「感染」仙川環 | 『e視点』―いともたやすく行われるえげつない書評―

「感染」仙川環



仙川 環

感染―infection

星星星星


大橋駅の本屋で、絶対仕入れ数間違えたやろ?


と言いたくなるくらいやたら大量においてあった小説。




おもしろかったが、タイトルが「感染」ってのは、なんか違う気がする。


まあ、感染っちゃ感染やけども。




絶対、本文の字が大きい。


ページごとの文章量が少ない。


もういい加減、部屋の中に本が溢れすぎているので、無理して一定の厚みをキープしようなんて思わなくていいから。




全体的には科学的な要素が強い話だけど、ありがちなSFに逃げるんじゃなくて、


中心となる事件は誘拐事件。


それから臓器移植にともなういろいろな問題。


現実的に起きそうなラインで話を進めているのがいい。




パラサイト・イブの流行で科学モノの小説は、やたらSFになってしまったが、


コレはコレでアリ。スケールが小さくなってしまう感はいなめないが。




作者は元々、医学ジャーナリストらしく、かなり社会性を含んでいて、日本の医学会には、いろいろな黒い部分があることも匂わせている。




でも難しくない。




いろいろな要素を、うまいバランスでまとめた感じで、おもしろかった。




でも、大橋駅の本屋は、やっぱり仕入れ過ぎだと思った。