浅野いにおさんが好きな人なんかは特に、
ルーツを探りたければ読んでみてほしいです。